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2008年3月 イカ丼助太刀号

 本に夢中で電車を乗り過ごしたり、同じ本を二回買ってしまって、あやや、またやっ ちゃったとお嘆きのアナタ。なあに、電車を乗り過ごすくらいならご安心。失敗といっても、初級中級上級から減給左遷懲戒免職人間失格までランクはあるの だ! というわけで、本の雑誌3月号は活字の大失敗をずばり研究。経験豊富な失敗の達人たちが失敗自慢で失敗番付を決定する、バレたら懲戒免職必至の匿名 座談会と読者の体験談、さらに坂木司の失敗コラムまで、自分の失敗は棚に上げて安心しようの特集だあ!

 新刊 めったくたガイドは三橋曉がドイツ作家の第2作『ラジオ・キラー』のサプライズのつるべ打ちに驚愕すれば、牧眞司は鬼才リャマサーレスが描く、狼の自由、 蛇の孤独にうっとり。大森望が1900枚の娯楽SF大作『新世界より』に驚天動地阿鼻叫喚すれば、宇田川拓也は『メフェナーボウンのつどう道』がぐんにゃ りした心に沁みこんで復活! 永江朗が岩井三四二の時代小説集『たいがいにせえ』に「ウマいなあ」とつぶやけば、東えりかは行方不明の名画をめぐる謎解き ノンフィクションにわくわく。そして北上次郎は新人・和田竜のセンスにぐいぐい引き込まれて、うまいよなあ、と感嘆。さあ、「ウマい」か「うまい」か、ア ナタも確認してみよう!

 今月から宮田珠己の新連載「ブックス・墨瓦蝋泥加」がスタート。本当にあったウソの ような本にタマキングがつっこむエンタメノンフ的読書エッセイだ。乞うご期待! ひと月あいてすまぬの北原古本旅はロンドン古書街をずんずん歩いて、ヘ イ・オン・ワイの小手試し。連載2回目、江弘毅「ミーツへの道」が早くも京阪神エルマガジン社に入社すれば、いよいよ佳境の津野海太郎はついに「ワンダー ランド」創刊で、編集部で三晩徹夜。数え五十の坪内祐三が「マイブック」どこにありますか、と聞けずにいたら、吉野朔実が「死ねばいいのに」とつぶやい て、ええと、ドキドキ。新連載「今月のお買いもの」で目黒考二が買ってうれしいマル秘の一品を告白すれば、椎名誠は「これからは神楽坂だ!」と断言。梅は 咲いたかスキーは行けるか? 春はもうすぐよっぱで行こう!の「本の雑誌」3月号なのだあ!

目次

今月の一冊

吉野朔実劇場/死ねばいいのに 吉野朔実
ミーツへの道/シティマニュアル奮戦記 江 弘毅
ブックス・墨瓦蝋泥加/『インドの不思議』の魅惑的嘘八百 宮田珠己

特集:活字の大失敗!

・失敗番付を決めるぞ座談会/ネットカフェで原稿は書くな!
・コラム・縄文パソコンの恐怖!? 坂木 司
・読者アンケート/私の大失敗!

北原古本旅・英国編/ロンドン古書店街をずんずん歩く!
北原尚彦
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/ミルハウザー・パークへようこそ! 豊崎由美
1920年代の旅人 鏡明
南の話/自称作家たちにかこまれて 青山南

新刊めったくたガイド

『ラジオ・キラー』の怒濤の畳み掛けを見よ! 三橋曉
鬼才リャマサーレスが描く狼の自由、蛇の孤独 牧眞司
驚天動地阿鼻叫喚のSF大作『新世界より』を見逃すな! 大森望
ぐんにゃりした心に沁みる『メフェナーボウンのつどう道』 宇田川拓也
岩井三四二の時代小説集『たいがいにせえ』がウマい! 永江朗
行方不明の名画をめぐるわくわく謎解きノンフィクション 東えりか
新人・和田竜のセンスに引き込まれる! 北上次郎

トリッキーな展開で引っ張るD・エリスの新作 穂井田直美
歴史を知る喜びと見失う怖さ 神谷竜介
売り場で起こった真昼の凶行 田口久美子
スラデック短篇集が奇想コレクション史上最大ページで登場! 山岸真
背中で語る広辞苑 近藤庄太郎
謎いっぱいの専門誌『地図中心』 柴口育子
三重丸強力オススメの哲学本だ! 渡邊十絲子
医療のかたちを問う病気腎臓移植事件 川上賢一

坪内祐三の読書日記/新潮文庫の『マイブック』どこにありますかとツボちゃんは聞けない 坪内祐三
サブカルチャー創世記/創刊の日 津野海太郎
悪党どもの肖像/イギリスに渡ったハードボイルド 吉野仁
ヒーローたちの荒野/『ゴールデンスランバー』と『笹まくら』 池上冬樹
日本SF戦後出版史/『人造美人』センセーションの巻 高橋良平
自在眼鏡/あの直木賞作家が覆面デビューの怪 他
コラム
 ・今月の林カケ子 林カケ子
 ・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
 ・古本屋セドロー君の午後 向井透史
岸和田DNA/赤いレインコート 中場利一
女の手仕事をなめたらイカンのだ! 大矢博子
本物は究極のババ抜きから生まれる 高野秀行
歴史的本格イヤミス『Yの悲劇』 霜月蒼
元警視庁警視の生々しすぎる捜査実録 柳下毅一郎
掲載図書索引
コラム・今月のお買いもの 目黒考二

続・棒パン日常/探求書 穂村弘
三角窓口/明太子の本当の親はフグだった!? 他  
長島千尋のうきうき道場 長島千尋

「女王国の城」の弁護士的読み方 木村晋介
歩く旅/唐松岳の桜 沢野ひとし
今月のお話/これからは神楽坂だ 椎名誠
後記

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