第13回 反ディープステート団体「神真都Q」の代表に会ってきました(前編)
「神真都Q」の代表・村井大介氏へのメディア初インタビューが実現
和歌山県某所、美しい海が眼前に広がるホテルの会議室前で、私は"その人"があらわれるのを今か今かと待っていました。
一体どんな人なのだろうか。というよりも、本当に来てくれるのだろうか。
そんな風に私が不安になるのには理由があります。広報窓口を通じてインタビューを申し込むとほどなく快諾の返事をいただいたのですが、そこから急に連絡が途絶えてしまったからです。そこからしつこく連絡をしてみましたが、なかなかリアクションのないまま気がつけば、半年ほど経過しました。「これはもうダメかな」半ばあきらめかけていたところ、「和歌山ならば取材を受けられる」という返事をもらってこのホテルで面会するという話になったのですが、ここまで経緯もあったので、もしかしたら会えないかもと心配していたのです。
「こんにちは」
声がした方向を振り返ると、ジャケットにハットを被ったスマートな男性が2人の女性を引き連れて、私の方へ向かって歩いてきました。大きな瞳が印象的なその男性はにこやかな笑顔を浮かべて近づいてきて、私の手をとって握手をしながらこう言いました。
「今日はよろしくお願いします、なんでもお話をしますので」
この男性こそ、私が半年前からインタビューを申し込んでいた人物。コロナ禍に「反ワクチン団体」として注目を集めた一般社団法人「神真都Q」の代表・村井大介氏です。
大きな窓に絶景のオーシャンビューが広がる、見晴らしのいい会議室で、私と村井氏は向かい合って座りました。村井氏の隣には2人の女性が座りました。ロングヘアを後ろでまとめた女性と、ミィディアムヘアの女性は2人ともどちらも上品な雰囲気を漂わせ、パッと見ると「おしゃれな大人の女性」という感じです。2人ともメモを取り始めたので、どうやらこのインタビューの内容を記録するために同行されたようです。
「私はなんでもオープンにお話をしますので、窪田さんの知りたいことをなんでも聞いてください」
そう言ってニコニコと微笑む村井氏に対して、私はここにくる途中、ずっと疑問に思っていたことを切り出しました。
「ありがとうございます、ではさっそくなんですが、なぜ今回、私の取材を受けていただけたのでしょうか?」
実はこれまで村井氏がこのように正式な形でメディアのインタビューを受けるということはありませんでした。というよりも、そもそも「神真都Q」という団体自体が「メディアの取材お断り」というスタンスなのです。東京・新宿でデモ行進をしていた「神真都Q」のメンバーの方に、取材を申し込んでもあっさり断られ、その際に村井代表にもインタビューを申し込んでいることを伝えたら「それは難しいんじゃない?」と言われたこともありました。
にもかかわらず今、目の前にいる村井氏は全身から"ウェルカム"という雰囲気が醸し出されてています。この「変化」はいったいどういうことなのか、単純に知りたくなりました。
「感覚的で変な話になってしまいますけれども"受けなさい"とゴーサインが出たんです」
「すいません、それはいわゆる神様的なお話でしょうか?」
「まあ、そんなものですね。とにかく今回は取材してくださる人が素晴らしいということでゴーサインが出た、ということですから、そんなに構えずに気楽いきましょう。ただ、最初にちょっとご理解いただきたいことがあって」
「なんでしょうか?」
「この後お話をしますが、実は私はこれまで長く"特殊な環境"で過ごさざるを得なかったので、このDS(ディープステート)の社会にまだ慣れていないんです。ですから、"言葉での会話"でうまく伝えられない部分もあるかもしれないので、そのあたりはご配慮いただけたら助かります」
「わかりました」と答えながらも、私はちょっと戸惑っていました。最初は海外生活が長いので日本語が拙いということかなと思いましたが、ここまで会話をしてきて村井氏の発する言葉に全く違和感はありませんでした。
しかも、「言葉での会話」という妙な言い回しにも引っかかります。ということは、村井氏はこれまで「言葉以外の会話」をしてきたということなのでしょうか。そのような疑問も含めて、まずは村井氏に「これまで過ごした特殊な環境」について詳しく聞くことにしました。

「特殊能力を持つことを知られ、DSにさらわれた」
「そうですね、世の中で言うところの"トンデモ話"の方へと一気に突入してしまいますけれど大丈夫ですか?」
吸い込まれそうな大きな瞳で見つめられた私は「まったく問題ありません」と力強く頷きました。メディアなどから「陰謀論団体」と呼ばれている人々が、どういう考えで、何を思いながら活動しているのかということを知りたく、私は半年間も待って、和歌山までやってきたのです。
これから私の常識や理解を超えた"不思議な物語"を聞くことになったとしても、まずは一度しっかりすべてを受け止めてみよう――。心の中で自分にそう言い聞かせていると、村井氏が語り始めました。
「私は神戸の三ノ宮のど真ん中で生まれ育ったんですが、幼稚園に入る前くらいに、おじいちゃんが私に変な能力があることを発見したんです」
村井氏によれば、生家は銭湯を経営していて、番台にはいつも祖父が座っていたそうです。ある日、まだ幼児だった村井氏が2階で猫と遊んでいる時ふいに「今日の晩御飯なんだろう、おじいちゃんに聞いてみよう」と思いました。すると、ほどなくして祖父がバタバタと2階に上がってきてこんなことを言いました
「お前ここにおったんか、えらい大きな声やな、今日はハンバーグや」
つまり、頭の中で思ったことが祖父の脳へ直接語りかけたというのです。こんなことが続くうちに、祖父は村井氏の「人と違う力」に気づき、「このことは誰にも言うんじゃないぞ」と口止めをするようになります。
「でも結局、私が能力を持っていることはディープステート側には伝わってしまっていたんです。それがわかったのはずっと先、奴らにさらわれてしまってからのことですが」
不穏なワードが飛び出したことで私は思わず身を乗り出して、村井氏に尋ねた。
「それは......村井さんはDSに誘拐されたことがあるということですか?」
「ええ、要するに、この世界を牛耳っているグローバリストたちを守る非公式な軍隊があるんですけど、そこでは特殊な能力を持っている子どもたちを世界中でさらってきて、隔離して訓練して兵士にしているんです。そこに私も連れて行かれたんです」
この話を聞いた私の正直な感想は「ネットフリックスで配信している海外のSFドラマみたいだな」というものです。しかし、語っている村井氏の顔はいたって真剣です。隣に並んでいる2人の女性の反応も観察してみましたが、村井氏の説明に時折、頷きながら黙々とメモをとっています。私のようにはじめて聞く人間にとっては、なかなか受け入れられない話ですが、「神真都Q」メンバーの皆さんからすれば、このような話は「常識」のようです。
村井氏がこの軍隊に"強制入隊"させられたのは18歳。アメリカのカリフォルニア州・ランカスターにある飛行機学校にパイロット免許取得のために留学をしていた時、組織の人間に「拉致」されて、巨大な地下施設に連れてこられたそうです。
村井氏が語る、DSの秘密施設での常軌を逸した訓練内容
「ずっと目隠しをされていたのでわかりませんが、ランカスターから8時間くらい移動したところで、かなり長くエレベーターに乗っていて気圧が変わるのがわかりました。その広大な地下空間には、人が普通に生活できる街のようなところもあって、そこには私のように拉致された子どもがたくさんいました」
「あの......それはどれくらいの人数でしょうか?」
「1000人は超えていました。ここでは名前ではなく番号で呼ばれるのですが、私が知る限り1137まであったので。でもそこから3年間で最終的には私も含めて8人しか残りませんでした」
あまりに衝撃的な内容に対して「それは、みんな死んでしまったということでしょうか?」と質問をすると、村井氏は暗い表情でこのように言いました。
「そこでは毎日、死にたくなるような訓練が行われて試験ありました。それを通過できない者はどこかに連れられて行ってしまう。おそらく殺されてしまっていたのではないかと思っています」
「それはどのような訓練や試験なんですか?」
「みなさんが想像するような"普通の訓練"ではありません。例えばこの施設内では一切喋ってはいけませんでした。声を出したら殺されてしまう。つまり、言葉を一切発さずに意思疎通をする、ということが最初の試験みたいな感じだったんです。私の場合は子どもの時から得意だったのですが、まずそこで多くの子どもたちが"ふるい"にかけれました」
インタビューが始まる前、村井氏が「言葉での会話」でうまく伝えられない部分もあるかもしれない、と言っていたことが、ここでつながりました。あれは、DSの秘密施設で「言葉以外の会話」を長くしていたため、「喋る」ということに苦手意識がある、ということを私に伝えたかったのです。
そこから村井氏が語ってくれた「訓練」の中身は、私にとって衝撃の連続でした。例えば、猛獣のいるジャングルに装備もなく、放り出されてそこで数ヶ月間生き抜くなど、SF映画やマンガでしか見たことがないようなものばかりだったからです。
そんな常軌を逸した訓練施設で3年間、地獄の日々を経験した後、21歳の村井氏は「正式な部隊」へと配属されました。彼らの目的は「世界各国の指導者層・官僚・軍隊を管理すること」なのだそうです。
「私の知る限りですが、組織は数百人規模で、いろいろな能力者がいました。DSの"上"が決めたこの世界のルールというものがあるんですが、そこに反する者たちを見つけ次第、排除をしていくことが主な任務です」
「あの......みなさんのお仕事だったという"反DSの人たちを排除する"というのは、やはり殺してしまうということなんでしょうか?」
「ええ、SF小説のような話だと思われるでしょうが、すべて現実に私が経験してきたことなんですよ」
確かに村井氏が明かした「秘密組織が超能力者を育成している」という話は、SF小説やSF映画では「定番」と言ってもいいストーリーです。
2006年から10年にかけてアメリカで放映された人気SFドラマ「HEROS」でも、超能力者を育成・監視する極秘機関が登場しますし、日本でも人気のマーベル・コミックでも、特殊能力を持つスーパーヒーローを管理する秘密機関「S.H.I.E.L.D.」が登場します。また、日本でも極秘機関が子どもたちを集めて超能力者に育成する「ストレイヤーズ・クロニクル」というSF小説があって、岡田将生さんら人気俳優たちによって映画化もされています。
このようなSFフィクション作品が、いわゆる「陰謀論」というものに影響を与えているのだと主張をする専門家もいます。
また、その逆に、いま村井氏が私に語ってくれているような「世界の真実」があって、それを大衆に徐々に広めるために、マーベルコミックなどのSFエンターテイメントを利用しているのだ、というようなことを主張する人もいらっしゃいます。宇宙人を題材にしたハリウッド映画「未知との遭遇」や「E.T.」について、「人類に宇宙人の存在というものを徐々に受け入れさせるために制作された」というような「説」があるのと同じです。
子どもたちが拉致されても問題にならない、驚くべきワケ
ただ、今回の取材の目的はそういう検証をすることではありません。社会から注目を集めた「神真都Q」という団体の代表がどのような人で、どのような考えで活動をしているのかということを、先入観や偏見を抱くことなくまずは聞いてみることです。村井氏が「実際に自分が経験したこと」とおっしゃっている以上、私としてはそれを受け入れるしかありません。とはいえ、話の整合性的にどうしても気になってしまうことがありました。
村井氏のお話では、DSの秘密組織に拉致されたのは、アメリカにパイロットライセンスを取得するための留学中のことです。そこから3年間も音信不通であれば、神戸のご家族は心配してそれなりの騒ぎになっているはずではないでしょうか。
また、世界中から1000人を超える子どもたちが拉致されてきたというのなら、これもどこかで大きな問題になっているはずです。確かに世界では、子どもの人身売買や行方不明が深刻な地域もありますが、これほど膨大な数の子どもを拉致していれば、秘密組織とはいえ、何かしら「尻尾」がつかまれてしまうはずです。
そのような疑問を口にすると、村井氏はまたしても私の理解を大きく超えた話をしてくれました。
「組織に入る前に上官から"これからのことはなにも心配しないでいい"と映像を見せられました。それは私が実家で、両親と一緒に普通に生活をしている様子をおさめたものです。つまり、私のそっくりさん、つまり"クローン"がなりすましていたのです」
クローンという響きを聞いて、「ああ、そうか、ここで出てくるのか」と私は非常に納得しました。国内外で「ディープステート」など陰の世界政府の存在を主張している人々は「クローン人間」についてよく言及しています。世界のVIPたちが既に本物と入れ替わっているというのです。それは、村井氏も同じでした。
「なかなか信じられないかもしれませんが、オバマ元大統領、ヒラリークリントンなど世界の重要人物のほとんどはクローン人間です。こういう現実については、これからトランプ大統領やプーチン大統領が公開していきますけれどね」
やはり「神真都Q」も「Q」がついているだけあって、本家アメリカと同様に、ディープステートと戦っているのはトランプ大統領、そして「盟友」であるプーチン大統領だと考えているようです。
ちなみに、メディアが「陰謀論団体」として報道している「Qアノン」(QAnonymousの総称)というのは、アメリカのネット掲示板上に突如現れた「Q」という謎の人物を信じて、あれこれ質問をする人々という意味合いだそうです。
「ディープステートは、ダボス会議で採択した世界の人口を5億人まで減らすというアジェンダを実行するためにいろいろなことをやってきました。そういう証拠や議事録をプーチン大統領がすべて公にすると言っています。トランプ大統領もそれをやりたいんですが、プーチンさんほど自分のまわりを味方で固められない。しかも、トランプさんはああ見えて結構、臆病なのでズルズルと遅れている。そこで、プーチン大統領はちょっとイライラしているんですよ」
一般的な報道機関では決して報じられたこともない「国際情勢の裏側」もかなり刺激的ではありますが、それよりも気になってしょうがないのが、「クローン人間」のことでした。このテーマになってからずっと気になっていたことを私は聞きました。
「あの、すいません、私はクローン人間というものがよくわかっていないのですが、村井さんがDSの秘密部隊で任務にあたっていた間、ずっとなりすましていたということですが、ご家族はまったく気づかないものなんですか?」
「いや、実は私の時代のクローンは出来栄えもそんなに良くなかったんですよ。そのため、母とかおじいちゃんが"本人じゃないなんじゃないか"と怪しむわけです。でも、それを父が"そんなことはありえない"とか"つまらないことを言うんじゃない"という感じで揉み消してしまったんです」
「どうしてお父さんはそんなことをしたんですか?」
「洗脳されていましたからね。父は国立大学を卒業した、DSの教育システムのなかで学歴を目指してきた人で非常に頭が硬く、目の前で起きている異変を受け入れることができなかったんです」

「神真都Q」が考える「洗脳」
そんなやりとりをしているうち、私のなかで村井氏ら「神真都Q」のみなさんが考えている「洗脳」というものが、おぼろげながら見えてきました。
村井氏のお話を聞いていると、彼らが既存の社会システムのなかで「常識」とされていること、政府やメディアが「ファクト」だとお墨付きを与えている情報の多くは、陰で世界を支配をしているDSがふれまわっている「情報操作」、あるいは「フェイク」だと捉えていることがわかります。
ということは、既存の価値観や、一般社会常識を我々に刷り込んでいる「メディア」や「教育」というものこそが、「DSの洗脳機関」だと村井氏たちは捉えている、といことなのではないでしょうか。そんな私の理解を口に説明すると、村井氏は大きく頷きました。
「そうですね。洗脳されてしまっている人というのは、幼い頃からの教育でDSにとって都合のいい方向にしつけられているので、自分のわからないことや、理解を超えることに直面すると癖で思考停止になって、ひたすら目を背けてしまう。例えるのなら、柵に囲われた羊の群れです。柵の中にいることを躾けられているので、ゲートを開けても、みんな行儀良く柵の中に並んでいるようなものなんです」
村井氏の「なりすましクローン」という目の前の「異変」に気づいて別人だと確信した母と祖父。「異変」に気づいたのに、自らの感覚さえも否定するほど、既存の価値観や一般常識に縛られて目をそらした父。後者のような人々を「神真都Q」では「洗脳されている」と考えているのです。
ただ、この後、村井氏の口から次々と語られる「世界の真実」を前にして、私は自分自身がいかに既存の価値観に縛られているのかということを、痛感することになるのです。 (後編につづく)
