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唐木 幸子の<<書評>>
イン・ザ・プール
【文藝春秋】
奥田英朗
本体 1,238円
2002/5
ISBN-416320900X
評価:A
奥田英朗という作家の技術と才能が光輝くような1冊である。昨年の新刊本『邪魔』で出会ってAをつけた私だが、本書も、一体この人、何者だ、というくらい独創的な面白本だった。水泳や携帯電話や勃起(!)など、何かに取り憑かれた患者たちが伊良部一郎というどう見てもヤブ医者の神経科医を訪れる。しかし伊良部はあくまでも助演で主人公は患者たちだ。これが著者の実体験ではないかと思うくらいリアル。勃起はともかく、ケータイ中毒の男子高校生の描かれようは、そのせつなく卑屈な心中が思いやられて涙しそうになるくらい可哀想だ。私ももう少しで電子メールでこういう状態になりかけたことがあるからよくわかるのである。5分おきに繋いだりしたことのある人は結構、多いんではないだろうか。今思うとあれは病気だった。案外、神経を半分くらい病んだ状態の人間、自分が病み始めたことを自覚して病院を訪れるような患者には、親身に話を聞こうとするお定まりの医師よりも、伊良部みたいに鼻くそほじりながら、いいじゃん別に実害ないんだから、僕もやりたい、教えて、と言ってくれる方が効くのかもなあ。
夢の封印
【文藝春秋】
坂東眞砂子
本体 1,333円
2002/5
ISBN-4163209506
評価:B
7つの短編それぞれに、様々なタイプの、しかし同様に幸せとは言えない女たちが登場する。独身で不倫中の紘子、夫と倦怠期の晴子、同棲相手の浮気に限界を感じる奈美子・・・。彼女たちは、林真理子が描く都会の物語に登場する男女の主人公よりも、ほんの少し年齢が上で人生経験に富む。その分、華やかさに欠けるが、彼女らの静かな惨めさは、より強く迫ってくる。いつまでも読んでいられそうな不思議な安定感は著者の筆力によるものだろう。もしかしたら私も人生の選びようによっては紘子や晴子のような迷い多き日常になったかも知れない、いや、本当は似たようなものなのに考えないようにしているだけなのでは、と妙に心惑わせられた。最後の『熟れた休日』は単品としてはAのレベルだ。休日が疲労回復のためにだけあるような働きぶりのあゆみは44歳、旅行会社の重役だ。互いに連れ子をして再婚した夫にあろうことか女の影が・・・。さて、夫は誠実なのか不誠実なのか。男女の信頼関係の深さと脆さの両方を描き切った一編だ。
子盗り
【文藝春秋】
海月ルイ
本体 1.476円
2002/5
ISBN-4163209603
評価:B
流石にたくさんの賞を取っている人だけあって、文章も構成もとても読みやすい。私はこの本、一気読みだったし、真犯人もアっと驚いた。だったらなんでAじゃないんだよ、というと・・・、何だかあちこちに省略を感じるのだ。3人も個性的な主人公格の女性が登場してそれぞれのエピソードも単純ではない。それらがまるで大河ドラマの総集編を見るかのように通り過ぎていく。私のような、少しでも得心の行かないことがあるとムっとなる読者が満足するようにこういう濃い内容を書き込むには、単行本としてこの倍のページ数が必要だったんじゃあないだろうか。特に、看護婦の潤子と娘の関係や、ひとみ(スナック食い散らかして太ってるんで、他人と思えないところが辛い)の愛人・峰岸の役割など、えっ、えっ、どこかに書いてあったのを読み飛ばしたか、というくらい断片的だ。でも本作品はドラマ化されるんだろうし、その点、更にこれから作り込めて良いかもしれないけど。
水の時計
【角川書店】
初野晴
本体 1,500円
2002/5
ISBN-4048733826
評価:C
本書に対する読後感は、『子盗り』とは全く逆だ。つまり、一冊をこの半分の量に整理したら素晴らしかったのではないか。例えオムニバス式であるにしろ、不必要な登場人物、会話、ディテールが邪魔をしてぎくしゃくして読みにくい。例えば248ページの、「白血病は血液中の血球のがんになる」という文章だが、「白血病は血液のがんだ」のほうが正確だし読みやすい。その後の骨髄移植の適合性に関する記述も、著者が関連の専門書籍を一所懸命に読んで理解できた内容を書いてみた、という雰囲気がありありで、小説としての中身になりきっていない。これはほんの一例である。自分の中の確かなものはイメージだけ、あとは血肉になっていないものを話の骨格のあちこちに貼り付けてみたら原稿用紙の枚数は大変な量になった、そんな感じだ。著者は大変に真面目な努力家なのだろうが、この作品は横溝正史ミステリ大賞としては少々、初々しすぎやしないか。
偶然にも最悪な少年
【角川春樹事務所】
グ スーヨン
本体 1,800円
2002/6
ISBN-4894569396
評価:A
あー、良かった。締め切りは明日だが、頑張ってもう一冊、と読み始めたこの本。そこら辺の本にはない強さに満ちた迫力本だった。帯に、「自殺した姉の死体を運ぶ少年」云々と記されているが、どうしてこういうことを書くのか。それは残り3分の1からの話だろう。むしろ、何故そんなことに、という主人公の少年・カネシロの日常が描かれるそこまでが充分に読ませるのだ。渋谷の光景が何気ない言葉で描かれているにもかかわらず、そこに雑踏の緊張感を感じるし、カツアゲをしに単身、男たちに向かって女子高生・由美が歩いていくシーンでは、そのカッコ良い後姿があざやかに思い浮かぶ。著者は名立たるCFディレクターだそうだが、短い時間で視聴者の心をグっと掴む力のある人なんだろう。私は会話が多いとマイナスに感じることの方が多いが、本書の会話はその奥の心を感じさせるほんものである。カネシロの友人でアイドル顔の金持ち息子・原田や赤いセリカに死体を乗せて九州まで行く不良のタローなどの脇役まで存在感に溢れている。一切の無駄のない筆致に押されて、終盤の急展開まで一気に読める。
ゼルプの裁き
【小学館】
ベルンハルト・シュリンク
本体 1,900円
2002/6
ISBN-4093563314
評価:B
フランス人が書いたイギリス舞台のミステリ(どこかほんのり明るい『第四の扉』)を読んだ直後に本作品を読んだのでドイツを感じたなあ。同じミステリというジャンルではくくれないくらい暗いし、頑ななまでに真面目でストーリーがしっかりしていて曲線がない。当然、私の趣味としてはこちらに軍配が上がる。主人公の私立探偵ゼルプは日本の会社なら定年退職のトシでありながら現役である。これが若々しいこと! 頭は推理で高速回転するし、工場に忍び込んだ挙句に追われて川に飛び込んで泳いで逃げるし、新しい女友達とも気持ち良い関係を作る(現役!)。何より、精神が純粋で、ナチ政権下で検事だった頃のことを背負い続けて自問しているところが実に魅力的だ。そうだ、男の人が老いる瞬間というのは、自己肯定にあるのではないか。俺はこれでいいんだ、と思った一瞬から老人へまっしぐら。女は逆だ。私なんてもう駄目ね、と諦めた時点で老女化してしまう。自分の判断は間違っていたのでは、と意識し続けるゼルプを見よ!、じりじりと真相に迫って行くではないか!!。何だか読後、興奮してしまったぞ。
第四の扉
【早川書房】
ポール・アルテ
本体 1,100円
2002/5
ISBN-4150017166
評価:C
思い出したなあ、小学生の頃読んだ江戸川乱歩やコナン・ドイルを。同じ乱歩でも、少年探偵ものの『怪人二十面相』、『黄金豹』に『虎の牙』とかそういうの。(昭和20年代に出た光文社の全集、今でも持ってるもんね、奥付けも付いている。あ、喜国雅彦さんに聞かれたらどうしょう。全巻揃ってないしボロボロですからね) あの頃はわくわくして覚えるほど読んだが、今思うと何となくトリックがばかばかしいのだ。紅茶に混ぜた睡眠薬を飲まされてかどわかされるはずの文代さんが、実は手に持ったハンカチに全部吸わせていて、明智小五郎が種明かしに『文代のポケットを見てごらん、グチャグチャになったハンカチがはいっているはずだ』とか言う。当時は名作だと思った『妖怪博士』でも、スマートなはずの二十面相が洞窟でこうもりの着ぐるみ着て走り回ったりして、よく考えてみたら笑える。それらの感じに似ているのだ、本書の本格ミステリぶりは。密室殺人を始めとする多くの謎解きが、子供が真顔で言う嘘みたいに無邪気だが、いいのか、これで。これをわくわくして読めたら最高に面白いのだろうが、S.キングやディーヴァーにぞっこんの私は、もう奇術がらみのミステリを息弾ませて読むことは出来なかった。
食糧棚
【白水社】
ジム・クレイス
本体 2,200円
2002/5
ISBN-4560047464
評価:D
居酒屋などで友人と飲んでいると、その昔、自分がいかに貧乏だったか、を語る競争になることがある。いわゆる、『貧乏自慢』である。1週間も拾い食いをしたとか、一冬コート無しで過ごして以来、毛深くなったとか、なんでそんなことで競争になるのかわからないが、結構、本気になって、ひどい話を披露し合うのだ。それともうひとつ熱くなる話題がある。あの時食べたあれが美味しかった、まずかった、珍しかった、二度と出会えない幻の味だ、という『食べ物自慢』だ。本書は題名からして、そういう類の本かなと期待したが、それにしては洒落すぎていて面白くない。大体、自分とは違う食生活が背景になっているので、何が書いてあってどこがこの64篇の短編のオチなのかよくわからないのだ。美味しそうだ、これは食べたい、と思う魅力的な食べ物も出て来ないし。あとがきで訳者が、途中で消化不良に苦しんだ、と正直に書いているのが一番、面白かった。
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