第209回:吉川トリコさん

作家の読書道 第209回:吉川トリコさん

2004年に「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん。以来、映像化された『グッモーエビアン!』や、あの歴史上の女性の本音を軽快な語り口で綴る『マリー・アントワネットの日記』、そして新作『女優の娘』など、女性、少女を主なモチーフにさまざまな小説を発表。その作風に繋がる読書遍歴を語ってくださいました。

その7「新作&今後の予定」 (7/7)

  • ([よ]2-2)少女病 (ポプラ文庫)
  • 『([よ]2-2)少女病 (ポプラ文庫)』
    吉川 トリコ
    ポプラ社
    734円(税込)
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――お話をうかがってきて、読んできたものと書いてきたものがすごく繋がっているなと感じます。

吉川:そうですね。やっぱり興味があるから、読みたい本もだいたいそうなりますよね。そんなにめちゃめちゃ離れたものって読んでいないですね。やっぱり、女性のことに興味があります。今まで書いてきた本って、タイトルに「女」って入ることが多いんですよ。

――新作の『女優の娘』は「女」という字がふたつ入っていますものね(笑)。ポルノ女優の母を持つアイドルの女の子の話で、消費されていく立場の2人のことが掘り下げられていく。

吉川:もともと「女優の娘」というのを書きたかったんですよね。ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールを両親に持つってえぐいじゃないですか。

――女優のシャルロット・ゲンズブールのことですね。

吉川:そう。どんな気持ちかな、という発想から始まったんです。でもだんだん、芸能界で消費されていくのってどういうことなんだろうという方向に興味がわいて、そういう話になっていきました。

――母親がポルノ女優ということにしたのはどうしてですか。

吉川:マリリン・モンローみたいな女優が日本にいたらどうなるんだろうと思って。マリリン・モンローって、セックスシンボルみたいな消費のされ方をしているから、日本に置き換えてみたらどうなるかなと考えた時、普通のいわゆる日本の女優さんではあまりピンとこなかったんです。じゃあ、日活ロマンポルノの女優さんにしようかなという感じで。娘は最初、連載の第1回目は40歳くらいの舞台女優として書いたんですよ。そうしたら担当編集者に「いや、これはアイドルにしたほうが良くないすか」って言われて、最初すごく抵抗があったんですけれど、考えてみたらすごく話が動く。しかも書きやすい。担当編集者は最初の原稿を読んで、鈍重に感じたんだと思います。私、時々「自分も重たい小説を書きたい」みたいなのをやらかしちゃうんですよね。それをすぐに見抜いてくれて、軽やかさを取り戻そうとしてアイドルを提案したのかな、と。

――確かに、アイドルの主人公に軽やかさを感じる内容になっていますね。他に、『少女病』が文庫化されたばかりですね。

吉川:これは先にタイトルがありました。いろんな症例があったほうがいいというので姉妹の話を書きたかったのと、小説家のお母さんを書きたいというのがあって。お母さんがどんな人だろうというところから考えたのかな。

――今後も女性、少女というモチーフを書いていきたいですか。

吉川:書きたいです。今は「別冊文藝春秋」で、さきほどいった女芸人と女性アナウンサーの話を連載しています。いろいろ気になるトピックを総ざらいにして書いていこうかなと思っています。

(了)