8月4日(月)
- 『アカペラ』
- 山本 文緒
- 新潮社
- 1,470円(税込)
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ああ、ビックリした。
表題作の「アカペラ」の書き出しが、ちょっと不思議ちゃんぽい感じだったから、今の俺はそういう小説を読むモードじゃないんだよと積ん読にしそうになっていたのだが、高野秀行さんから「傑作です」とメールをいただき、あわてて再開したところ、確かに『アカペラ』山本文緒(新潮社)は、傑作だった。
直木賞受賞後にうつ病となった著者は、「うつ病だった間、とても孤独でした。じゃあいまは孤独じゃないかというと、そうでもない。やはり孤独なままです。でも、それでいい。みんなそうなんだと、すごく当たり前のことが腑に落ちて、やっと元気になりました」と『波』8月号で語られているが、まさにその気分を描いた「ソリチュード」が最高なのである。
20年ぶりに実家に帰る主人公、それを迎え入れる家族や友人達。一度切れたようにみえた関係性は実は切れておらず、それどころかまた新しい関係も生まれる。孤独でありそうで、孤独でない。
おそらく僕は今後の人生でこの作品を20回は読み返すであろう。他の2作も素晴らしく、やはり山本文緒は小説家なのだ。ぜひともゆっくりで良いから、書き続けて欲しい。
午前中はデスクワーク。午後はホームページの打ち合わせ。その後もデスクワークで、営業としては不完全燃焼な一日。山本昌、おめでとう。清原もおめでとう。