[前月号へ] [次月号へ]

2022年3月 葉わさび深呼吸号 No.465

 文体が合う本は読んでいて気持ちいい。では、文体とはなんなのか!? というわけで、本の雑誌3月号の特集は「文体は人生である!」。絶叫歌人福島泰樹の言葉は「音」である!インタビューから、嵐山光三郎と椎名誠が振り返る昭和軽薄体の衝撃、パスティーシュの愉しみにシミタツ節のダンディズム、文章読本読み比べに現代文学、世界文学、エッセイ、3ジャンルの文体が感じられるブックガイド、そして読者の好きな文体まで、文体の謎と真実に迫る22ページ。いざ、めくるめく文体の世界に飛び込むのだ!

 新刊めったくたガイドは吉野仁が落ちこぼれ男のロードノヴェル『クライ・マッチョ』が痛快だ!と太鼓判をおせば、藤ふくろうは人間の感情ヘドロをえぐり出す『壁の向こうへ続く道』を堪能。大森望がIT+ナチスの改変SF『NSA』をお薦めすれば、古山裕樹は命を賭けた推理ゲーム『名探偵に甘美なる死を』にびっくり。高頭佐和子が町田康『男の愛』にLOVE次郎長!なら、すずきたけしは新たな視点で世界を見る八馬智『日常の絶景』で上書き保存。そして北上次郎は馳星周『黄金旅程』を複雑な気持ちで読了。競馬小説大好きなおじさんがいったいどうしてこの小説に留保をつけたのか。54ページで確認だ!

 今月は「本屋の旅人」和氣正幸が棚貸し本屋の現状と展望を提言。棚貸本屋は本屋の福音たりうるかを4ページで検証すれば、川口則弘の新連載「文芸記者列伝」がいよいよスタート。第一回を飾るのは論争と黒子の男・堀紫山。さあ、どんな文芸記者なのか、34ページを開こう! そして今月の読み物作家ガイドは寺地はるな。世の中にあふれる「こうあるべき」を問う寺地作品から、青が好きな大竹真奈美が厳選。「本当の自分のまま自由にいられるように」選んだ10作に注目だ。さらに今月は黒い昼食会が情報解禁日の順守と事前情報の必要性を訴えれば、高野秀行が新宿ゾンビホテルに軟禁!? 岡崎武志「憧れの住む東京へ」が大団円なら、青山南が2か月ぶりに復活して「朝の着替えもいやになった」! さあ、論争と黒子の男から伝説の八時半の男まで、文体もキャラクターも百花繚乱。本の雑誌3月号で春もすぐそこなのだあ!

目次

本棚が見たい!

3月の書店 野崎書林/3月の本棚 吉川浩満
文芸記者列伝/論争と黒子の男 川口則弘
SF音痴が行くSF古典宇宙の旅/新宿ゾンビホテル 高野秀行
古本屋台/Q.B.B.

特集:文体は人生である!

絶叫歌人・福島泰樹インタビュー/言葉は「音」である! 
昭和軽薄体とはなにか 嵐山光三郎
椎名誠インタビュー/シニカルな軽薄体
“きしめん”から“焼きそば”まで爆笑パスティーシュ本の世界 内田 剛  
志水辰夫の文体について 北上次郎 
文体カタログから実践的文章術まで 永江 朗  
物語へ転げ落ちる言葉の魔法 徳永圭子 
自由奔放な文体の喜び 牧 眞司  
枕は、低反発 石川美南 
読者アンケート/この文体・文章が好きだ!

一私小説書きの日乗/這進の章(十九) 西村賢太 
そして奇妙な読書だけが残った/コロナ鬱はバ美肉の夢を見るか? 大槻ケンヂ 
棚貸し本屋は本屋の福音たりうるか? 和氣正幸
弱虫DIY/グラインダーのすすめ 内澤旬子

新刊めったくたガイド

落ちぶれ男のロードノヴェル『クライ・マッチョ』が痛快だ! 吉野 仁
人間の感情ヘドロをえぐり出す『壁の向こうへ続く道』 藤 ふくろう
IT+ナチスの改変歴史SF『NSA』をお薦め! 大森 望
命を賭けた推理ゲーム『名探偵に甘美なる死を』 古山裕樹
町田康『男の愛』の清水次郎長にLOVE! 高頭佐和子
新たな視点で世界を見る八馬智『日常の絶景』 すずきたけし
馳星周『黄金旅程』を複雑な気持ちで読む 北上次郎

長浦京『アキレウスの背中』の下水流悠宇に期待! 宇田川拓也
博物館のお土産と優しい名画泥棒 ♪akira
戦う組織人に勧める変化のための本 和氣正幸
俊英・ベテランが集うAIロボットSFアンソロジー 山岸真
やさしさと憂いを秘めた連作『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』 田中香織
ニコヤカな店員さんが集う品の良い老舗 小山力也
書店を運営する出版社「よはく舎」 竹田信弥
社会復帰を支える求人誌 下井草 秀

東京ロシアンルーレット/深まる謎と沈黙と 江部拓弥
ユーカリの木の蔭で/いろは、あれこれ 北村 薫
断捨離血風録/本命 日下三蔵 
サバイバルな書物/時は今ところ足元で獲物追う その日暮らしがSDGs 服部文祥 
私がロト7に当たるまで/家電長者への道 宮田珠己
黒い昼食会/事前に情報を流してくれ! 
鉄道書の本棚/国鉄労使の複雑怪奇な関係を描く通史 V林田
憧れの住む東京へ 山之口貘(5)/池袋の貘さん 岡崎武志 
連続的SF話/古本屋写真集の大発見 鏡 明
南の話/朝の着替えもいやになった 青山 南
そばですよ/野球界、伝説の「八時半の男」がすべての始まりだった。 平松洋子
前提を覆す読書 円城 塔
飛行機事故を読む べつやくれい 
物語から科学のワンダーへ 藤岡みなみ 
心の目で映像が見えるか 風野春樹 
ホリイのゆるーく調査/小説のタイトルによく使われる数字は何か 堀井憲一郎
神保町物語外伝/夢二と望月百合子 沢野ひとし
寺地はるなの10冊/本当の自分のまま自由でいられるように 大竹真奈美

続・棒パン日常/聖域の読書 穂村 弘
三角窓口/薬師寺涼子と泉田は春琴・佐助の末裔か!? 他
即売会の世界 石川春菜

今月書いた人
掲載図書索引
今月本の雑誌に遊びに来た人
後記

[前月号へ] [次月号へ]