●担当者●銀座・教文館 吉江美香

2013年4月11日更新

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学

 万城目作品を読むとき、最初のページをめくる瞬間からその指先がもう面白さを予感している。今度は何をやらかしてくれるのかな、とわくわくせずにはいられない。  奇想天外な設定をストーリーにぴったりはめ込む... 記事を見る »
2013年3月14日更新

『Iターン』福澤徹三

「上司にしたいタレントランキング」云々という話題を時々耳にする。 「上司にしたい小説の主人公」を投票する機会はないのかな~。誰が何と言おうと(言わなくても)福澤徹三『I(アイ)ターン』(文春文庫)の狛... 記事を見る »
2013年2月14日更新

『ホテルローヤル』桜木紫乃

「突然愛を伝えたくなる本大賞投票」のお知らせが届いたとき「縁がないのでわかりません!」と叫びたかったが、そうだ、ワタクシのくまモン愛を伝える本はやはり『犬神もっこす』西餅(講談社)か? と悩んでいるう... 記事を見る »
2013年1月10日更新

『中二階』ニコルソン・ベイカー

<<「あたしぃ、よく『変わってる』ってって言われるんですぅ」という若いものに対して、私は自分が二十代のころから一貫して、能面のような顔で接してきた。>> 木内昇さんの初のエッセイ集『みちくさ道中』(平... 記事を見る »
2012年12月13日更新

『ぼくは勉強ができない』山田詠美

<青春モノ>というジャンルに振り分けられる作品なのだろうが、高校時代が遥か彼方遠くに過ぎ去ったいまも、読み返すたびにずしんとくる度合いがどんどん増してくる。  学生という身分を卒業してから何年(いや、... 記事を見る »
2012年11月8日更新

『弱くても勝てます』高橋秀実

 かなり昔のことを思い出した。 「ウチの体育祭さ、おもしろいよ」と懸ちゃん(面倒くさいのでどんな繋がりかの説明は略)が言うので開成に出向いたことがある。男子校とはいえ荒々しい競技が続き、騎馬戦は馬ごと... 記事を見る »
2012年10月11日更新

『ある男』木内昇

 私の貧しい語彙ではこの作品の奥深さと重量感を語り尽すことなど到底不可能な話で、それがとてももどかしい。(いきなり言い訳だ!)  七つの短篇に登場する七人の男性の名は記されていない。「ある男」たちはま... 記事を見る »
2012年9月6日更新

『戦死やあわれ』竹内浩三

 よかったなぁ、店が銀座で! こんなに嬉しいことって久しぶりかも。  五輪メダリスト達のパレードを目の前で観た。世界の舞台で活躍した選手たちは文字通り輝いていた。  ひときわ大きな歓声を浴びた体操の内... 記事を見る »
2012年8月9日更新

『深い疵』ネレ・ノイハウス

 ミステリ好きな顧客さんに迷うことなくお薦めしているのが『湿地』と、この『深い疵』。両方とも東京創元社さんかー、やるなぁ。登場人物が膨大で、かつ覚えにくい名前でもメゲナイぞ。『ミレニアム』で鍛えられた... 記事を見る »
2012年7月12日更新

『非現実の王国で』ヘンリー・ダーガー

 ポップアートの巨星、アンディ・ウォーホル。決して誰にも見せなかった寝室が彼の死後写真で公開された。奇才の寝床やいかに、と世間は色めき立ったが極めてシンプルなベッドのほかには十字架と聖母子像の絵画が飾... 記事を見る »
2012年6月14日更新

『女が嘘をつくとき』リュドミラ・ウリツカヤ

「これのどこがオモシロクて、スゴイの?」  友人に訊かれた「これ」とは発売当初から話題になり10年経った今も静かに売れ続けている『ソーネチカ』である。  そう問われてハタと考え込む。「すごいんだ!ソー... 記事を見る »
2012年5月10日更新

『見習い物語』レオン・ガーフィールド

故ダイアナ妃はウィリアム王子が幼少の頃、下層労働階級が多く住み一般の人々が足を踏み入れないような地域に王子を連れて行き「これが将来あなたの背負う大英帝国のひとつの姿だ」と現状を見せたという。ジャック・... 記事を見る »
銀座・教文館 吉江美香
銀座・教文館 吉江美香
創業127年を迎える小社の歴史のなかでその4分の1余に在職してるなんて恥ずかしくて言えやしないので5歳から働いていることにしてください。好きな人(もの)はカズオ・イシグロ、木内昇、吉田健一、ルーカス・クラナハ、市川左團次、UKロック、クリミナル・マインド、文房具、生け花。でもやっぱり本がいちばん好きかな。