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今月の新刊採点
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【単行本班】2006年12月の課題図書
雷の季節の終わりに
恒川 光太郎(著)
【角川書店】
定価1575円(税込)
2006年11月
ISBN-4048737414
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
小松 むつみ
評価:★★
幼いころの遠い記憶のエピローグから物語は始まる。秘められた村「穏」で暮らす少年・賢也の話と、東京に住む少女・茜の話が入れ代わり立ち代り進んでいく。ホラーというより、和風ファンタジーといった風情。
この二人がどう交錯するのか。ハラハラ、ドキドキ。近ごろ流行(はやり)の二重構造とはいえ、やはりやすやすと引っかかってしまうのだ。まあ、それが本読みの醍醐味ですが。
前半、穏の話のモタツキ感が惜しい。どうせそこまで引っ張るならば、ラストまで、その怪しいファンタジーを持続して欲しかった。とたんに空気が一変し、薄ら寒い残忍さが際立つ展開に背筋が凍る。やはり、ただのファンタジーでは終わらない。
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川畑 詩子
評価:★★★★
架空の町「隠(おん)」を、確かに存在する場所のように描ききり、超自然の不気味な世界をのぞかせてくれた。「隠」は日本と地続きでありながら、ずれた層に位置する町。清らかな水が流れ、町はずれには立ち入り禁止の「墓町」がある。人々は戦前か昭和40年代頃を思わせるゆるやかなテンポで生活し、春の前には「雷の季節」という特別な季節がある。この静かな場所は閉鎖的で因習に満ちており、残虐さや排他性といった人間の俗なる面が、時に陰惨な事件や風習を生み出す。
「隠」と現世の境に立つと、向こう側の世界は蜃気楼のようにゆがんで見えるという。禍々しいのにきれいで印象的な設定。禍々しいといえば、伝説の殺し屋が撃たれるシーン。ようやく倒したと思ったその相手は意外な反応をして……。ここが一番鮮烈で恐怖を感じました。
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神田 宏
評価:★★★★
民俗学的香りの幻惑的1篇。現か幻か、存在しないようで存在するような町、「穏」に住む「賢也」に雷の晩とりついた「風わいわい」。「穏」に隠蔽された「墓町」にさそわれ、「賢也」は現との回廊を通って現在の都会に行く。そこにいたのは「ムネキ」という「穏」の「鬼衆」だった。「悪い子は雷の季節に、鬼衆に連れて行かれる。」と言い伝えられる。雷の晩に失踪した姉と隠された「穏」の秘密を知った「賢也」は......。独特の言語感覚と幼少の頃の記憶を強く喚起する幻想世界。「ムネキ」がターミネイター張りの不死身さを見せつけるところはちょっと雰囲気そがれ興ざめだが、それを差し置いても「穏」に強い郷愁を感じさせるその筆力は生半可ではない。読んでる間「とうりゃんせ」のメロディが頭から離れなかった。
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福井 雅子
評価:★★★★★
生と死の狭間にあるような不思議な町「穏」で暮らす少年・賢也が、ある出来事をきっかけに穏を追われる。現世への逃避行の途中、封印されていた過去の秘密が明らかになっていき、行方不明だった姉とも再会を果たすが……というホラー調の長編小説。
ホラーはあまり得意ではないはずの私が、プロローグの3ページ半で完全にハマってしまった。不思議な土地・穏、人が消える雷の季節、鬼、風わいわい憑き……物語の設定に魅かれたことも確かだが、文章がそれ以上に素晴らしい。劇場ならば幕が開いたときに舞台上のセットと音楽と照明を駆使して作り上げるであろう、この物語の「空気」を、澄んでしんとしたプロローグの文章はわずか3ページ半の間にさりげなく読者に送り込む。素晴らしい。
ストーリーの展開にも引き込まれるが、古来の伝承のような設定や「雷季」とか「風わいわい」「鬼衆」などの名前の使い方もとても効果的である。そしてとにかく文章が上手い。緊張感がありつつ程よく抑制のきいた文章は、一読の価値あり。ホラーと聞いて想像しがちなおどろおどろしい感じはないため、このジャンルにあまり馴染みがない人にもお薦めの一冊。
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小室 まどか
評価:★★★
関東の外れに位置する、現世とは隔絶された因習の土地“穏”。そこには、四季のほかに「鬼」が闊歩する雷の季節があった――。
“穏”を追われる賢也を主人公に、現世に帰る場所のなくなった茜の物語が交差しつつ、次第に謎が明かされ、鳥に似た不思議な力をもつ「風わいわい」の存在をネックに、現世と“穏”を行き来する「鬼」との対決へと収束していく。この構成の妙が、人の心に潜む悪意をあぶりだすような筆致とあいまって、ホラーないしミステリ的な要素を盛り上げていく。居場所のない少年少女が、異界で、いわゆる神獣のような動物の守護を得て、邪悪な存在との戦いを経て、成長していくというモチーフは、一連の宮崎駿監督作品を髣髴とさせる。異界冒険譚としても楽しめる一冊。
雷の季節――時が過ぎ去っていくのを感じ、過去をゆっくりと時間をかけて思い出す為の時間。それは誰にも訪れる少年から大人への転換期なのかもしれない。
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磯部 智子
評価:★★★★
しごく当たり前のことのように異世界が語られる。デビュー作『夜市』でもそうだったが抵抗無くすっとその世界へ連れて行かれる。そしてまた同じように目の前の知っていたはずの誰かが何者なのかわからなくなってしまう。「現世から隠れて存在する」異世界「穏」で暮らす少年・賢也。彼には、雷の季節に姉が行方不明になって以来、妖怪「風わいわい」が憑いている。その賢也が図らずも探り当てたある秘密の為、風わいわいと共に「穏」を出奔し追手に追跡されることになる。前半、賢也の視点で語られる「穏」の風景が非常に幻想的でかつ確かな存在感を持ち、後半は語り手が変わり物語は広がりをみせる。どう展開するのかと期待したが、複数の伏線が縒り合わされて迎える終息はいささか強引に感じた。それでもあちらとこちらを易々と境界越えする貴重な作家による新作は、充分読み応えがあり、現世と異世界が背反したり混じりあったりするその世界に魅了されてしまう。それにしても一体人間は、何から逃げて、何処で「変質」し、そしてこれから何処へと向うのだろうか……そんなことをふと思ってしまった。
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林 あゆ美
評価:★★★
穏(おん)とよばれる町は、四季のほかにもう一つ神の季節があるという。そして穏は、書物にも地図にも載っていない町――。
世の人々と隔絶された世界があり、そこで生まれる人もあれば死ぬ人もある。では、いったいなぜそんな町が存在しているのか。もちろん、架空の話だとわかって読んでいるのだが、リアルな描写に、実在しても不思議ではない町が自分の中で立体化されていく。穏は何かを引き受けるために存在しているのだろうか。読みながら、引き込まれていく穏の暗い世界をリアルに感じれば感じるほど、近しさもおぼえる。
物の怪にとりつかれた少年、賢也が穏での秘密を知り、生活を追われる。追われた生活をすることで、もっと見えてくる穏。
独特の異世界のもつ重さや暗さは、現実にも確かにあるなと思った。読みながら感じた近しさは知っているからこそのものだ。
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