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2011年12月 厚揚げ体当たり号 No.342

 一部の作家を除いて、単行本の初版は一万部未満、三千、四千部も当たり前!という時代に、それでも作家であり続けるとはどういうことなのか。というわけで、本の雑誌12月号は作家特集。文芸編集者が昔と今の作家気質を大いに語る匿名座談会から中場利一家の家計簿に山本一力のお仕事日記、高野秀行の作家になるには本読み比べに壹岐真也が目撃した酒場の作家たち、そして鯨統一郎の作家は素敵な商売だ論に作家人生すごろく座談会まで、現代ニッポンのすべての作家にエールを贈る大特集だ。おっと、忘れちゃいけない、読者が応援する作家もあるぞ、の30ページ。いざ、「いま作家はどうなっておるのか!」を一緒によおく考えてみよう!

 新刊めったくたガイドは杉江松恋が大胆にして巧みなクックの一幕芝居を堪能すれば、鴻巣友季子は『ロリータ』の原型、ナボコフの"暗い部屋"を猛烈プッシュ。大森望が堀井拓馬『なまづま』をSFファン必読の傑作!と断言すれば、酒井貞道は大技炸裂のデビュー作『消失グラデーション』に仰天。榎本文昌が木下古栗の問題作に爆笑混乱すれば、内田剛はイタリア生まれの千葉県民パオロの痛快日本史でスカッとさわやか。そして北上次郎は日本柔道史上「最強」の男の伝記を一気読み! 読み始めたらやめられない700ページ2段組みの大部に、さあ、あなたもチャレンジしてみよう!

 今月の図書カード3万円使い放題は、泉鏡花文学賞を受賞したばかりの夢枕獏。予算オーバーもなんのその、出たとこ勝負で購入した怒濤の16冊とは何か。泉鏡花賞受賞第一作(?)の原稿を読んでくれぃ! さらにナゾのSF者ダイジマンこと代島正樹が本誌初登場! SFファン交流会で封印された「ほんとひみつ」殺人事件の全貌を大公開すれば、写真では登場済みの植本一子が自著『働けECD』ができるまでのあれやこれやを告白。本誌二度目の登場、栗原裕一郎が倉橋由美子の10冊に迫れば、連載331回目!の鏡明はドアーズと再会! おなじみおじさん三人組は作家特集に乗じて新宿の文壇バーに潜入だ。さあ、夢は百万部かノーベル賞か、初版三千部だって、一杯やれば気分は無頼派、本の雑誌12月号で、どーんといってみよう!

目次

今月の一冊

図書カード三万円使い放題!/予算オーバー上等 光より速いものに乾杯 夢枕 獏
吉野朔実劇場/今さらフランケンシュタイン 吉野朔実
おじさん三人組、ツボちゃんと文壇バーに行く!(その1)
黒豚革の手帖/ゴミと豚 内澤旬子

特集:いま作家はどうなっておるのか!

文芸編集者匿名座談会 
「作家の家計簿」〜夫婦対談〜 中場利一
ジョン・マン取材日記 山本一力
ザ・ラスト・サムライ丸山健二に学べ 高野秀行
読者アンケート/この作家を応援する!
作家と酒場(時空問わず) 壹岐真也
作家ほど素敵な商売はない 鯨 統一郎
座談会・作家人生すごろくを作る!

ブックス・墨瓦蝋泥加/異世界ファンタジーは地図が楽しい! 宮田珠己
活字に溺れる者/十年に一作を求めて 荻原魚雷
「ほんとひみつ」殺人事件!? 代島正樹
半径4メートルの物語〜『働けECD』が出来るまで 植本一子

新刊めったくたガイド

大胆にして巧みなクックの一幕芝居 杉江松恋
『ロリータ』の原型 ナボコフの“暗い部屋” 鴻巣友季子
堀井拓馬『なまづま』はSFファン必読の傑作だ! 大森望
大技炸裂のデビュー作『消失グラデーション』が凄い 酒井貞道
爆笑混乱必至の木下古栗の問題作 榎本文昌
イタリア生まれの千葉県民パオロの痛快日本史 内田剛
日本柔道史上「最強」の男の伝記 北上次郎

初紹介作家ストーンがもっと読みたい! 穂井田直美
取次は小書店にこそ寄り添うべきだ 大井潤太郎
生きづらい時代の『実存と構造』 渡邊十絲子
名作短篇が並ぶ伊藤典夫編のアンソロジー 山岸真
食べる愉しみ 浅生ハルミン
リサイクル情報誌? 中嶋大介
日本初の酪農専門出版社デーリィマン社 舘浦あざらし
オビミシュラン M・オビスピエール

トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/戻ってこられなくなる絵物語 豊﨑由美
ブチブチおじさんに見えるけれど実は私はニコニコおじさんです 坪内祐三
ドアーズ再会 鏡明
南の話/万引きのススメ 青山南
新刊クロスレビュー東 えりか・林 カケ子・松井ゆかり・浜本 茂
ベストセラー温故知新/プリマのお仕事 入江敦彦
無限の記憶を持つ男 円城 塔
短篇小説のような奇妙な臨床事例集 風野春樹
謎また謎の耽美玉葱小説 池澤春菜
理想の犯罪小説集『みちのく犯科帳』 柳下毅一郎
今月書いた人
掲載図書索引

続・棒パン日常/エッセンス 穂村弘
三角窓口/ヴェルヌのようなジョルジュ・シムって誰だ? 他
ミミ中野の「これいただくわ」 ミミ中野

キムラ弁護士小説に学ぶ/『ダークゾーン』を読んで 木村晋介
歩く旅/中国交通事情 沢野ひとし
倉橋由美子の10冊/「いかに」をつきつめた作家 栗原裕一郎
後記

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