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2006年4月 オタマジャクシ追跡号

 活中者になくなてはならない家具、それが本棚だ。本棚には、持ち主の思想信条、趣味特技、好きな異性のタイプ、嫌いな食べ物、ひいては生き様までが反映する。オーバーかもしれないが、本棚は人格そのもの、人生の履歴書なのである! というわけで、本の雑誌4月号は本棚にぐぐ~んと迫る大特集。理想の書庫を求めて自宅を新築した活中者二人がそのポイントを語る対談から、二万冊の本を本棚から出しては入れる古本者の辛く愉しい引越し報告、そして本棚から持ち主の人となりをずばり推理する本棚プロファイリング座談会に、読者が夢見る理想の書庫まで、正しい本棚との付き合い方を考える20ページだ。さあ、アナタも自分の本棚を見て、わが身を振り返ろう!
 新刊めったくたガイドは、今月から復帰した三橋暁がフェローズ署長の新訳再刊を諸手を挙げて歓迎すれば、石堂藍は稲生平太郎『アムネジア』の迷宮世界に挑戦! 大森望が名作傑作揃い踏みのものすごい一冊に今年の海外SFベストワン!と太鼓判を打てば、大矢博子は千年の時を駆ける珠玉の連作『七姫幻想』にカ・イ・カ・ン。折り紙つきの歴史音痴・吉田伸子が『安徳天皇漂海記』で心すっきりしたあとは、米光一成がお茶の間テレビのジレンマを斬るメディア論にあわわわ面白いと一気読み! そして北上次郎は北アフリカに売られた白人奴隷の物語に、またまたぶっ飛んで、体ざわざわだ! 強力新刊めじろ押しで、春の眠気もぶっ飛ばそう!
 創刊30周年特別企画「30年間のベスト30」もいよいよオーラス。第10号で初登場した三橋暁がこの30年間の翻訳ミステリーをばしっと総括するぞ。貧乏学生が白髪じじいへと変貌するまでの30年間のベストミステリーは何か。思いっきり三橋暁の30冊に注目してくれぃ! さらに今月は台湾でベストセラー街道驀進中の日本人女子の書いた本をレポートするサブカルおじさん遠藤諭の亜細亜的出版事情があれば、ビンゴ本郷「よさこい少女マンガ格闘記」は荒川静香金メダルおめでとう記念で、フィギュア漫画に挑戦! オリンピックも終わっていよいよ春本番。さあ、友よ、寝ぼけていないで、本の雑誌4月号をお供に人生のなんたるかを共に考えよう!

目次

今月の一冊

この30年間の翻訳ミステリー30冊/わが最愛の作家たちがここにいる! 三橋暁
台湾で日本人女子の書いた本がベストセラーになっている 遠藤諭

特集:本棚だけが人生だ!

理想の書庫設計対談 永江 朗vs牧 眞司
古本者緊急引っ越しレポート/両面本棚は両側同時に抜くべし! 北原尚彦
本棚プロファイリング座談会/本棚は持ち主を映す鏡である!
読者アンケート/私の理想の書庫はこれだ!

ハインラインとロシアSF 鏡明
南の話/本を読む女たち 青山南

新刊めったくたガイド

フェローズ署長のデビュー作が新訳で登場だ! 三橋暁
名作傑作揃い踏みのものすごい一冊だあ! 大森望
千年の時を駆けるミステリー『七姫幻想』に感嘆 大矢博子
壮大無比の幻想歴史物語『安徳天皇漂海記』で心すっきり! 吉田伸子
お茶の間テレビのジレンマを斬る刺激的なメディア論 米光一成
北アフリカに売られた白人奴隷の想像を絶する物語 北上次郎

個性派脇役が楽しい『花崗岩の街』 穂井田直美
ひそかに売れてるブキミな作品!? 岩井道
よろず相談承ります江戸時代の陰陽師は大忙し 青木逸美
ニュー・スペース・オペラ『コラプシウム』刊行! 山岸真
リトルプレスの増加と出版理念の変容 永江朗
手術中の医師の写真で溢れ出すリアルとシズル!? 近藤庄太郎
嬉し楽しい偏執的粘着的執念の本 渡邊十絲子
古今東西釣りの本が大集合だ! 川上

坪内祐三の読書日記/松本道子さんの本を続けて見つけた 坪内祐三
サブカルチャー創世記/金欠の日々 津野海太郎
よさこい少女マンガ格闘記/フィギュア漫画にみるヒロイン今むかし ビンゴ本郷
笹塚日記 目黒考二
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/女殺し犬殺し小説に怒! 豊崎由美
悪党どもの肖像/大恐慌とクライム・ノヴェルの登場 吉野仁
ヒーローたちの荒野/戦争を介した二つの作品の共通点 池上冬樹
自在眼鏡/双葉社の社名の由来を知っているか!?
コラム
 ・今月の浅沼茂 浅沼茂
 ・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
 ・銀の輔本の旅 高野ひろし賢一

濃いリトルマガジンが読みたい! 柴口育子
国語便覧で読んだ幻の名作小説 青木るえか
“北ソ笑む”の“ソ”ってなーんだ? かなざわいっせい
殺人ピエロ“ゲイシーさん”への手紙 柳下毅一郎
掲載図書索引

続・棒パン日常/本を読むひと 穂村弘
三角窓口/カタブツ校長を感動で泣かせたい!他
北原バカ本道 北原尚彦

「オリエント急行の殺人」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅/夢のホテル暮らし 沢野ひとし
今月のお話/「第三次あやしい探検隊」のヨロコビと悲しみ 椎名誠
後記

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