WEB本の雑誌

10月26日(木)

 夕方、下版(雑誌の最終校正)のため大日本印刷へ出かけた編集部から電話が入る。
「消しゴムと鉛筆削りを忘れちゃったんで、出張校正室まで届けてもらいたいんだけど。」

 思わず、それくらい近くのコンビニで買えよ!と怒鳴りつけたくなったが、グッと言葉を飲み込む。この大不況のなか少しでも経費を節約した方がいいし(消しゴムと鉛筆削りで節約になるのかわからないけれど)、ちょうど同じところに原稿を届けに行くアルバイトがいたためしょうがない。

 ブツブツ文句を言いながら、僕は、誰もいない2階の編集部へ上がっていった。編集松村の机の上にある電動鉛筆削りを引っ張ってみたが、うまく持ち上げられない。コードがつながっているのだから当たり前だ。

 早速、机の下に潜り込んでコンセントを確かめてみると、タコ足もタコ足。コンピュータやらプリンターやらいろんなコードが絡まりあって、コンセントにつながっている。「まったくふざけやがって!」とイライラしつつ、鉛筆削りのコードらしいものを探した。よくわからないので、あてずっぽうに黒いコードを引っ張った瞬間、なっ、なっ、なんと大爆発!!!

「ボッカーーーーン!!!」

 真っ白な煙と鼻につくゴムの焼けたような匂い、そして目の眩むような閃光。僕はあまりの驚きにそのままひっくり返った。ひっくり返りながら机の下に頭を強打した。いろんなショックでパニックになって、思わず自分が生きているのか死んでいるのか、よくわからなくなってしまう。

 しばらくの間、誰もいない編集部で、ぼんやり机の下に倒れ、コンクリートむき出しの天井を見つめていた。配管のダクトが何本もはしっていることをその時初めて知った。しばらくたって、いやどれくらい時間が過ぎたのかわからないけれど、やっと意識が正常に戻り、とにかく指の数を数えた。大丈夫10本ある。しかし手は真っ黒な煤で汚れていた。ワイシャツも同様だった。何気なく前髪を触ってみたら、パラパラと焦げた髪が落ちてきた。まさに炎の営業マン。いやはや、昨日の決意で本当に燃えてしまうとは思わなかった。

 いまだに、いったい何が爆発したのかよくわからない。わからないけれど、もう怖くて近寄る気がしないのでそのままにしている。
 そして、鉛筆削りは旧式の手動型を持っていくことにした。