1月21日(水)
とある沿線のとある書店を訪問したところ、いきなり担当者さんに「聞いて下さいよ~」と泣きつかれる。
どどどど、どうしたんですか?とあわてて話を伺うと、ただいま一番話題の本の書名があがり、その本の重版分の配本が3回とも飛ばされたというのだ。飛ばされたというのは、注文を出しているにも関わらず、1冊も入って来ないということだ。これが、まあ、本当は納得いかないことだけれど、僕がよくこの日記で取り上げる町の小さな書店さんであれば、「またですか」なんて互いに半笑いであきらめられる。
しかし、この日訪れた書店さんは、大きなチェーンの支店である。それも看板ばかりの支店でなく、朝から晩までお客さんが途切れることなく、夕方以降はレジに多くの人が並ぶほどしっかりと売上をあがているお店なのだ。この規模のお店で話題本が入らないとなったら、いったい町の書店に並ぶのはいつになるんだ?
なぜこのような事態が起きるのかといえば、やはり「返品」の問題に尽きるだろう。
出版社側から見れば、話題になればなるほど書店さんから見込みの発注が増え、とても現実的な数字ではない注文が山のように届きだす。それをすべて出荷していたら数カ月後には倉庫に返品の山が築かれる。だから、最低限の部数を増刷し、それをある程度判断の付きやすいお店に置く。
しかし書店側から見れば、10冊なんて注文を出しても、1、2冊しか入らないとなれば、50冊と書いて、10冊くればと考えるのは当然のことだろう。おまけにいくらきちんと売れると話したくても、なかなか出版社の営業が来ない。来ないならば、信頼関係なんて築けやしない。
見込み発注が減数を呼び、減数が見込み発注を呼ぶ。そのような注文書を挟み、お互い不信感を募らせているのが、ここのところ、いやずっと昔からの出版業界である。これほど小売り店とメーカが信頼しない業界は他にあるのだろうか?
こんな関係が今後も続いたとしたら、自ら不況を脱出することなんてありえないだろう。それどころか、売れる本も売れなくなるとしか思えない。本は基本的に替えが効かない商品なのだから。