WEB本の雑誌

1月27日(火)


 出版営業マンにとって一番難しいのは「増刷」なのではないか。

 本来商品の在庫がなくなったら、新たに増産するなんていうのはメーカーにとって当たり前のことなんだろうけど、出版業界には「返品」という恐怖がつきまとうので、おいそれと増産するわけにはいかない。たとえ、倉庫が空っぽになっても、市中在庫と呼ばれる書店さんでの在庫があり、それがいつ空っぽの倉庫に戻り、山を築いてしまうかもしれないのである。

 おまけに現在は、とにかくビックリするくらいピタリと売れ行きが止まってしまうことが多い。注文品が書店さんに届いた頃には、すでにその停止状況のときも多く、そうなると、注文分がほとんどそのまま返品になるなんていう、恐怖以外の何ものでない状況が待っている。その返品には、問屋さんから手数料やらが引かれるので、痛みは倍増だ。

 そうなると何だかもう売り切れなら売り切れで良いかという気がしてくる。リスクを背負うくらいなら、とりあえず現状で満足し、あとはもう目をつぶり、利益になる可能性より、負債になることを回避したくなる。

 そんなことを、うじうじ悩んでいたのは年明けのことだ。

 12月に出版した『書店風雲録』の在庫がみるみる減っていき、間もなく品切れになるのは目に見えていた。うれしいけれど、いやー、どうしたものか。データーを見たり、店頭を確認したり、とにかく集められる限りの情報を集めてみたが、だから何なのかが、このバカ営業にはわからない。

 困った困ったと嘆いていると、顧問目黒が降りてきた。
 訳を話すと「出版はギャンブルだ。」とつぶやく。
 確かに「出版はギャンブル」だろうけど、ならどうしたら良いんだ。
 そう問うと、目黒はぽつりと漏らす。
「ギャンブルは信じることだ。そう馬を信じろ!」
 馬じゃないんだけど…。

 まあ、どっちにしてもよくわからないし、ギャンブルなら思い込みの勝負だろう。まさに目黒が漏らした「馬を信じること」じゃないけれど、「本を信じる」以外、どうしようもないか。『書店風雲録』はもっともっと読まれていい!

 本日、本の力を信じて発注した『書店風雲録』の重版があがってきた。奥付にはしっかり2刷の文字。さあ、頼むぞ、走ってくれ!!! って、あれ? もしかして騎手は僕なのか?