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WEB本の雑誌
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今月の新刊採点
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【単行本班】2006年11月の課題図書
ダブル
永井するみ (著)
【双葉社】
定価1890円(税込)
2006年9月
ISBN-457523561X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
小松 むつみ
評価:★★★
こういう手合いは苦手だ。舌がざらつくような読後感。一見平凡な人間たちに潜む自覚のない悪意、人を侮った傲慢さを描く。誰もが自分は正常、常識的だと思っている。しかし、それぞれの「常識」には少しずつズレがある。たいがいはそのズレは、さして大きくはない。だが時として、ズレどころでなく、大きく意識を違えた人たちがいる。殺したほうにも、殺されたほうにも言えるのは、客観性の欠如。でも、意外とそういう人は多いのかもしれない。
駆け出しの女性ライターと、世事に疎い主婦(しかも妊婦)。対照的な二人の女性が、ひとつの事件をきっかけに関わり、お互いに思惑を秘めながら、表面上は友情とも見える交流を深めていく。もうそういうところから気色が悪くて、悪くて。女の嫌なところ、大安売りみたいで。しかしそれほど、徹底して人間の醜さ、愚かさを描ききった作品だとも言える。
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川畑 詩子
評価:★★★★
罪の意識を持たない殺人のお話。真綿でくるんで優しく首を絞める的な不気味さが秀逸。
ほぼみんなが、最初はいやーな感じに登場。人にぶつかって謝りもしない男、思いやりに欠ける発言が多くて人の言うことを聞いていない上司、幼稚で自己中心的な男性。それが実は頼りになる社員であったり、部下の成長をきちんと見守る上司であることが次第に分かってくると、不快感を与える要素を持っていても、殺されるに値する人などいないという当たり前のことが見えてくる。だから「私の気に障るものは排除する。それが世のため人のためでもあるでしょ?」とでも言わんばかりの犯行の浅はかさや気持ち悪さが際だつのだ。
犯人には終始共感をもてなかったが、憎たらしいほど冷静で計算高いこの人物が、一瞬だけ素の姿を見せる場面がやけに印象的だった。
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神田 宏
評価:★★★★
怖い。このミステリは怖い。江戸川区の路上で20代の女性がトラックにはねられて亡くなる「いちゃつきブス女事件」。痴漢に間違えられた一流企業の会社員が葛西駅で転落死する事件。「ブスで太った女の子」、痴漢に間違われるようなドジで容貌のさえなく、不愉快なくらい声の高い小男の死。世間からはむしろ同情より蔑みの関心を集めそうな事故の背後には、偶然でない連続殺人の疑惑があった。そのことを感じたゴシップ誌記者の多恵は、なくなった二人の周辺に乃々香という「柔らかな、とても柔らかな雰囲気の」妊婦の存在を嗅ぎ付ける。「よく言えば家庭中心に、悪く言えば自分の周りにだけ意識を向けて生きている女性特有の無神経さ」を乃々香に感じ取った多恵は強い疑念を持つが、第3の事件が起こる。ラストに向けて多恵自身も事件に巻き込まれてゆく。他人から見ると忌み嫌われて当然のような被害者の印象とその裏では結構いい人だったりするその実相。誰が見ても幸せそうな妊婦の乃々香と多恵が疑うその裏の素顔。二つの面が行き来しながら最終へと突き進んでゆく。そして事件の真相が明らかになってゆくが、その動機が怖い。そして、新聞の社会面に書かれるありきたりの事故もひょっとしてと思えてくると二重に怖い。だっていそうだよこの犯人みたいな人。僕達の周りにも。
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福井 雅子
評価:★★★★
若い女性が路上に飛び出して車に轢かれて死亡するという、事故か殺人かもわからない事件に、女性ライターの多恵は興味を持ち取材を始める。第二、第三の事件が起き、多恵は巻き込まれつつ次第に事件の真相に迫っていく。
犯人が誰か、動機は何か、読者には最初からだいたいの目星がつくように書かれている。だからこの作品の楽しさは、犯人さがしでも動機さがしでもない。それなのにこんなにスリリングでこんなに引き込まれることにまず驚かされる。そして、読み進むにつれて犯人の狂気がじわじわと肌に迫ってくるようで、思わずゾクッとする。なんとなく展開が読めているのに目が離せない、怖いけれど気になって本を閉じられない、と読者に思わせるだけの計算された構成と語りの上手さがこの本にはある。力作だと思う。それにしても、こういう人、本当にいそうで怖い……。
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小室 まどか
評価:★★★
いちゃつきブス女、きんきん声のネズミ男、色呆けで不潔なじいさん……同じ地域で発生する不審な事件の被害者たちの取材を進めるうち、野心家のライター、多恵は、同い年の幸せそうな妊婦、乃々香に出会う。
平易な言葉だけで淡々と綴られているのに、目を離せない危うさのようなものが漂っていて、するすると引き込まれてしまう。被害者たちに共通する特性、彼らの意外な一面が次第に明らかになり、モチーフに新しさはないが決して飽きさせない。キビキビして押しが強い独身キャリアの多恵と、甘えん坊でやわらかな雰囲気の専業主婦の乃々香という正反対のキャラクター同士が、警戒しあいながらも密かに羨望の気持ちを抱きあい、惹かれあうに至る、女性ならではの心理の描写やエピソードの挟み方も巧みだ。
ただ、「かかずらって」「まったくと言ってない」「ひと足飛び」など、校正漏れ(敢えてではないと思うのだが?)にひっかかって、せっかくの流れが分断されるのが残念。
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磯部 智子
評価:★★★
私にとっての初・永井するみ作品は、最初からある人物を指し示していた、殺人犯はきっと彼女だと。でもその乃々香は妊婦であり最も人を攻撃するのにはふさわしくない状態にある。一体どうやって? 誰にも疑われずあっけらかんとした乃々香の態度と、人とは怖いものだという諦念が結びつきそうになった時、乃々香に疑いを抱くライター多恵が現れ……人の心の隙をつく上手さに感心する。一方途中から読めてしまった部分やミステリとして納得できない不自然な部分など欠点も多いが、人物=女性を描くのが抜群に上手い。乃々香、多恵、被害者なのに「容姿が整っていないと同情もしてもらえない」と表現される「いづる」も含め其々「嫌な女」なのだが、同時に皆誰かにとっては大切な人だという皮肉で至極当たり前な現実もしっかり押さえている。外見重視の男性に対する苛立ちと共に女性同士の複雑な葛藤もある。その根拠の無い自信は何処から湧いてくるのか?という程の自己肯定の裏には、他者を全否定(削除)しようとする男女問わない現代人の側面もくっきりと描かれている。タイトルの意味は更なる進化形態……ふと我が身を省みてしまう怖〜い一作。
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林 あゆ美
評価:★★★★
こわい。読んでいて背筋がぞぞっとした。自分の周りにもこういう人いるのではと思うと、人が歩いている道を歩くのがこわくなった。
妊娠中の専業主婦、柴田乃々香と独身でライターの清里多恵。このふたりを軸に、事件はそろりそろりと輪郭をみせる。乃々香の気晴らしは、巷でおきた事件記事を切り取って読み返すこと。この奇妙な気晴らしがどんな意味をもつのか。意味をつかんだと思った途端にどんでん返しをくわされる。本当は骨太の記事を書きたいのに、デスクから求められるのは、読者に好評な風俗ネタコラムだけ。自分を認めさせたい、その気持ちからネタを探しているうちに、多恵は乃々香と奇妙な接点をもつ。
ハラハラしたり、変な人と思いながら読んでいたものが、最後にカードを裏返すように見方が変わる。人を多面的に見ることの難しさを感じる。あの人もこの人も、自分の気持ちひとつで見方が変わっていく。気をつけなくちゃ。不安定な気持ちになる読後感がクセになりそう。
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今月の新刊採点
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