第187回:似鳥鶏さん

作家の読書道 第187回:似鳥鶏さん

『理由(わけ)あって冬に出る』から始まる「市立高校」シリーズ、ドラマ化された「戦力外捜査官」シリーズなどで人気を博す似鳥鶏さん。今年作家生活10周年を迎え、ますます波に乗る著者は、どんな本を読み、どんな影響を受けてきたのか? 楽しくたっぷり語ってくださいました。

その6「創作活動に影響を与えたもの」 (6/7)

  • Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)
  • 『Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)』
    井上 雄彦
    集英社
    1,008円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • 機動警察パトレイバー(1) (少年サンデーコミックス)
  • 『機動警察パトレイバー(1) (少年サンデーコミックス)』
    ゆうきまさみ
    小学館
  • 商品を購入する
    Amazon
  • 新装版 寄生獣(1) (KCデラックス アフタヌーン)
  • 『新装版 寄生獣(1) (KCデラックス アフタヌーン)』
    岩明 均
    講談社
    500円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • 鋼の錬金術師 (1) (ガンガンコミックス)
  • 『鋼の錬金術師 (1) (ガンガンコミックス)』
    荒川 弘
    スクウェア・エニックス
    432円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • ジョジョの奇妙な冒険 (1) (ジャンプ・コミックス)
  • 『ジョジョの奇妙な冒険 (1) (ジャンプ・コミックス)』
    荒木 飛呂彦
    集英社
    421円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • 荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)
  • 『荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)』
    荒木 飛呂彦
    集英社
    450円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto

――『金田一少年の事件簿』を読んでいたということは、漫画もいろいろお読みになっていたのでは。

似鳥:漫画も大好きでした。それは今でも変わらないですね。「ジャンプ」は黄金期に読んでいて、『SLAM DUNK』などが好きでした。完結してからコミックスまで読んだのは『機動警察パトレイバー』とか。『寄生獣』や『鋼の錬金術師』なども一通り読んでいて、もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』はどの台詞がどのシーンのものかとか、大体言えます。「メンズノンノ」に「JOJOmenon」という号があって、グッチコラボの描き下ろしがあったのもちゃんと読んでいますし、『荒木飛呂彦の漫画術』も読みまして、すっごく勉強になりました。

――漫画ではなく小説執筆においても勉強になったんですか。

似鳥:なります。筋立ての面白さで楽しませるエンターテインメントの作り方についての本なので。もちろん小説はそれだけじゃなくて、読んでいるだけで快感になるような文章も書かないといけないわけですけれど。
漫画は今だと九井諒子さんが好きです。『ダンジョン飯』の人ですが、その前に『ひきだしにテラリウム』という漫画のショートショート集がありまして、あれが大変面白い。その前に2冊ほど短篇集も出ているんですが、それも面白いです。
漫画は絵を見ただけで「いいな」と思えばもう買っちゃいますね。白浜鴎さんの『とんがり帽子のアトリエ』も試し読み冊子で1ページ見ただけで「うおお、この絵すげえいい」と思って買いました。
やっぱりキャラクター造形などは漫画から学ぶところは多かったように思います。

――文章の影響は筒井康隆さんとか北杜夫さんからということですよね。

似鳥:句読点の打ち方は油断すると筒井康隆さんの真似になるけれど、あれはかなりの高等技術なので自分にはできないぞと思って書き直したりします。他には舞城王太郎さんや町田康さんの文章も好物です。「この人の文章大好き。読んでいるだけで快感」という作家が何人かいると、小説の文章とはそういうものだと思ってしまいますね。北杜夫の文章が好きだったので、地の文でみっちり描写するのも怖くないですし。漫画とそうした小説の両方から影響を受けているところが、私のラノベっぽっいけどラノベじゃないという、中途半端な立ち位置に繋がっているという(笑)。

――さて、大学卒業後はどうされたのですか。

似鳥:法科大学院で司法試験の勉強をしました。教員免許を持った法曹というのも必要だろうと思ったので。それに、自分は教員には向いていないと思ったんです。ベラベラ喋ってしまうキャラなので、とてもじゃないけど授業はできないです。授業っていうのは生徒が自主的に動くようにしなければならないので、どんなに口下手で声が小さな先生でも、結果的に生徒たちが自主的に「これ面白い」って取り組める授業こそがいい授業なんであって、教壇で先生が一方的に喋るだけだと、どんなに面白い話をしていても、それは授業とはいえない。それで検察官を志望したんですが、そうこうしているうちにデビューが決まったんです。検察官の講習会みたいなイベントがあった時にこっそりと「副業で小説家やってる人とかいるでしょうか」と訊いてみたら「何言ってんの、こいつ」みたいな反応だったので無理だろうなと...。それに試験も難しいですし。でもここは強調しておきたいんですけれど、司法試験も、あと10点くらいだったんです(笑)。

  • ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)
  • 『ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)』
    九井 諒子
    KADOKAWA/エンターブレイン
    670円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • ひきだしにテラリウム
  • 『ひきだしにテラリウム』
    九井諒子
    イースト・プレス
    821円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto
  • とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニング KC)
  • 『とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニング KC)』
    白浜 鴎
    講談社
    659円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    LawsonHMV
    honto

» その7「デビュー後の読書生活」へ