▲TOPへ戻る
この短編集に出てくる、中年から初老にさしかかった男たちは、どいつもこいつも、自分がもはや、女性に魅力をアピールできないんじゃないか、という不安を抱えておりまして。俺みたいに、何かそういうものにまるで縁がないまま、ここまで生きてきた人間にしてみれば「なんでそんなことで悩んでるんだこいつら」くらいの気にもなるのですが……ああ、これってひょっとすると、彼らを見守る猫の視線に立っているのか俺は。
『吾輩は猫である』以来、かの種族が人間を見て語る口調は、ユーモアと辛辣さに裏打ちされてますしね。作者の意図とはえらくかけ離れている気がしますが、「人間ってこの程度の悩みで済むなら、いい気なもんだにゃー」と思った次第。
| 当サイトについて | プライバシーポリシー | 著作権 | お問い合せ |
Copyright(C) 本の雑誌/博報堂 All Rights Reserved