山田 絵理の<<書評>>
ラッシュライフ 【新潮文庫】 伊坂幸太郎 定価 660円(税込) 2005/5 ISBN-4101250227
さいはての二人 【角川文庫】 鷺沢萠 定価 420円(税込) 2005/4 ISBN-4041853109
虹 【幻冬舎文庫】 吉本ばなな 定価 560円(税込) 2005/4 ISBN-4344406524
俺はどしゃぶり 【光文社文庫】 須藤靖貴 定価 660円(税込) 2005/4 ISBN-433473863X
珍妃の井戸 【講談社文庫】 浅田次郎 定価 660円(税込) 2005/4 ISBN-4062750414
評価:AA 清朝末期、義和団事件の制圧という名目で八カ国連合軍が北京を占拠したその時、皇帝の愛妃が紫禁城の片隅で、井戸に投げ込まれて殺された。日英独露の高官達は真相の解明に乗り出す。 有名な「珍妃の井戸」にまつわる物語は、北京の好きな私にとって、読んでいて本当に面白かった。歴史上の人物である光緒帝と珍妃は、豊かな感情を持つ一組みの恋人として生き生きと描かれる。幸せだった二人はやがて歴史に翻弄され、離れ離れに。最後まで凛と生きようとした珍妃の独白は涙なくしては読めなかった。 最後に、「皇帝すなわち天」という中華文明の世界観を体現する光緒帝に、列強の高官たちが対面する場面が出てくる。このような中華対西洋列強諸国という構図が、あの時代にいくつもあって多くの悲劇を生み出したに違いない。 本書にも出てくる、故宮の北側に位置する景山(公園)は故宮を一望でき、私が北京で最も好きな場所だ。次に訪れた際には、きっと珍妃に思いを馳せてしまうでしょう。
安政五年の大脱走 【幻冬舎】 五十嵐貴久 定価 720円(税込) 2005/4 ISBN-4344406362
二度失われた娘 【文春文庫】 J・フィールディング 定価 870円(税込) 2005/4 ISBN-4167661950
旅の終わりの音楽(上下) 【新潮文庫】 エリック・F・ハンセン 定価 各700円(税込) 2005/5 ISBN-4102155317 ISBN-4102155325