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漱石は友達四人とともに房総へ出かけたそうだ。 毎日毎日海水浴をし、宿に帰れば食べて飲んで、風呂、そして碁か花札。 いやいや漱石だけはその仲間に入ることなく物思いにふけり、そして詩をしたためていたそうだ。 「木屑録は、漱石が正岡子規ひとりに見せるために書いたものである」とあったが、はたして漱石は一緒に旅行に行けなかった静養中の子規を思い、この旅行記を完成させたのである。 「ここは笑うぞ、ここはきっとおれを見直すぞ」そう思いながら筆をすすめる漱石を思いうかべるとまたこの旅行記も違った印象を持ち、なんとも楽しい。
漱石や子規の自筆の写真版や木屑録の活字版も巻末に紹介してあり、実に興味深い。 セミの鳴き声を聞きながら、この書評を書いていると、まさしく私も夏休みの宿題をしている気分となった次第である。てへ。
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