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小嶋 新一の<<書評>>
しゃぼん
【新潮社】
吉川トリコ
定価 1,260円(税込)
2004/12
ISBN-4104725013
評価:D
男にとって、女性の生理というものは、頭や理屈では理解ができても、身をもって体験することがないから、やっぱり感覚的にはよくわからないもの。この作品には4つの短編が収録されているが、所々で結構しつこく生理のシーンが描かれる。が、う〜ん、いまいちピンとこないぞ。そうした感想が、この作品と僕の相性を象徴しているよう。
例えば、タイトル作。30歳を目の前にして、一日の半分は眠って暮らし、お風呂に3日入らなくってもぜんぜん平気、彼氏と二人暮しで職業はプー、という女性が主人公。スーパーで「奥さん」と呼びかけられても気持ちの整理がつくようにと、わざとおばさん風コスプレを決め込み、万引きで捕まった小学生になぜか救いの手を差しのべ、家に帰ったら彼氏のためにうどんを打つ……彼女がとる行動、彼女の感情が、あまり子供っぽくって行き当たりばったり。あんた、本当にその年齢なの?との違和感が先にたち、40歳を目の前にした僕には感情移入ができません。僕が男性だから?それで共感できないんだろうか。女性の皆さんはどうでしたあ?特に若い方。
日暮らし(上下)
【講談社】
宮部みゆき
定価 各1,680円(税込)
2004/12
ISBN-4062127369
ISBN-4062127377
評価:A
良い小説に出くわすと、グイグイ引きこまれどんどんページを繰っていた、ということになるが、大別するとストーリーで引っ張るタイプと、語り口で引っ張るタイプと二種類あると思う。この作品はまさに「語り口が真骨頂!」というタイプ。
江戸の下町を舞台に、ぼんくら同心・井筒平四郎と甥の美形少年・弓之助のコンビが、豪商・湊屋にまつわる殺人事件の真相を追いかける。
登場する人物多数、いろんなエピソードが次々と語り重ねられていくのに、ちっとも混乱することなく読み進むことができる。それはきっと、作者の語り口の妙によるところが大きいのだろう。なにしろ登場人物みんなが、本の中でいきいきと動き、泣き、笑い、怒り、悩み、語らっている。おまけに、作者の登場人物に対する視線があったかい。だから読後感がすっきり、気持ちいい。
上下巻あわせて700ページ超だが、そのボリュームを感じさせない書きっぷりには、改めて驚かされる。ごっつあんでした。
漢方小説
【集英社】
中島たい子
定価 1,260円(税込)
2005/1
ISBN-4087747433
評価:B
僕は子供の頃気管支が弱く、見かねた母親が漢方薬を探してきてくれ、その煮汁を毎日飲み続けていた時期があった。見た目が泥のようで、おまけに臭くて苦くて妙に甘ったるくて、それでも体調がよくなればと鼻をつまんで飲み続けていた。それで劇的に体質改善したという記憶も残ってないが、今から振り返ってみると、確かにその後学校を休まなくなったような。この作品を読んでいて、そんなことを懐かしく思い出してしまった。
男友達の結婚を聞いた直後から原因不明の体調不良に襲われた主人公・みのりが、漢方薬と、その処方をしてくれるお医者さんと、東洋医学の考え方に支えられて、心身ともに健康を取り戻していくお話。
コミカルで軽快な語り口がなかなか楽しく、読んでいるうちにほんわかと元気が沸いてくる。これなら僕のように鼻をつまんで煮汁を飲み続ける必要もなく、読むだけで漢方効果が期待できる(はず)。恋に疲れた人は、ぜひ、どうぞ。
となり町戦争
【集英社】
三崎亜記
定価 1,470円(税込)
2005/1
ISBN-4087747409
評価:C
テレビのディスプレイを通して見る戦争が、まるでテレビゲームのように感じられるようになったのは、よく言われるように91年の湾岸戦争からだろう。夜のしじまに光の尾を曳いてミサイルが飛び交い、翌朝までに戦況が大きく動く。僕がまだ子供だったベトナム戦争の頃とは、戦争そのもののあり方が大きく変わってしまった。
この作品は、リアルなはずの戦争がまるでバーチャルなものの様に感じられるようになった現在だからこそ、生まれてきたんだろう。眼の前で爆弾が炸裂することもないし、機銃掃射もない。そもそも、戦闘シーンは一切出てこない。
主人公の住む町がとなり町と戦争をはじめることになり、サラリーマンながら偵察業務を任命された彼は、とまどいながらも戦争に首を突っ込んでいく。町の様子はいつもどおり平穏無事なのに、行政の手で局地的に戦闘がくり広げられるという奇想天外な設定を、作者がどんな風に料理するのかが興味のポイント。しかしながら、テーマは興味深いのに、尻切れトンボに物語りは収束してしまう。せっかくの着想なのに、消化不良気味なのが残念。
四畳半神話大系
【太田出版】
森見登美彦
定価 1,764円(税込)
2005/1
ISBN-4872339061
評価:A
僕は学生時代をこの作品の舞台と同じ京都で過ごしたのだが、大学という処には、一般社会ではお目にかかれない変人が色々うごめいていたとの記憶がある。例えば、崩れかけた大学の寮に、留年し続ける8回生がヌシのように住み着いているとかいないとか。学生運動もあれば、怪しげな宗教団体の下部組織がいっぱい棲息していたり。
社会に出てはや15年以上、昨今のキャンパス事情は知るよしもないが、少なくとも「四畳半神話体系」の中には当時を思わせる怪人たちが生き延びていて、実はちょっと安心してしまった。
「薔薇色のキャンパスライフ」から最も遠い存在である偏屈学生たちの、無益かつ孤高の活躍(?)を馬鹿馬鹿しくもシニカルに描き出す本作品、作者の持って回った語り口や、ひねくれた登場人物、凝った構成に、最初は深い洞察や真理が隠されているのでは、と深読みしたりもするのだが、そんな期待は不毛であった。単に、あまりの馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばすことだけに集中すべし。
時間を持て余し、その時間を無益に使っても全く気にならないという方だけに、心から、強力にお勧めする次第です。
素敵
【光文社】
大道珠貴
定価 1,575円(税込)
2004/12
ISBN-4334924484
評価:A
えらい濃いなあ〜、というのが何をおいてもの感想。5つの短編に登場するどの登場人物も、いや〜濃いこと、濃いこと。いきなり出てくるのがバリバリのおばちゃん。それから、それに負けず劣らずの娘。おまけに、会話は思いっきり博多弁。これだけで圧倒されます。
さらに驚かされるのは、そのアクの強い人物を作者が見事に描ききっていること。おばちゃん姉妹が集まり、昼間からワインを傾けながらぺちゃくちゃやっているシーン。ワイングラスの口紅を拭った後、長女が喋り続けながら指先をさりげなく座布団へなすりつけるしぐさ。それを眼の隅で追っている妹。こういうどうでもいいがドキッとさせられる様子を、さらりと巧みに描かれると、うわ〜よう見てるなあ、と唸らざるを得ない。
そんな調子で、母と娘、夫と妻、彼氏と彼女……のケンカしながら悪態をつきながらも、心の底でしゃあないなあと許している、微妙で複雑な距離を次々と浮かび上がらせる。まさに職人芸。お見事!です。
アジアの岸辺
【国書刊行会】
トマス・M・ディッシュ
定価 2,625円(税込)
2004/12
ISBN-4336045690
評価:A
百貨店のエスカレーターを、本を読みながら下っているうちに、気がついたら永遠に下り続けるエスカレーターの世界に迷い込んでしまった男の焦燥を描いた『降りる』は、クラシカルなテーマを扱ったSF作品だが、背筋が寒くなる結末が魅力的。本好きの貴方は要注意!間違ってもこれからは、本を読みながら下りエスカレーターに乗らないように。
一方、本を読むことでお金が稼げる方法をコミカルに描いた『本を読んだ男』は、目黒さん・椎名さんの云う「日本読書株式会社」に輪をかけたホラ話。この話を読んで、僕も今度、全米識字能力振興会宛に閲読者養成講座の申込金を払い込むところなんだ。
帯に「〈奇妙な味〉のフルコース」とある通り、異国情緒あふれる幻想譚や、シニカルであったりグロテスクであったりする短編一つ一つが、それぞれ独特の色ににきらめき、万華鏡のような異彩を放つ。ダールやエリンやフィニイを、早川書房「異色作家短編集」で次々と読んだ頃を、懐かしく思い出してしまった。