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新冨 麻衣子の<<書評>>
コンタクト・ゾーン
【毎日新聞社】
篠田節子
定価 1,995円(税込)
2003/4
ISBN-4620106690
評価:C
たとえば今、このストーリーのように、言葉の通じない、まったく原始的な農業主体の村に住むことになったら、わたしにいったい何ができる?オーマイガッド、何の役にも立たないぞ。火も起こせないし、体力ないから農業の手伝いも足手まといになりそうだし、日焼けにも弱いし、眼も悪いし・・・まったくもってサバイバル能力のかけらもない人間だ。なんでそんなことを考えたかというと、最初はブランド漁りにしか興味がないバカ女かと思われた主人公たちが、意外にも村での生活のなかで自分の持ち味を活かして村人の役に立つのである。祝子は医師免許を持っており薬の処方を行い、真央子はアウトドアスポーツで鍛え上げた肉体で農作業に精を出し、ありさは得意の裁縫で村の女たちに重宝される。リゾート気分では知ることのできない、激しいカルチャーギャップにとまどい恐怖を覚えながらも、自分の居場所を見つけていく女たちのタフネスには頭が下がる。わたしも何か特技でも身に付けなきゃなあ。。。
アンクルトムズ・ケビンの幽霊
【角川書店】
池永陽
定価 1,365円(税込)
2003/5
ISBN-4048734725
評価:AAA
小さな駅前の路上で歌う少女の顔を見た時、西原のなかにある初恋の少女の顔が重なった。「北」に帰った少女スーインとの苦くせつない記憶が心のなかにふたたびざわめきはじめる。偶然にも駅前で歌っていた少女・フウコは、同じ鋳物工場で働くタイ人チュヤンたちのアパートに居候していた。西原はチュヤンはじめ工場で働くタイ人たちと仲良くしていたのだが、本心では深い葛藤を抱えていた。一年近く未払いになっているチュヤンたちの給料を帳消しにするため入管へ密告しろ、という命令を社長から受けており、その期限が迫っていたのだ。哀しみをもつチュヤンの瞳、社長の催促、<完璧>な妻、役者になると家を飛び出した一人息子、「何もかも放り投げれば」というフウコの声、「お願いやから、受け取って」と残されたスーインのハーモニカ。心優しく、しかし小心者の西原は「どいつもこいつも」と誰にも聞かれないようにひっそりとつぶやく。
本書も含めて、池永陽の作品には<後悔>という苦いスパイスがふりかけられる。胸が痛くなる。読んで損なし、の一冊です。
愛さずにはいられない
【集英社 】
藤田宜永
定価 2,100円(税込)
2003/5
ISBN-4087746453
評価:AA
「はー、なるほどねえー」読み終わった後、若き日の藤田サンの写真を見て深くうなずいた。いい男だわー。こりゃもてるだろう、母性本能くすぐる顔してるもの。
本書は、著者の学生時代における女性遍歴を中心とした自伝的長編である。ときは60年代後半である。ちなみに著者は高校生。なのに彼女との愛にまみれた同棲生活がこの本の多くを占める。つまり高校生にして同棲生活!うらやましいねえ。しかしそんな生活のなかで、彼はいつも空虚な心を持て余しているように見える。その原因となった母親との確執も本書では冷静に書き留められている。そんな影を持った雰囲気も彼の魅力となって、女を引き付けたんだろうけど。
大学を中退した後のフランス時代や小池真理子さんとの恋もいつか書いてほしいなあ。
非国民
【幻冬舎】
森巣博
定価 1,890円(税込)
2003/4
ISBN-4344003306
評価:B
いやー、近くの交番に立ってる警官すら悪者に見えてくるよ。面白さ以前にまずこの本は暗黒街ガイドブックだ。なにせ著者は<世界中の賭場を攻める>男だ。現実味があるよ。
薬物依存者のための施設『ハーフウェイ・ハウス・希望』に入居した良太だが、そこにいたのは元ヤクザの青年スワード、輪姦されたという傷を持つ少女バイク、元ギャンブル狂の鯨、そしてこのハウス独特の治療法を研究するオーストラリアからの美しい留学生メグ、という風変わりな面々。だが自由で優しい雰囲気に満ちた施設に良太はすっかり魅了されていく。そして経営が危ぶまれている施設の運営費を稼ぎ出すため、スワード、バイク、良太の三人が動き始める。
腐りきった警察の構造と、闇のギャンブル世界を徹底的に描いた作品。それに比べると人物の印象が薄い感じだったけど、勢いで読める作品です。
PAY DAY!!!
【新潮社】
山田詠美
定価 1,575円(税込)
2003/3
ISBN-4103668091
評価:AAA
たとえばペイデイ(給料日)、恋のはじまり、プレゼント、そんなことで人は幸せになる。そしてたとえば大事な人の死、別れ、病気、そんなことで悲しみを覚える。人の心を揺さぶるものはいつの世も変わらず、ひどくシンプルなことばかりだ。だからこの本は、力強い。
主人公は、同時多発テロにより母親を失った双子のハーモニーとロビン。大切な人の死に呆然と立ちすくむ2人とその家族の一年間が、そして二人にそれぞれ訪れた、はじめての真剣な恋が、美しい南部を舞台にゆったりと綴られる。
発売日を楽しみにしていた本書だが、その日は奇しくもイラク戦争開戦の日でもあった。死者をカウントするTVと、この本はまったく別サイドにあるものだと思った。泣ける小説じゃない、何度でも涙ぐめる小説だ。
ぼくらはみんな閉じている
【新潮社】
小川勝己
定価 1,575円(税込)
2003/5
ISBN-4106026562
評価:C
日常のなかにある、不思議な狂気の世界を描いた短編集。何より恐ろしいのは、人間の頭のなかだ。
一番印象に残ったのは、「かっくん」。同棲中の恋人・美代子が<トーテムポールの出来の悪いパロディみたいな人形>を拾ってきたところから物語が始まる。夜中にいきなりその人形が「ハアー!かっくんかっくん」と言いながらはげしく腰を動かしているのである。どれだけ渾身の力で殴ろうと蹴ろうとまったく動じない人形。それどころか激しく腰を使いながら自分の方に迫ってくる。気付けば美代子までかっくん人形と同じ動作をしながら向かってくるではないか。慌てて部屋から転がり出してみると・・・。
自分だけ異常なのは恐くないが、自分だけ正常なのはおそろしい。どうでしょう、読んでみたくなりません?
ピエールとクロエ
【新潮社】
アンナ・ガヴァルダ
定価 1,365円(税込)
2003/4
ISBN-4105409026
評価:A
ほかに愛する女性ができたからと突然夫に別れを告げられ、取り乱すクロエを、義父ピエールが突然のバカンスに連れ出した。そしてあきれるほどに堅物なピエールの口から語られたのは、生涯ただ一度の、妻以外の女性との切ない恋物語だった。
わたしがクロエでも「だから何だ!自分を裏切った夫を許せというのかあ!」と反発するだろう。どうしようもなく恋に落ちてしまうことはある、そう頭のなかで分かっていてはいるのだ。だけどピエールが自分の経験を通して本当に伝えたいことは、死んでしまいたいほどに辛い別れを経験し、どれほど後悔しても、生きてさえいればなんとかなるもんだよ、ということだった。悲しみの真っ最中にいるクロエにとって即効薬となるものではないけれど、きっと徐々に心にしみてくる物語であったことは想像に難くない。
だけど正直、うらやましい。自分の息子の妻だった女性を必死になぐさめようとしてくれるなんて、なかなかないよね。