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この作品における「ジャージ」という服装も、人がふだん着こなして、自分では「個性」だと思っている、いろいろな虚飾をいったん剥ぎとり、ぽつねん、としたたたずまいを着る人に与える、魔法のアイテムだと思うのです。 そして、ジャージにはやはり、都会よりは、ケータイもロクに入らない片田舎が似合います。いつでも連絡が取れる状況ってのは、便利であるのと同時に、人の心をしばしば蝕んでいくのだと思うし。「おおっ、繋がったー」くらいの頻度が、人付き合いにはちょうどいいなんじゃないかなあ、とつくづく思うのです。
人間関係に疲れたら、ジャージで山に籠もって何もしない、そんな風に過ごせたらいいなあ。
都会から遠く離れた別荘地で、久しぶりに顔をつき合わせた親子がそれぞれに心の奥をのぞいている。 「ドリフのコントみたいだ」と思わず口に出るようなジャージ姿の父親と息子が相手の家庭について心配し合っている。 親子とは言え、男同士の共同生活。この二人のつきはなし加減の距離感がなんともいい。 「なるようになるだろう」 長嶋さんのつむぎだす心がほどけるような空気が好きだ。
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