3月14日(水)
『笹塚日記 ご隠居篇』の見本を持って、取次店さんを廻る。
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あれはいつのことだったか、おそらく安田ママさんかブックファーストの林さんに営業で訪問した際「やっぱり読者としては雑誌の連載を単行本にする際は何か工夫があって欲しいですよね、売れ行きだってもちろん違うし」なんて言われたことがあった。
そりゃ僕だって読んでいる雑誌の連載が単行本になるなら、そのままではなく、あとがきはもちろん、図版であったり、写真であったり、おまけが欲しい。ごもっともです、と心に刻み、連載から単行本にする際は、何か工夫しようと考えている。もちろん出来ないことも多いけれど。
『笹塚日記』を作るときも、その頃の単行本編集者カネコッチから「どうしよう?」と話し合い、自分が読者だったら何が良いか?と考え、食べ物や街の写真、キャプションを入れることにしたのだ。本当は笹塚の地図も入れたかったのだが、カネコッチからもう勘弁してくれと泣きつかれたのを思い出す。
言うは易く行うは難しってことか? まあ言うのも(思いつくのも)大変なんだけど。ちなみにこんなことを言っていると、編集者は基本的に僕に近付かないようになるのだが、他のことはいくらでも妥協するけど、本のためには妥協はしたくない。というわけで、こちらから無理矢理近づき、あれこれ指示をだす毎日だったりする。
その後『親子丼篇』や『うたた寝篇』では写真を辞めて、目黒さんと社員との対談を掲載したのだが、それも何だかおこがましいし、読者にとっては邪魔かもしれないとちょっと反省。そこで今回の『ご隠居篇』では最終巻なので、ここは最後だからこそできることをしようと考えたのが、笹塚日記の登場人物による目黒さんや笹塚日記へのコメント掲載だ。
そのコメント原稿が届くたび、編集の浜本は「ククク」なんて笑いつつ、「編集者の醍醐味はやっぱりこういう原稿が一番に読めることだよな」なんて、珍しくカッコイイことをいっていたっけ。ノーギャラなのはものすごく格好悪いけど…。ありがとうございました、皆様。
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読者と目黒さんが喜んでくれたらいいな、と思いつつ、取次店を廻る。
3月20日(火)搬入。お楽しみに!