▲TOPへ戻る
でも、その「ダメ」な理由は、本当にちゃんと検討された根拠なのでしょうか? って突っ込まれた時に、案外、あやふやで曖昧だったりすることも多いんじゃねえかな、とふと思ったりする、そんな意地悪で知性があって醒めたあなたに、この本は最適。
「キレやすい若者、って言うけど、別に今に限らず若者はキレやすいし」とか「日本人の勤勉さは歴史的伝統だって言うけど、その伝統っていったい何年くらい?」とか、社会学がまことしやかに提示してきた主張を、データに基づいてひっくり返す著者。情け容赦なくて、かつサービス精神溢れる筆致に、非常に好感が持てました。
「反」社会学こそ「真」社会学、って言ったら、きっと著者はすごく嫌がるんだろうなあ、と思いつつも、一応言ってみよっと。
その内容が面白いのなんの! 今、まさに私が生きている日本社会って、こういう見方があるのだな、こんな事実があったのだなとビックリするやら、感心するやら。 少子化問題や凶悪少年犯罪の件もデータから導き出す真実の姿に目からうろこが何枚も剥がれ落ちました。 フランスには正社員しかいない、江戸時代には町人の約4割はフリーターだったと書かれてあって、「へぇ」と思ったり、まぁ、パオロ先生はなかなか辛辣に日本の現状を斬り、発言をし続けますが、「と、エラそうな顔でいう。」とか「いじわるなんですね、私は。」なんて言葉が挟まれると、読みながらにんまりしてしまう。 いずれにせよ本文中にもあった『真実はひとつ、解釈は無数』だなぁ、と読後に思う。 そうそう、単行本誕生から三年経っているので、その間の補講が各章ごとにあり、文庫本ならではのお得感あり!です。
| 当サイトについて | プライバシーポリシー | 著作権 | お問い合せ |
Copyright(C) 本の雑誌/博報堂 All Rights Reserved