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WEB本の雑誌今月の新刊採点【単行本班】2007年7月の課題図書ランキング

20年後
20年後
オー・ヘンリー(著)
【理論社】
定価1260円(税込)
2007年4月
ISBN-9784652023716
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  小松 むつみ
 
評価:★★★★★
 とりあえず1篇だけ、と読み始めたが止まらない。  オー・ヘンリーは遠い昔に読んだことはあるが、正直なところ、それほど印象に残っていたわけではない。あまりにも有名で、いまさらという感もあった。すべて新訳で、初訳作品も多いとなれば、玉石混合だろうことも予想される。しかし、本書については、そんな懸念は杞憂に終わる。  読後は思わずにんまり。時代を超えて、読み継がれる世界的な短編の名手――全編に渡るそのダンディズムが粋ですばらしい。

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  川畑 詩子
 
評価:★★★★
 今オー・ヘンリーを読むことになるとは、ちょっと想像できなかった。「最後の一葉」は感動するよりも、病人をもっとうまく励ます方法は無かったのかと悶々とした記憶が。そして、どうもその頃から自分は成長していないらしい。久し振りに、きちんとオチのある話を読んだ満足感はあるのだが。今ではなくもっと年取ってから読むと、また面白いかも。
 シリーズを企画した人の意気込みに☆ひとつを。

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  神田 宏
 
評価:★★★
 子供の頃、オー・ヘンリーを読んだときに、ほっこりとした温かさと優しさに包まれたことを思い起こした。言わずもがななのだが、やっぱり好きだったなあ『最後の一葉』。そしてクリスマスといえば『賢者の贈り物』。その、ほっこり感が甦りました。未訳も含む新訳9編。久しぶりに触れたオー・ヘンリー。イロニーの中のヒューマンな結末は健在で、大人になるのも悪くないかもと、新たな読後感もありました。

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  福井 雅子
 
評価:★★★★
 「20年後の同じ日、同じ時間にここで会おう……」親友と交わしたその約束を果たしにやってきた男を待っていたものは? という表題作をはじめ、9つの短編を収録した珠玉のショートストーリー集。
 オー・ヘンリーといえば、言わずと知れたショートストーリーの名手。でもその作品が生み出されたのが19世紀後半から20世紀初頭にかけて、日本で言えばやっと江戸時代が終わって明治維新を迎えた時代であるという事実を知れば、驚く人は少なくないのではないだろうか。それくらい、古さを感じさせない「生きた作品」ばかりである。上品でウイットに富んだ極上のユーモアに触れ、百年たっても読み継がれるホンモノの力を感じることができる一冊。和田誠氏の挿絵も、軽妙なタッチの文章にマッチしていて、親しみやすいイメージを生み出している。

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  小室 まどか
 
評価:★★★★★
 O・ヘンリーの短篇に初めて出会ってから約「20年後」、なんとうれしい再会であろうか! どこにでもいそうな人たちの日常を気軽に切り取っているようで、実は考え抜かれたシチュエーション。洗練されたオチを持ち、人生のほろ苦さもしっかり踏まえたうえで、なお惜しみない人間愛を感じさせる作品たちは、一篇一篇を心の底から大切に味わいたくなる。これまで何度か使ってきたが、「珠玉の」という言葉は、O・ヘンリーの短篇たちに冠されるのこそふさわしいであろう。
 敢えて多くを語らずに、まずは作品自体の質の高さと、読後のえもいわれぬ幸福感を、ひとりでも多くの方に味わってもらいたいと願うばかりである。このコレクションには、初訳のものも含まれるそうで、続刊も楽しみ。

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  磯部 智子
 
評価:★★★
 バルザックといい、今月は古典の月だと思いながら読む。オー・ヘンリーなんと懐かしい。代表作『最後の一葉』や『賢者の贈り物』が馴染み深いアメリカ短編小説の名手で、装丁、挿画、挿絵は和田誠氏。といえば先月の課題『星新一 一〇〇一話をつくった人』を思い出すが、改めてその「銀行勤務時代に横領罪で起訴され有罪判決を受けるが、真相は不明」という経歴にも興味を引かれる。犯人を護送中、右手を手錠でつながれた保安官が、昔の知り合いに出会う『心と手』、見知らぬ浮浪者に悩みを打ち明け、人生のアマチュアからプロになるべく勝ち目のない求婚を決意する『高度な実利主義』など、収録されている9編何れも、技巧的なオチより人間的な解決が勝り、そうあって欲しいという願いより、もう一歩ひねりを効かせた結末を迎える。生きるということが、敗北感を抱えた者にとっても捨てたものじゃないと、読み終えてちょっと良い気分になった。

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  林 あゆ美
 
評価:★★★
 ショートストーリーのピリっとひきしまった物語には和田誠の洒落た装幀がよく似合う。「20年後」「改心」「心と手」「高度な実利主義」「三番目の材料」「ラッパの響き」「カーリー神のダイヤモンド」「バラの暗号」「オデュッセウスと犬男」の9編がすべて新訳もしくは初訳で収録されている。
 眠る前に一日の疲れにおさらばするのにもっていこいの話ばかりの中、ひとつだけ紹介すると――。「改心」は、金庫破りの名人バレンタインの話。小気味よく成功していた金庫破りも時には失敗してムショ暮らしにもなるが、たいていは短い滞在で出所し、また同じ仕事にもどる。ところがそうならなかった時があり……。人情味あるこのラストは何度読んでもいい。

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