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9月12日(金)

パイナップルの彼方 (角川文庫)
『パイナップルの彼方 (角川文庫)』
山本 文緒
角川書店
504円(税込)
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 通勤読書は今更ながらの『パイナップルの彼方』山本文緒(角川文庫)。6年ぶりの新刊『アカペラ』(のなかの「ソリチュード」)にすっかりやられてしまったので、山本文緒を遡り読書。

 とある書店さんを訪問すると「聞いてくださいよ〜」と泣きつかれる。
「先日作家の○○さんが出版社の人と一緒に来店していただきサイン本を作ってくれたんですけど、5冊か10冊で充分なのに、あるだけしますよってどんどんサインされちゃって......」

 委託配本の本でもサイン本は返品不能というのが業界のルールなのである。

「もういいです、って言いたかったんですけど、作家さんにそんなこと言えるわけもなく、手元にあった本、みんなにサインされちゃいました。売れればいいんですけど、なんか編集者とか営業マンが事前に事情を説明して、このお店は何冊くらいって打ち合わせしておいて欲しいですよね」

 作家さんの書店廻りは、よもや日常茶飯事で、下手をすると僕の営業ルートに一日のっていて追い駆けっこしていることもある。ちなみにこの日伺った作家の○○さんのサイン本も、僕がそれまでに廻った書店さんの多くで積まれていた、ってそんなにあちこち大量にサイン本があったら、サイン本の稀少価値もなくなってしまうではないか。

 これは別の書店員さんから聞いた話なのだが、そちらでは事前に作家さんが来店することがわかっていると、在庫を隠しておくことがあるらしい。それは「あれ知ってる作家もいるね。サイン本返品できないの。わざと大量にしていこうとする人いるもん」という行為に対しての自己防衛なのである。

 まあ、作家さんが自分の本が売れる、売りたいという気持ちを持つのは当然なことだろうから、ここはやはり出版社の人間がきちっと事情を説明するのが正しい判断だろう。せっかくお互い大切な時間を使うのだから、ありがた迷惑にならないよう気をつけていかなければならないだろう。

 夜は新宿・池林房でヒートアップ!

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