▲TOPへ戻る
洋子さんの友達遍歴を読んでいる最中、私の脳裏にはいろんな友達の顔が浮かんでは消えた。 30年ぶりくらいに思い出したクラスメートもいる。 あれは確か私が10歳くらいの頃だった。同じクラスに不思議な感じのする静かな少女がいた。彼女の家は川のほとりで、庭には赤いぐいの実がたわわになる木があった。そこへ私は一人で遊びに行って、二人して糊に絵の具を混ぜて色つきの糊を作った。ただそれだけのことを実に鮮明に思い出した。
「無意味なことがすごく重大だった」とか「友情って持続だと思う」とか心に響く言葉がいくつも見つかった。 「私好きになっちゃったの」「あの人すごいのよ」 友だちを語る洋子さんの弾む声が今にも聞こえてきそうだった。その彼女の直球が魅力だとしみじみ思う。 そして広瀬弦さんのイラストがなんとも良かった。こちらの心を見透かされるようなライオンの表情に何度もドキリとした。
| 当サイトについて | プライバシーポリシー | 著作権 | お問い合せ |
Copyright(C) 本の雑誌/博報堂 All Rights Reserved