8月28日(木)
- 『どすこい 出版流通』
- 田中 達治
- ポット出版
- 1,890円(税込)
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出版業界人必読の書といわれる『どすこい出版流通』田中達治(ポット出版)を読む。詳しい紹介は『本の雑誌』2008年9月号の「今月の一冊」で書かれているのでそちらに譲るが、筑摩書房の元・取締役営業局であった著者の、出版流通側から見た出版業界論である。
出版流通といのは、わかっているようでわからないことが多く、例えば僕が前にいた医学書の会社と、本の雑誌社では注文受注後の処理がかなり違っていて入社時に戸惑ったことを思い出す。それぞれその規模やジャンルや習慣によって違うわけで、僕の場合、地味なところから地味なところへ転職してしまったから、いまだに主流の出版流通というのが実はまったく分かっていなかったりする。そういう意味でも非常に勉強になった一冊である。できることなら生前お会いして直接いろんな話を伺いたかった。
本日訪問した書店さんでの話をいくつか書くと「先日ある人に言われてそうだなあって思ったんですけど『出版不況』じゃなくて『出版衰退』なんですよね」や「出版社の人に昔のような棚にしなさいと言われてやってみようとしたらほとんどの本が品切・絶版だった、そういう現状を出版社が招いているわけでしょう」だったり、「出版社が本の置き場所を戻してくれっていうのよ、元々出版社がこっちに置いてくれっていうからわざわざ変えたのにさ。それがあんまり調子よくなかったから戻して欲しいらしいんだけど、売れる本はどこへ置いても売れるし、そもそも売れる売れないの一番の要因は置き場所じゃなくて、内容でしょう」など。それにしてもこの半年明るい話題がこの出版業界にはほとんどなく、出版衰退というのを肌身で感じてしまう。
何だかまたぐったりしてしまいそうだったので、夜、出版業界を少しでも明るくしようと無謀なイベントをしている「本屋プロレス」の仕掛け人である太田出版のUさん、Mさん、伊野尾書店の伊野尾さんと池林房で酒を飲む。すっかり3人に影響され、「出版業界にプロレスを!」と叫びつつ新宿駅へ向かう。