『ムナーリの機械』ブルーノ・ムナーリ

●今回の書評担当者●うさぎや自治医大店 高田直樹

 なんとなーく夏の終わりを感じ始めたこの頃...(まだまだ暑いけど...)。 なんとなーく寂しくなったりしませんか...?
 
 そうでしょ寂しいでしょ、なんとなく。日に日に焼けていく肌になんとなく達成感を感じていた人も、山に海に大活躍した人も、バカンスついでになんだかんだあった人もたくさんいるでしょう。皆さんそれぞれの"ザ・夏"を過ごされたことでしょう。その反動も手伝って、やたら寂しいでしょう。

 そんな「ちょっと寂しさトリツカレ屋さん」は、ふとしたことで困ったり、嘆いたりしちゃうでしょう。 しちゃうでしょう。 そりゃムリもない。例えばそれは、「造花のにおいを嗅いでみたい」と悩んだり、「留守中でも笛を吹いてみたい」と身悶えたり、「怠けものの犬にしっぽを振らせたい」と憤ってみたり、いろいろでしょう。
 
 そんな貴殿貴女に力強くおすすめしたいのが、この「ムナーリの機械」なのだ。

 導入にムリがあった事は自覚できてますよ。でもこういうムリヤリ感も、また好みなのです。 ごめんなさい。

 お詫びはさておき、この「ムナーリの機械」は素晴らしい本なの。見開きの「著者の写真」から、もうズレてるの。とにかく誰も悩んでいない事に焦点を当て、勝手に困って解決してる(?)本なの。全部ムダなの。全部イラナイ"発明"なの。

 例を挙げたものの他にも...
「蚊を死ぬほど辱める機械」⇒ナゼ"辱め"る?
「干しブドウばらまき機」⇒ナゼばらまく?
 などなど、着想からしておかしい機械が目白押しなの。いいでしょ。いいでしょう。こういうバカさ。しかも、それぞれの機械が図解で大変分かりやすいの。

(人格があっちこっち行ってしまった...また反省)

 兎にも角にも、全篇ニヤリとさせる奥深い笑いを誘うこの本。くだらないのだ。でも、至って真面目な感じで書かれてるのだ。「寂しい季節に」とおすすめしているが、季節を問わず「ちょっと心がささくれだった時」とかにお勧めしたい。トゲトゲしていた心が少しほぐれる。
 
 こういう本がバカバカ売れる本屋に勤めたい。

 ここまで書いていきなり反省...。
 
 7月に紹介して「夏休みの工作に是非!」ってすればよかった...。その方がずっとずっとタイムリーだったし、皆さんのお役にも立てた...。ダメだなぁ...俺ってやつは...。

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うさぎや自治医大店 高田直樹
うさぎや自治医大店 高田直樹
大学を出、職にあぶれそうになっていた所を今の会社に拾ってもらい早14・5年……。とにもかくにもどうにかこうにか今に至る。数年前からたなぞう中毒になり、追われるように本を読む。でも全然読めない……なぜだ! なぜ違う事する! 家に帰っても発注が止められない。発注中毒……。でも仕入れた本が売れると嬉しいよねぇ。