斉藤 明暢の<<書評>>
評価:C ものすごい貧乏というものは、話では聞くけどうまくイメージできない。家は金持ちでも何でもなかったが、小学校のクラスに靴がない子なんていなかったし、近所にも明日の食事にも困るような人はいなかったはずだ。もちろん生まれた時代や場所なんかで、その辺の事情が違ってくるのは当然だけど。名作アニメの「とりあえず貧乏な主人公」路線が続かなくなったのも無理はない。 この主人公の一家はものすごい貧乏だが、ちょっと不思議なのは、物心両面で時々ちゃんとした援助というか手助けが得られることだ。例えばの話、ある夜に突然、親戚の一家が着の身着のままで押しかけてきたら、自分がどの程度寛大にふるまえるか、けっこう疑問だと思う。 そして無宗教的ニッポン人として気になるのは、人々の生活や考え方に染みこんだ宗教や教会の存在だ。宗教は人を幸せにするのか、それとも余計な面倒をセットで呼び込むものなのか。 やはり自分がよく知らないものには、どうもコメントしづらいのだった。