WEB本の雑誌

1月13日(火)

 とある書店を訪問し、仕事の話をしていたところ、担当者が突然思い出したように話し出す。

「そうだ! 新宿店の子が年末と年始に『書店風雲録』を注文したら、速攻で直納きてくれて、それもイケメンだっていうじゃないですか!!! 誰々そのイケメンって?」

 そのイケメンが僕のことだったとしたら、世界はやっぱり広いといえるのだが、残念なことにそのお店の直納は、僕がしたのではなく、助っ人学生に任せたものだった。現在、助っ人学生のなかで男子は2名。ひとりは「走る」及川君であり、もうひとりは、つばさ君であるが、どちらにしてもイケメンでピンと来るタイプではない。

 早速、会社に連絡をいれ、そのお店の直納担当を確認したところ、担当はつばさ君であった。電話越しの「助っ人匠」浜田は、また何かミスがあったのかと怯えていたが、訳を話すとそんな下らないことで電話して来たのかと怒りだす。

 すまん、すまんと謝りつつ、「で、つばさ君は世間一般というか女性から見たらイケメンなのか?」と問いただすと、突然甘い声になりやがり「だって背だって…だし、顔も小さくて、ちょっとミスチルの桜井に似ているし、今風のイケメンですよ」と大プッシュ。何も背のところを「…」にする必要はないだろうが…。

 その話をそのまま担当者に話すと
「なんでこっちの直納は杉江さんなのよ。これからは杉江さんは打ち合わせ担当で、お店にはそのイケメンが来るようにして!!!」と懇願されてしまった。

 女性書店員さんは「イケメン」に弱い。それも未婚に限る。
 どこかの出版社にイケメン営業マンが入ると、その噂が瞬時に駆け回る。○○出版社の誰々が
カッコイイなんて話は、出版社の倒産情報より早く伝わったりするのだ。おまけにその営業マンが結婚したりすると、一気にその熱が冷めるのが恐い。

 人間だもの、とつぶやきつつ、先週聞いた話を思い出す。

 そのお店で、ある本が妙に売れていた。なぜ?と確認すると、40代の店長さんは笑いながらこんなことを話した。

「いやー、珍しく××出版が来たと思ったら、若い女の子で。思わず20冊くらいで充分なのに、100冊なんて叫んじゃってさ。後から考えたら当たり前だけど100冊売るのはかなり大変で、いろんな手を考えて必死に売っていたら、伸びちゃったんだ。けがの功名だけど…」

 男だって、同じことだ。
 そして人生は残酷である。
 しかし、現実である。

 会社の戻って、イケメンといわれたつばさ君を捕まえ、事実をそのまま話すと、あまりに素直にニヤケ出し「杉江さん、いつでも代わりますよ」なんて言い出す始末。

 俺だって、俺だって。くぅ…。
 ああ、本の雑誌社にはこの先のポストがない。どうしたらいいんだ?