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藤本 有紀の<<書評>>
ぼんくら
(上下)
【講談社文庫】
宮部みゆき
定価 620
円(税込)
2004/4
ISBN-4062747510
ISBN-4062747529
評価:B
鼻毛抜き抜き同心のお役目を務める平四郎が、見廻りついでにいつも立ち寄る店がある。お徳が切り盛りするその煮売屋が入る長屋で起こった殺人事件。これがプロローグであった。面倒くさいことが大嫌いな平四郎だが、この事件に関しては手間を惜しんだわけでなく、思うところあって追求せずに終わらせた。ところが事件後、店子が一軒、二軒と長屋を去るにつれ、判断が間違っていたかも、とぼんやり思うようになる。新しい差配人・佐吉があまりに気の毒だし、お徳まで店移りしてあのこんにゃくが食べられなくなるのは困るなぁ、と調査に乗り出す。乗り出す、といっても平四郎のこと、“黒豆”、政五郎、弓之助らを動かしてあいかわらず鼻毛を抜いてボーっとしているだけのように見えるのが憎めない。楽しませてくれそうなキャラが超超盛りだくさんで、サービスし過ぎなのではと思わぬでもない。現代小説/時代小説を問わず話題作を書き続ける宮部の力量を認識させられたのは、「女という生き物は……目配せひとつだけで伝えたいことはちゃんと伝えるものだ。」なんてドキリとさせるところだろうか。
パレード
【幻冬舎文庫】
吉田修一
定価 560
円(税込)
2004/4
ISBN-4344405153
評価:A
吉田修一の小説に私が惹かれるのは、登場人物に対して好ましいと思う感情を持ちはじめたところで突き放される、その落差にあるように思う。いい奴かと思っていたら突然暴行に及ぶ、まともだと思っていたらかなりの変態で、何食わぬ顔で嘘つく。現実には暴力とは無縁の日常を希求しおおかたその通りに生活しているつもりだが、暴力は日常を犯すし、ありふれた日常はいとも簡単に後味の悪い物語にもなり得るのだとささやかれると、ゾクゾクする重苦しさを期待する気持ちが顔を出す。
千歳烏山で共同生活する5人が、全員ロールプレイしながら暮らしているという空々しさを水面下に押し込んで、吉田の小説にしては軽妙な感じで進んでいく物語だからと、安心しきってはいけない。
容姿の時代
【幻冬舎文庫】
酒井順子
定価 520
円(税込)
2004/4
ISBN-4344405056
評価:B
『負け犬の遠吠え』で人気に火のついた酒井順子の売れっ子ぶりは、書店で酒井本が集合していたり、30台・女・どうする型の類型本が『負け犬』の周りに並んでいたりするのを見ればよく分かるというもの。本書は著者自身「かなしみ三部作」と銘打つ看板作品の一冊であるから、このブームを押さえておきたい人にも絶好の書であろう。
この本では、外国人ならアピアランスというであろう「容姿」が題材とされている。「外資系ではアピアランスが重要視されます。」といった場合のアピアランスは、ビジネスマンが爪にマニキュアを施したり太り過ぎないよう有酸素運動を欠かさないことなどとともに、一般に人の見てくれを指す用語であるが、本書における「容姿」とはプラスチックの植木鉢から田中角栄の田舎くささ、OLファッションから乳首の問題までを指す。身近だが普通あまり意識しない事象が俎板の上で料理される。言い得て妙な叙述に笑い、同意しながら、反論を引き起こすスキも用意されている。目次を見て「これには一家言あり」と思う項目がある人は、頭の中が朝まで生テレビさながら侃侃諤諤の議論を始めてしまう恐れがあるので、覚悟のうえ読むべし。
ミカ!
【文春文庫】
伊藤たかみ
定価 580
円(税込)
2004/4
ISBN-4167679027
評価:B
双子のユウスケとミカは小学6年生。ちょうど父さんと母さんにとっての別居や、お姉ちゃんが彼氏ともめている様子が大人は大人の、高校生は高校生の問題であるように、6年生は6年生なりの問題を抱えている。男勝りのミカは、体が女らしく変化してきて何となく女扱いされるのがイヤ、ユウスケもクラスメートの恋愛に戸惑ったり、父さんと母さんが離婚した後の事を考えて泣きたい気分になることも。そんな二人の酸っぱい涙と、団地の庭に生える酸っぱいキウイを食べて成長する奇妙な生物オトトイの存在もなかなかだが、今より狭かった子供世界が懐かしくもあり、また私や著者の子供時代を回顧するだけでは表現し得ないゲームボーイ世代の小学生がかわいらしく描写されていることもあって新鮮。ただし、小説家に備わるべき作風というようなもの、例えば「70年代はよかったな」であれ「黒人の男は美しい」であれ、読者を貫く直截の思いがこの作品単独では伝わってこないのが残念。池田進吾による表紙デザインは、白地の活かしたカンガルー親子の絵も文字の配置もすごく好き。
弁護士は奇策で勝負する
【文春文庫】
D・ローゼンフェルト
定価 810
円(税込)
2004/4
ISBN-4167661608
評価:B
NBAの試合はどういうわけか、第4クオーターになるともつれてくる。得点差がスルスルと縮み、両チームがあらゆる戦術を試みる終盤戦になる。死刑囚ミラーの再審の弁護は、バスケの試合でいえば30点ぐらいのビハインドからプレーするようなもの。アンディがこの勝ち目のない裁判を闘うことになったのは、ヤンキー・スタジアムでレッズvsヤンキース戦を観戦中、41,355ドル賭けに負けたまま急死した敬愛する父たっての願いだからである。ミラー裁判には、父が検事として関わっていた。
野球の賭け金とは別に、父の死後思いもよらない金額の遺産があることが分かった。預金の記録と、屋根裏に残されていた古い写真に記された日付から、もうひとつの謎が浮かび上がる。限られた時間でミラー裁判の真犯人が別にいるという証拠と、写真に写った父以外の人物を追うアンディ。ファウルゲームさながらの法廷パフォーマンスが見られるラスト1/4はノンストップ!! 起死回生のブザー・ビーター(時間切れスレスレの逆転打)は鳴るのか?
奇術師
【ハヤカワ文庫FT】
クリストファー・プリースト
定価 987
円(税込)
2004/4
ISBN-4150203571
評価:C
奇術のイメージを文字から喚起するのに想像力を求められることと、一度ボーデンによって語られたことが次にエンジャ側から語られることで真相が見えてくるという構造のおかげで、面白いと思えるまでが長いように感じられるのが難だが、ぜひ最後まで読んで欲しい。ひょっとしたら途中で放り出してコーヒーをぐるぐるかき回していたり、あるいは同じところをずーっと読んでいたりすることがあるかもしれないが、二人の奇術師それぞれにとって最高のイリュージョン〈新・瞬間移動人間〉と〈閃光の中で〉に注ぐ熱狂と、相手のトリックを知りたいと願う狂騒が、「たかが手品」に魅せられた男たちの悲しみと感じられるのは、かなり終わりのほうだから。ラストの不気味さは最後まで読んだ人へのお楽しみ。
荊の城
(上下)
【創元推理文庫】
サラ・ウォーターズ
定価 987
円(税込)
2004/4
ISBN-4488254039
ISBN-4488254047
評価:B
何重もの計略が見えてくるたびに、心臓がぎゅっと掴まれるような恐さを感じること必定の本格サスペンス。田舎の令嬢を騙して大金を手に入れる計略を練る詐欺師のリヴァーズには、侍女として屋敷に入りこむ少女が必要だった。ロンドン下町の裏稼業夫婦に育てられたスウは、育ての母サクスビー夫人に報いたいという真摯な思いで、この役を引き受ける決心をする。
「ねんねの鳩ぽっぽ」モード嬢を騙すのは簡単なように思えたが、すれっからしかと思えば情の深いスウが、次第に心を通わせるモードを陥れることを逡巡し、計画が遂行されるや否や……、というハラハラの第一部には信じられない幕切れが用意されている。第二部はモードの驚くべき生い立ちが明かされ、第三部でスウを待ち構える運命に驚愕し……。もうこれ以上は書けない。ブロンテ顔負けの迫力満点の天候、城を支配する妖しさ、公開処刑の残忍さなどに彩られたスリルを堪能してください。
戦慄の眠り
(上下)
【講談社文庫】
グレッグ・アイルズ
定価 840
円(税込)
2004/4
ISBN-4062739879
ISBN-4062739887
評価:B−
写真家ジョーダンは、ピュリッツァー賞も獲った、美貌の大人の女。だが、完璧な満足とは縁がなく、血眼でベトナム戦争中に行方不明になった報道写真家の父と、13か月前に失踪した双子の妹ジェーンの行方を探している。香港の美術館で一枚の絵に裸の自分、否ジェーンが描かれているのを偶然見つけたジョーダンは、この謎の連作絵画と事件との繋がりを確信する。
ジョーダンはFBI特別捜査官カイザーと行動をともにするうちに、ベッドも共にするようになる。ベッドシーンを含め官能的・性的な場面は重点的に描かれている。鼻息荒く読んだ銃撃を受けた夜のセックスは、だが例えていうなら鹿である私が肉食動物たちの交接を眺めているような印象だった(私は獣肉をあまり食べないので、お口に合わなかったということ?)。「放火・動物虐待・夜尿症が猟奇犯罪者の幼少期に多く見られる」など心理・科学捜査関連の知識が豊富に散りばめられていること、実際起こった残虐な犯罪を読者に想起させるようなリアリティは悪くないのだけれど、「まったく新しい」捜査技術なり情報が含まれているようには感じられない。