7月22日(火)
昼。新人編集者タッキーがファミリーマートのからあげ弁当とカップヌードルシーフド味をぱくぱく食べていたら、発行人の浜本が近寄ってきて(この人はなぜか人の食べているものをチェックするのが趣味なのである)、「お前それは食い過ぎだろう!」と大きな声で指摘した。
人が何を食おうが、どれだけ食おうがいいじゃないかと思うのだが、タッキーはからあげを口に入れながら「からあげ最高!」と小さな声で呟いた。浜本はその後も松村の弁当やら小林の弁当やらにぶつぶつ難癖をつけ、自分も昼飯を買いにファミリーマートに行ったのである。
その浜本が袋から取り出したのが、炊き込み弁当とチゲ春雨ヌードルであった。おい! タッキーと変わらないではないか。「えっ?! 春雨だもん」なんだかわからない言い訳をするのである。しかもしばらく別のことを考えていてふっと顔を戻したら、浜本が手にしているのはなぜかおにぎりなのである。しかもそれは手製の家から持ってきたおにぎりなのである。おにぎり?! 大きな声を出そうと思ったら、浜本は「しー」っと指を立てた。どれだけ食えば満足するんだ?
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暑い。猛烈に暑い。しかし営業は続く。
とある書店さんで9月の新刊『サブカルチャー創世記』(仮題)の話をしたら、なんとその書店員さんは「ワンダーランド」の創刊号を持っていて、しかもしかみ植草甚一さんにサインをしてもらったというではないか。今までその書店員さんとこういう話はしたことがなく、というよりは営業トーク以外は話したことがなったのだけれど、そこから当時の出版の話や音楽などの話を伺うことができ、まさに本が取り持つ縁である。
こういことがあるから、暑くても書店さんを廻るのだ。
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吉祥寺を半分だけ営業。
R書店Mさんと話をしていて、なるほど!と膝を打ったのが、最近売れている本の傾向である。
一連の血液型にしても、『からだにおいしい野菜の便利帳』板木利隆監修や『一目でわかる! 必ず見つかる! ホントのツボがちゃんと押せる本』加藤雅俊(ともに高橋書店)などすべて新しいものではなく、今までもずっとあったジャンルの本なのだ。それを見せ方を変えて編集する事でこれだけ売れているというまず事実。
そしてそれら売れている本の共通項は、どこからも読めてどこでも辞められることだという。そういえば同様のことを錦糸町のB書店Sさんにも教えられたことを思い出す。だから小説は……と。うーむ。どこからでも読める小説ってそれはアンソロジーや短篇集なのではないか?
しかしどうもそれらは今のところイマイチの売れ行きだそうで、もっと短くないとダメなのではないかととある超短篇集(といっても見開きで終わる?!)が、結構売れていると話され衝撃を受けたが、しかし例えば「R25」や最近のお笑いなど、短くてどこから読めるもの(見られるもの)の流行りを指摘され、納得する。そうなのか、そうなのか。
まあ、それらはすべてベストセラーの話なので、本の雑誌社が超短篇を出すことはないと思うけれど、世の中の流れとしては、そういう流れのようである。ちなみに僕が書店さんを廻っていて血液型の本の前で感じたのは、たいていこの本はひとりでなく、2,3人の子が囲んで盛り上がりながらレジに持っていくのだ。
本というものほど個人の楽しみなアイテムはないと思っていたのだが、今売れている本の多くはコミュニケーションツールになっていたりするのではなかろうか。それはおそらく昨年まで売れていたケイタイ小説も一緒だろうし、ブームが去りつつある新書も一緒だったのではなかろうか。
って、実はよくわからないんだけど。
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書店店頭は、祥伝社の新刊『しらみつぶしの時計』法月綸太郎著、『うたうひと』小路幸也著、
『血の冠』香納諒一著などが並んでにぎやかだった。
明日はハリーポッター最後の祭りである。踊ってみたいな。