担当=杉江松恋

危なっかしい23歳の疑似私立探偵小説〜ルー・バーニー『7月のダークライド』
2024年3月13日12:12

【今週はこれを読め! ミステリー編】

危なっかしい23歳の疑似私立探偵小説〜ルー・バーニー『7月のダークライド』
 ひとはいいことをしようと思う。そして間違う。  もどかしい心の動きがルー・バーニー『7月のダークライド』(加賀山卓朗訳、ハーパーBOOKS...
スペイン発のミステリー&読書小説『テラ・アルタの憎悪』をお薦め!
2024年2月21日12:01

【今週はこれを読め! ミステリー編】

スペイン発のミステリー&読書小説『テラ・アルタの憎悪』をお薦め!
 ミステリーを読んでいてこんなツボを押されるとは思わなかった。  最近のハヤカワ・ミステリは創刊70周年を記念して世界各国の作品を刊行してい...
本を介した連続殺人犯と被害者の対決〜キャサリン・ライアン・ハワード『ナッシング・マン』
2024年2月14日12:01

【今週はこれを読め! ミステリー編】

本を介した連続殺人犯と被害者の対決〜キャサリン・ライアン・ハワード『ナッシング・マン』
 これは素敵な、息詰まる心理の読み合い。  連続殺人鬼もののスリラーは、暗躍する犯人と追い詰める捜査陣とが、次第に距離を詰めながら対決してい...
心の中の幽冥を描く短編集〜岩井圭也『暗い引力』
2024年1月24日11:07

【今週はこれを読め! ミステリー編】

心の中の幽冥を描く短編集〜岩井圭也『暗い引力』
 心の中はぼんやりと暗い。  岩井圭也『暗い引力』(光文社)はその幽冥のさまを的確に描いた短篇集である。  ぼんやりと暗いというのは、ぼんや...
ローゼンフィールド『誰も悲しまない殺人』の語りと文章に引き込まれる!
2024年1月17日11:33

【今週はこれを読め! ミステリー編】

ローゼンフィールド『誰も悲しまない殺人』の語りと文章に引き込まれる!
 こういう小説を読むとミステリーの楽しみは謎解きだけじゃないと再認識させられる。  キャット・ローゼンフィールド『誰も悲しまない殺人』(大谷...
癖になるスパニッシュ・ホラー〜マネル・ロウレイロ『生贄の門』
2024年1月5日17:34

【今週はこれを読め! ミステリー編】

癖になるスパニッシュ・ホラー〜マネル・ロウレイロ『生贄の門』
 謎が解かれた後に残るものは希望か絶望か。  論理的な解明を旨とするミステリーを、論理を超えた不安や恐怖の醸成を目的とするホラーと融合させた...
楠谷佑『案山子の村の殺人』の
2023年12月29日10:32

【今週はこれを読め! ミステリー編】

楠谷佑『案山子の村の殺人』の"改めの美学"に唸る!
 改めの美学とでも言うべきか。  同好の士にしか理解してもらえないと思うが、謎解き小説を愛する者には、収まりのよさというか、細部の造作がきち...
令和一おもしろい青崎有吾の連作短篇集『地雷グリコ』
2023年12月13日11:55

【今週はこれを読め! ミステリー編】

令和一おもしろい青崎有吾の連作短篇集『地雷グリコ』
 普通の小説は前から書き、ミステリーは後ろから書く。  後ろから書くといっても文末から始めるという意味ではない。最後に明かされる真相を決めて...
人間の深部を覗き込む物語〜ハーディング『呪いを解く者』
2023年12月6日12:02

【今週はこれを読め! ミステリー編】

人間の深部を覗き込む物語〜ハーディング『呪いを解く者』
 憎悪は心を侵す毒となる。誰よりも、自分自身にとっての。  当代随一の幻想作家、フランシス・ハーディングの長篇が翻訳された。『呪いを解く者』...
「シャーリイ・ジャクスンらしさ」が集ったアンソロジー『穏やかな死者たち』
2023年11月30日12:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

「シャーリイ・ジャクスンらしさ」が集ったアンソロジー『穏やかな死者たち』
 一つの単語に集約することが難しい感覚を、小説という形式で表現せよ。  アンソロジー『穏やかな死者たち シャーリイ・ジャクスン・トリビュート...