7月27日(日) ぼくのJリーグライフ
初めはそれを鹿島サポによる演出だと思った。スタジアムは真っ白になり、そこで行われている試合がまるで雲のなかのように見えるのだ。かつて発煙筒の代わりにバルサンを焚いたあの爆笑の演出をまた行っているのかと思った。
しかしそれは演出ではなかった。激しい稲光をともなう猛烈な雨だった。
審判はあわててボールを保持し、選手たちにベンチに戻るよう指示をした。前半39分、試合は中断となった。
ぼくはコンコースに避難し、フットボールの魔力について考えていた。
明日は仕事の日曜の夜、自宅から100キロ離れたスタジアムに向かうのはなぜなのか。
雷の鳴るなかでカッパを持っていながらも着ずに、ユニフォームもズボンもビショビショになって応援しているのはなぜなのか。
理由なんてわからない。
とにかくフットボールが、浦和レッズが好きなのだ。
何度も何度も場内アナウンスが流れる。
「最後のお願いです。気持はわかりますがコンコースに避難してください」
それでも避難しないサポーターは歌い続けていた。
1時間の中断後、試合は始まり、半ば予想どおり、この世で一番ムカツク選手が浦和ゴールにボールと突き刺す。しかしこちらもある意味予想どおり、後半終了間際、田中達也の足がクロスに触るようにし、ボールは鹿島ゴールラインを超えた。
フットボールの魔力は、田中達也の足先に宿っていた。
We are Reds.