WEB本の雑誌

1月30日(金)

 明日で、書店員人生17年にピリオドを打つ、安田ママさんを訪問する。

 お腹が新たな生命の分だけ膨らんでいたが、いつもと変わらぬ様子で棚差しをされていた。話をしてもいつもどおり気さくで、本への深い愛情がにじみ出てくる。いつもいつもこの笑顔に僕は癒されていたし、その笑顔の奥に隠された本への激しい情熱に触れるたときは、次へ踏み出すための勇気をもらっていた。

 安田ママさんは太陽のような書店員だった。

 それは人を明るくするという意味でもあるが、いつも読者の立場からこの出版業界を眺める安田ママさんが、激しく照らす光には、常に影があった。その影こそが出版業界の悪しき部分であり、その影の部分が変わることを安田ママさんは強く望んでいた。もちろん書店員一人が叫んで、簡単に変わることではないけれど、安田ママさんは叫び続けることをやめはしなかった。それは、読者のために…だった。

 そんな安田ママさんを見て、多くの営業マンが育った。本を売るということがどういうことか、本を出すということはどういうことか。あるいは働くということはどういうことか。

 僕自身もそのうちの一人だし、他の営業マンに聞いても同じような言葉が返ってきた。いつか、その種が育ち、芽を出し、花を咲かせることが出来たら…。いや、退職せざる得なかった安田ママさんの分も、残った人間は頑張らなければならないと思う。

 安田ママさん、お世話になりました。
 そしてこの退職がピリオドにならず、カンマになることを切に願っております。
 そのときまでに僕はもっと力をつけておきます。
 
 ありがとうございました。