4月22日(火)
通勤読書は『TOKYO0円ハウス0円生活』坂口恭平(大和書房)。
先日読んだ『落合博満 変人の研究』(新潮社)で、赤瀬川原平さんが「珍しく本を1冊読み通しました」と紹介されていたので早速手に入れた次第。
ホームレスが作る家を集めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を出版した著者が、そのなかでも一番創意工夫して生きていると感じた鈴木さんの生活をルポする1冊。これを読むと、東京がまるで豊穣な海や山のように思えてくるから不思議だ。廃棄される車のバッテリーを貰ってきて、バイクのライトに繋げたり、食費以外がすべて0円という生活はなんだか自然のなかで生きる人びとと変わらない。またそういう工夫の生活だけでなく、この鈴木さんという人柄がほんとに素敵だ。
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今、僕が一番営業を楽しみにしている吉祥寺へ。
ブックス・ルーエさんを訪問し、2階文庫売り場Hさんのところに顔を出すと、「吉祥寺はやっぱりこれが売れていますよ!」と『バ−ボン・ストリ−ト・ブル−ス』高田渡(ちくま文庫)を紹介される。吉祥寺にはいまだ何かしらの匂いがあるんだな・
そのHさんは相変わらず面白い棚づくりをされているし、胸バッチには「いま粘菌が面白い!」なんて書かれていて、素敵だ。そんななか今、イチオシされていたのは『ほかに誰がいる』朝倉かすみ(幻冬舎文庫)で、他のスタッフの方に薦められて読んだら面白かったとか。
その後、訪問した啓文堂書店さんでは、残念ながら担当のMさんがお休みでお会い出来なかったのだが、新刊平台のいちばん良いところに『昭和の短篇一人一冊集成』(未知谷)の戸川昌子と吉行淳之介が並んでいるではないか。カッコイイ!
次に訪問した弘栄堂さんは相変わらずたくさんの人で賑わっていて、素晴らしい。こちらでも『バ−ボン・ストリ−ト・ブル−ス』がきっちり積まれていて、吉祥寺の匂いを感じる。
そして最後に訪問したリブロさんで僕はぶっ飛ぶことになる。なんとエスカレーターを降りた真正面で「前田司郎の本棚」なんていうフェアが開催されているではないか! ついに僕と、僕に前田司郎の面白さを教えてくれたネット書店A社のHさん以外の同好の士を発見!?
腰が抜けそうなほど興奮しつつ、どなたが企画されたのですか?と文芸担当のYさんに伺い、担当のTさんを紹介していただく。そのときもはや僕は営業マンというよりは、本屋で興奮している変な人だったと思われる。
「好きなんですよ、前田司郎さん。岸田國士戯曲賞受賞記念でお願いして、展開させていただいてます」
とのことで、そこで並べられているなかでは『のんのんばあとオレ』水木しげる(角川書店)と『愛情生活』荒木陽子(作品社)が売れているとか。うー、もう一度来るぞ、オレ。
なんだかやっぱり、いまさらだけど、吉祥寺は、面白い街だ。