第一回島田荘司推理小説賞受賞作『虚擬街頭漂流記』刊行!

文=杉江松恋

第一回島田荘司推理小説賞を受賞した、寵物先生(ミスターペッツ)の『虚擬街頭漂流記』(虚は旧字)が文藝春秋から刊行される。同賞は中国語で書かれた本格ミステリー長篇を対象とした新人賞で、2009年に行われた第1回募集では、台湾、中国、香港、イタリア、カナダなど各国から合計58作が寄せられた(募集要項の日本語訳 http://ssk-ws.cside3.com/new/award/ )。受賞作は日本の他、台湾、中国、タイで刊行予定。第二回の募集もすでに開始されている。

文藝春秋第一出版局の荒俣勝利氏によれば「最近、アジア各国で日本小説の翻訳紹介が盛んになっているが、特に台湾では本格ミステリーへの関心が高い。本賞も台湾の出版社が島田荘司先生に強く働きかけたことから発足した」という。なお、昨年から講談社が〈アジア本格リーグ〉を創立するなど、アジア・ミステリーを日本語へ翻訳する動きもある。今回の刊行を機に交流が促進されることを期待したい。
(杉江松恋)

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