7月31日(木)
- 『夏から夏へ』
- 佐藤 多佳子
- 集英社
- 1,575円(税込)
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「私は、高校陸上のスプリンター達をモチーフにした小説を書くために、陸上部の練習や試合を四年に渡って見るという経験をして、この世界の魅力に取りつかれた」と書くのは、佐藤多佳子で、もちろんその小説は第4回本屋大賞に選ばれた『一瞬の風になれ』(講談社)だ。
そして待望の新作『夏から夏へ』は、「世界陸上大阪大会」に出場したトップレベルの四継選手(塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治)を追った著者初のノンフィクションである。果たして小説家がいかにノンフィクションを書くのか......と思いつつ読みだしたのだが、僕がサラリーマンである以前にサッカーバカであるように、佐藤多佳子は作家である以前にスポーツバカであったのだ。ひたすら観察すること、そして聞くことによって、「走る」ということが真摯に描かれる。
『一瞬の風になれ』のような感動ではないが、スポーツとスポーツ選手が持つ本来の感動がここにはある。オリンピックにはまったく関心がなかったが、やはりこの本を読んだら四継だけは見たくなるし、佐藤多佳子が描くであろう続編が楽しみだ。
新宿K書店さんを訪問すると、仕入れのTさんから『本の雑誌』8月号の「サッカー本ベストイレブン代表選考会」がむちゃくちゃ面白かったと褒められる。うれしいかぎり。
しかし暑くない、のは自分が慣れたせいかと思っていたのだが、そうではなく実際にそれほど暑くなっかったのだ。ちょっとガックリ。