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4月25日(日) 炎のストライカー日誌

 浦和レッズの話をしていると、よく聞かれるのは「自分ではサッカーをやらないんですか?」ということだ。その質問には「こんなチビでオッサンですけどやっているんですよ」と笑って答える。そうすると今度は「巧いんですか?」と聞かれることが多い。その質問には、下を向くことで答えている。

 僕のプレーの特徴は、声がデカイ、ウルサイ、なぜか点を取る、だろう。
 自分でも理由がわからないけれど、ほんとにほんとによく点を取る。シュートはヘボヘボなのだが、とにかくゴールネットは揺れるのだ。

 しかし誰がどう見ても巧い選手ではないことは確かであり、それは自覚している。リフティングは10回くらいしかできないし、華麗なフェイントなんてしようもんならボールに乗って転んでしまう。20年以上サッカー続けていて「ウルセぇな」と言われたことはたくさんあるが「巧いっすね」なんて言われたことはない。だから下を向くことで答えるしかできない。
 
 本日も、そんなヘボサッカーのため、埼玉スタジアムへ。最近チームのメンバーが11人集まらないので、もっぱらフットサルが主になっているのだが、我らが浦和レッズの準ホームスタジアムである埼玉スタジアムにはフットサルコートが2面あるのだ。気分だけはレッズの選手。

 ところがところがそのスタジアムに向かう途中、キャプテンのモリから連絡が入る。もしや5人も集まらず中止になるという悲しい連絡ではないかとおそるおそる携帯に出たが、モリは極度の興奮状態でしゃべり出す。

「す、す、すぎえ~、福田がいるぞ~!!!!」
「ふ・く・だ?」
「そうだよレッズの福田だよ、ハートフルサッカーで来てたらしいんだけど、もう終わって帰りだそうだよ、早く来いよ~」

 僕のオンボロ車は軽自動車に毛の生えたようなエンジンしか積んでないので、いくらアクセルを踏んでも大してスピードがでない。それでもとにかくアクセルベタ踏みにし、自分の身体を前後に揺らし、4コーナーを回った騎手のようにムチを入れた。

 キキキィー。駐車場の枠なんて関係なく、車を止めた。思わず後部座席に乗っていた娘を忘れて飛び出しそうになるが、「パパ~ここサッカー場?」の声で思い出す。そうか、こういうときこそ娘を使えだ。福田の子供好きは有名で、娘がファンだといえばきっと振り返ってくれるだろう。あわてて娘を抱え、埼玉スタジアム第2グランドへ駆ける。

 そこに福田がいた。
 僕、娘を出しに使うなんてことはすっかり忘れ、思わず腕から落としてしまった。

 そしてそして待つこと30分。取材を終えた福田がネットで囲われたグランドから出て来るではないか。こういうときに声をかけるのは相棒とおるの得意技。頼むぜ相棒とアイコンタクトするとすぐさま福田に駆けより「福田さん、スンマセン、写真お願いします」。まるでゴール前でボールを待っているときのような厳しい表情の福田だったが、優しく了承してれた。うれひぃ~。

 娘とともに3ショットを撮り終えたところで、今度はモリがサインをお願いする。なぜかこいつ、レッズ戦のときに配られる選手カードを持っていて、しかもなぜか用意よく福田のカードを手にしていたのだ。なぜだ? すらすらすら。福田はサインをし終え、控え室に向かおうとする。あわてて僕、なぜか携帯を取り出し「もうひとつお願いします」と声をかける。その声はもちろん震えていた。

 携帯のストラップは福田引退記念のストラップである。そのことに気付いたのかはわからないけれど、とにかく福田はサインしてくれた。ところでどうするんだ、この携帯? ふっとそんなことを思ったが、そんなことはどうでも良い。

 なぜなら目の前に福田がいるのだ。
 僕に何度も生きる勇気を与えてくれた福田がいるのだ。
 それも観客席とピッチという囲いの外と中でなく、すぐそこにいるのだ。
 あなたのゴールで、あなたの走りで、あなたの叫びで、僕は何度も泣いたのです。

 福田はその後、別のファンに囲まれ、なぜか池田伸康がその手伝いをし、控え室に入っていった。僕はその後ろ姿と携帯のサインを交互に見つめていた。

 すると娘が突然大声を出した。
「おしっこ漏れちゃう!」
 パパはとっくに漏れてるぜ!!!!