本の雑誌2006年2月　ミノムシ大あくび号 - 今月の本の雑誌

取次搬入：2006年1月10日
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　グレッグ・イーガン『ディアスポラ』の訳者と解説者が突如入院して、「イーガンの呪い」とＳＦ界に噂が広がってから、はや二か月。ふたりのＳＦ者も無事に退院して、ほっと安心。そうだ、この際、お祓い代わりに退院記念の特集でお祝いをしよう！　というわけで、今月の特集は「お鍋ぐつぐつ快気祝いスペシャル！」。冠動脈にサイファーをセットし、サイボーグ訳者として復帰した大森望と「ハチクロ」を最新刊まで一気読みした心優しきＳＦひと筋者・山岸真が入院中に読んだ本をマル秘公開するＷＳＦ者独占インタビュに始まり、入院読書の達人（？）金子のぶお、よしだまさし両人が初級・中級・上級者におすすめする入院中に読みたい本、そして育休中の新米母書店員・林香公子が選ぶお見舞いに持っていく一冊に加え、本誌読者が選ぶ入院のお供にしたい本まで、不測の事態にあわてないための備えあれば憂いなし特集だ。おっと、忘れちゃいけない、入院前の通院でウォーミングアップするために本誌探検隊が徹底調査してきた「笹塚の病院にはどんな雑誌・本が置いてあるか」のレポートもあるぞ！　入院なんてしないにこしたことはないが、しちゃったその日もばしばし読みまくるために、要チェックだあ！
　新刊めったくたガイドは三橋暁の代打で関口苑生が登場！　ハチャメチャ大作『皇帝のい血脈』荒唐無稽大風呂敷にぶっ飛んだかと思うと、石堂藍は、なんと全百巻の壮大無比な神話プロジェクトの始動に期待爆発。退院したての大森望が地球外知性をがっぷり描く世界水準のハードＳＦに興奮して血圧上げれば（大丈夫か？）、病しらずの大矢博子は読み心地サイテー！といいつつ、『向日葵の咲かない夏』でご飯三杯。吉田伸子が恋も友情もくったり煮込んだ極上スープに舌鼓を打ったあとは、米光一成が枡野浩一『あるきかたがただしくない』の力強く確かな書きように納得。そして北上次郎は志水辰夫『うしろ姿』のあとがきに大ショック！　さあ、なにがどうしてショックだったのかは、本文を読んでくれぃ！
　そして今月はお待ちかね、大森望の「この30年間のＳＦベスト30」が登場！　入院騒ぎでひと月遅れたが、その分、品切れＳＦベスト30編もついて、パワーアップのサイボーグ版だ。推定3000冊から選び抜かれた30冊＋30冊を、ぜひ読もう！　さらに戌年なのに、なぜか「兎について」の吉野朔実劇場、血も凍る５人乗りボートの恐怖におののくかなざわいっせい、千載一遇のチャンスかピンチか、女性ジャーナリストの『恐怖のハイウェイ』に迫る柳下毅一郎、横溝正史のおどろおどろしい世界に挑むローヤー木村と、真冬なのにホラー系（？）も満載。おこたでだらんの背筋も伸びる本の雑誌２月号を、今年もどうぞよろしく！

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