第12回 「ホストに洗脳された女性」を救済している専門家に話を聞いてきました(後編)
「ホス狂い」は「強迫的性行動症」という病気!?
悪質ホストに「洗脳」されてしまった女性は、どうすればその精神的支配下から逃れることができるのでしょうか。その答えをまず求めたのは「ホスト依存外来」でした。
ご存知のない方もいらっしゃると思いますが、ホストクラブにのめり込んで、自身を破滅させるほどにお金を貢いでしまう、いわゆる「ホス狂い」というのは医学的にはこんな「病名」がついています。
強迫的性行動症(Compulsive sexual behaviour disorder)
この字面からなんとなくわかるように、強い性的衝動を制御できず、自分自身や周囲の人々、あるいは社会に対して問題を引き起こしてしまうという病気です。このような形で医学的に認められている以上、当然これを治療してくれるクリニックというものが存在するのです。
ただ、このような話を聞くと「強い性的衝動が抑えられない」という言葉に引っかかる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
俳優の東出昌大さんや、お笑い芸人の渡部建さんの不倫騒動の際に、注目を集めた「セックス依存症」や、風俗通いがやめられないとか、盗撮をすることがやめられないとかというのは「強い性的衝動が抑えられない」という説明がしっくりきます。
それらに対して「ホス狂い」というのは前編で、一般社団法人聖菩蓮新宿駆込寺の玄秀盛代表も指摘していたように、アイドルの熱烈な追っかけや「推し活」にも通じる「献身的なファン」の延長線上にあるイメージです。「強い性的衝動が抑えられない」という問題とは、ちょっと違う種類の話なのではないか。そう思う人もかなりいることでしょう。
しかし、医学的にはこれらはすべて同じ「強迫的性行動症」という括りになるようです。
某有名クリニックのホームページには、強迫的性行動症として、セックス依存症や不倫、風俗通いがやめられない、AVやポルノ動画の視聴がやめられないこととともに、「ホス狂い」や「アイドルの追っかけ」、さらには「恋愛依存」という言葉も並んでいるのです。
これによれば、「ホス狂い」というのは女性の強迫的性行動症の代表的な事例であり、「アイドルの追っかけ」も同じく女性の強迫的性行動症でよく見られるものだそうです。そして両者の基本的な構造は同じなので、治療法もよく似ている、というのです。
このような「医学的解説」を聞いて驚く人も多いでしょうが、これには私もかなり驚きました。というよりも、「だったら、洗脳ってなんなの?」と頭が混乱しました。
そもそも私が「ホス狂い」を取材し始めたのは、メディアや専門家が「悪質ホストに洗脳された」ということを盛んにおっしゃっているからです。つまり、女性が破滅的にホストにのめり込んでしまうのは、そのように誘導をして精神を支配されているというのが、日本社会の「一般常識」となっています。
しかし、医学的に見るとそういう話ではなく、「ホス狂い」というのはセックス中毒や風俗通いにも通じる、強迫性的行動症の女性版。つまりシンプルに「病気」という位置付けです。
ということは、「悪質ホストに洗脳される」という認識自体が間違っているということなのでしょうか。それとも、悪質ホストたちが用いている「洗脳」というのは、女性客を強迫性的行動症にさせる手法というものなのでしょうか。そもそも医学的知識もない、ただのホストたちにそんな芸当ができるのでしょうか。
そこで、このような疑問に答えていただけないのかと、強迫性的行動症の治療をしているクリニックに取材を申し込んでみましたが、「申し訳ありませんが、お力になれません」と断られてしまいました。他にもいくつかのクリニックに申し込みをしましたが、同じ答えです。
シンプルに私のような怪しいライターが煙たがられているということかもしれませんが、ここまで「取材拒否」が続くことはなかなかありません。気になったので以前、取材でお世話になった精神科医のAさんに意見を求めたところ、意外な答えが返ってきました。
「それは窪田さんの申し込み方が悪いよ。まともな精神科医の先生だったら、取材に来た記者が"洗脳"とか"マインドコントロール"なんて言葉を出しただけで断ると思う。テレビや新聞では当たり前のように使われている概念だけれど、科学的に説明できるものではないため、精神科医の中でも意見が分かれる。つまり、面倒なテーマなんですよ」(精神科医のAさん)
この方によれば、「洗脳」や「マインドコントロール」というのは、あくまで精神医学や社会心理学の分野でも"一部の人たちが唱えている理論"に過ぎず、医学的に実証されたり、学会で研究論文が発表されたりするようなものではないそうです。
確かに、以前マインドコントロールの専門家である立正大学の西田公昭教授にインタビューをさせていただいた時も、「そもそも洗脳という言葉はジャーナリズムがつくったもの」と言っていました。
「そこに加えて、強迫性的行動症っていうテーマも微妙だよ。実はこの精神疾患でほんのつい最近になって認められたもので、国内外でそれほど研究が進んでいない分野だし、効果的な治療法が確立されているわけでもない」(精神科医のAさん)
先ほど「ホス狂いは病気」という説明をしましたが、このようなことが堂々と言えるようになって実はまだ7年程度しか経っていないということなのです。「精神疾患」というものは、WHO(世界保健期間)が定めたICD(国際疾病分類)の中で認定されることで、はじめて医療の世界で認められます。そんなICDが2018年に約30年ぶりに改訂され、そこで新たに認定されたのが、「強迫的性行動症」なのです。
「そういう未知の分野のことを、洗脳やマインドコントロールなどの医学的根拠のない話と結びつけて誤解を広めたくないという思いもあったんでしょ」(精神科医のAさん)
Aさんの話を聞いて、私は自分の考えのいたらなさを痛感しました。
治療で大事なのは「対話」
前回、玄代表からも聞いたように、女性とホストを完全に別れさせるのは非常に難しく、最低でも5年はかかるそうです。しかも、強引に別れさせようと、女性を責めて、ホストに会わせないように閉じ込めたりすると、「家族=敵」となって家出をしたり音信不通になったりして事態を悪化させてしまいます。
そういう難しい「治療」を行なっているクリニックからすれば、怪しいライターに協力したところで「百害あって一利なし」です。
しかも、この手のクリニックというのは基本的に「ホスト依存から立ち直りたい」という意志を持った女性が信頼をしてやってくるところです。洗脳やマインドコントロールと結びつけるような記事がでたら、せっかく治療に励んでいる女性に悪影響を与えてしまうかもしれません。患者ファーストになれば取材拒否は当然でしょう。
とはいえ、「ホス狂い」となってしまった女性がどうすれば、ホストとの呪縛を断ち切ることができるのか、ということにはやはり興味があります。悪質ホストに「洗脳」をされたにしても、強迫性的行動症になったとしても、治療としてやるべきことはそれほど変わらないはずです。
強迫性的行動症の治療をしているクリニックのホームページを見ると、「ホス狂い」の治療というのは基本的に「カウンセリング」や「集団精神療法」(グループサイコセラピー)を行うそうです。
グループサイコセラピーというのは、同じ問題を抱える人々が集まって、各自の体験談や思いに耳を傾けたり、語り合ったりして交流を深めていくことで、自分自身の頭の中を整理して、広い視野を取り戻していくという治療法です。アルコールや薬物の依存症から立ち直ろうという人々や、犯罪被害者の遺族などが行なっているのを映画やドラマで見たことがあるのではないでしょうか。
このような治療法からわかるのは、「ホス狂い」の女性が立ち直るために必要不可欠なのは「対話」ということです。
単に「もう金輪際ホストに会いに行ってはいけない」とか「これ以上、バカな真似をするな」などと頭ごなしに否定をするのではなく、まずは女性と信頼関係を構築して、自分の素直な気持ちを言葉にして口にしてもらったり、同じような問題を抱える人の話に耳を傾けて、自分の内面と向き合ってもらう。
なぜ自分はホストに行くようになってしまったのか。なぜのめり込むようになってしまったのか。なぜやめることができないのか。そして、やめるためには何をすべきなのかということを、「対話」を通じて自分自身で気づくことが、実は非常に大切だということがわかります。
「ホス狂い」女性のサポート団体「レスキュー・ハブ」の理事長に聞く
取材を進めるうち、そのようなサポートをしている団体があると聞いて、お話を伺うことにしました。
その団体とは「NPO法人レスキュー・ハブ」です。
取材協力の承諾を受け、私が向かったのは新宿歌舞伎町内にある雑居ビルの一室でした。室内に入ってみてまず驚いたのは、ちょっとした"カフェ"のようなインテリアです。間接照明やおしゃれな小物に囲まれたテーブルと長椅子、テレビには映画が映し出され、棚にはDVDやコミックも並んでいます。
「ここは女性の立ち寄り所、兼夜間相談所です。路上売春をしている女性たちは立ちっぱなしなので、ちょっと座りたい、横になりたいという時に使ってもらえるようにしています。トイレ貸してくださいという女性もいれば、スマホ充電させてくださいという女性もいます。大事なのは気軽に寄ってもらって、こういう場所があるんだと知ってもらうことなんです」
迎えてくれたのは、レスキュー・ハブの理事長・坂本新さん。この団体の主な活動について説明をしてくれました。まずレスキュー・ハブが力を入れているのは「アウトリーチ事業」。路上で売春をしている女性や、家出をしてネットカフェを転々としているような未成年者などに"声がけ"をしていくのです。
といっても、いきなり「大丈夫?」「困ったことない?」などと声をかけても煙たがられるだけなので、ハンドクリームやメイク落としなどと一緒にレスキュー・ハブの連絡先の入って手渡し、まず顔を覚えてもらうことが重要だと坂本さんは言います。そういう"声がけ"を粘り強く続けることで、やがて顔を見るとあちらから「今日はなんかくれないの?」などと声をかけてくれるようになり、次第に打ち解けて、立ち寄り所も訪れてくれるようになるそうです。ちなみに、このような形で2024年度に"声がけ"をしたのは延べ6,416名にものぼっています。
「路上にいる女性たちはホスト依存、金銭トラブル、予期せぬ妊娠などさまざまなトラブルを抱えていますが、自分から行政や医療機関などの相談窓口に行くという人は少ない。ひとりで抱え込んでいたり、そもそも誰に相談すればいいかわからない。だったらこっちから探しに行くしかないんです」(坂本さん)
なぜここまで路上にいる女性への"声がけ"にこだわるのかというと、坂本さんがこの世界に飛び込むきっかけとなった「海外の売春・人身売買」を思わせる光景だからだ。
坂本さんはもともと大手警備会社に勤務して、治安の不安定な国々で警備や調査にあたることが多かったそうです。それらの国では、女性や子供が性的搾取されるのが当たり前で、坂本さんはそういう厳しい現実をただ傍観するしかありませんでした。
しかし勤続20年の節目で、「残りの人生を後悔して過ごしていいのか」という思いが抑えきれなくなり、開発途上国の子ども支援や人身取引被害者の救済を行う国際NGOに転職。その後、国内NPO法人で国内の人身取引被害者支援に携わったが「窓口で相談を受けることも大事だが、自分から声をあげることができない女性もいるはず」という思いから2020年にレスキュー・ハブを設立しました。
坂本さんが目指すのは、女性ひとりひとりが抱えている問題を浮き彫りにして、適切なセーフティネットへと繋げていくこと。
例えば、犯罪に関係しているのなら警察、経済的困窮であれば自治体、予期せぬ妊娠とか性感染症だったら医療機関、司法介入が必要であれば弁護士・・・。つまり、何かしらの「支援」が必要だけれど、自分で声を上げることのできない女性を"声かけ"で探し出す。そして彼女たちとの対話を経て、適切な専門機関に繋げる「ハブ役」なので、「レスキュー・ハブ」というわけです。
そんな活動をしている坂本さんも「ホス狂い」の女性にも多く会ってきました。中でも特に印象に残っているのは、20代女性のAさんです。
「私が会った時、彼女はホストクラブにハマって担当から"オレのために500万円のシャンパンタワーをやってほしい"なんて言われて、違法風俗で週7日働いていました。いわゆる"本番"ありきの風俗ですね。そして空いている時間は、路上売春。そうして稼いだお金をほとんどホストに貢いでいたので、ちゃんとした食事もほとんどしない。口に入れるのは酒かタバコかお菓子。当然、精神のバランスを崩してリストカットも繰り返していました」(坂本さん)
そんな心身ともにボロボロの「ホス狂い」だったAさんに、坂本さんたちは繰り返し"声がけ"を行って信頼関係を構築。立ち寄り所を訪れてくれるようになって、坂本さんや、団体のスタッフ、そしてボランティアさんとの交流を通し、徐々にではあるものの「対話」をするようになって変化の兆しが見えるようになってきたというのです。
「気軽に話ができるようになってくると、彼女から私に意見を聞いてくることが増えたんです。例えば"スカウトさんから地方でいい仕事があるって誘われているんですけどそう思いますか?"なんて相談を受ける。よくよく聞くと、明らかに怪しい風俗なのでやめた方がいいんじゃないと答えると"ですよね、わかりました、断ります"なんて言ってくれるようになった」(坂本さん)
そうして坂本さんにいろいろな相談をするという関係が続くなかで、Aさんはキャバクラで働くようになって、違法風俗や路上売春から足を洗うことに成功しました。ただ、それでもまだやはりホストクラブとの関係を断つことはできないという。
ホストにはまる女性に共通するのは「家庭の機能不全」
やはり一度、ホストから「洗脳」をされてしまうと、そこから抜け出すことは困難なのでしょうか。そのような疑問を投げかけると、坂本さんは「ホス狂い」になるような女性たちには、ある共通点があることを教えてくれました。
「この立ち寄り所にくる女性たちに話を聞いてみると、やはり"家庭"というものが機能していないケースが多い印象です。親から暴力、性虐待、モラハラを受けている人もいますし、過剰に干渉されて息苦しさを感じている人はかなりいますし、親自体が精神疾患ということもあります。そもそも、児童養護施設出身という人も珍しくありません。そういう"家庭の温かさ"を知らない人がホス狂いになるケースが少なくないですね」(坂本さん)
そうして坂本さんは、19歳で「ホス狂い」になってしまった女性Bさんの話をしてくれました。彼女は幼い頃から親にすさまじい虐待を受けていて、母親から「お前なんか産まなきゃよかった」「早く生命保険に入って死んでくれ」などと暴言を浴びせられながら成長しました。
そんなある日、Bさんは遊びにきた新宿歌舞伎町であるホストクラブの看板広告を見て、「なんかすごいアットホームな雰囲気」だと感じ、行ってみたいと強く思うようになります。そこのホストとSNSのダイレクトメールでやり取りをするうちに「一度遊びにきなよ」と言われて行ってみると、店はいい雰囲氣で楽しい時間を過ごしました。そして、帰り際にはホストたちから、「お金気にしなくていいから、また来てよ」と言われて、再び来店。そんなやり取りを続けているうちに気がつけば「ホス狂い」に......という流れです。
「彼女に言わせると、ホストクラブというのはすごくホッとできる場所で、生まれてはじめて、自分を全肯定されたようで嬉しかったそうです。確かにそうですね。幼い頃からずっと虐待に怯えながら、家庭が地獄のような場所だったわけですから、年上でかっこいいお兄さんたちが笑顔でウェルカムな感じで迎えられるわけですから」(坂本さん)
この話を聞いて、まず私の頭には浮かんだのは「罪深い商売だな」という感想でした。親や家族から愛情を注いでもらっていない、それどころか心に傷を負わされているような女性につけいって、「ここがお前の居場所だ」と錯覚させているというのは、「洗脳」や「色恋商法」という言葉より、はるかに卑劣で、はるかに残酷なことをしているのではないでしょうか。私は思わず、坂本さんのこんな質問をしてしまいました。
「不幸な生い立ちの女性から金を巻き上げて、風俗や売春までさせるなんて、ホスト側には良心の呵責はないんですかね?」
「ひどい話ですよね。ただ、この問題の難しいところは、ホスト側をただ加害者として厳しく取り締まったり厳しく糾弾しても解決しないということです」(坂本さん)
坂本さんによれば、「ホス狂い」を生み出しているホストクラブで働いている若者たちの中にも、幼い頃から虐待を受けたり、施設出身だったり、何らかの生きづらさを抱えている者が一定数存在する可能性が高いというのです。つまり、"家庭の温かさ"を知らない男たちが自分たちが被害から逃れるために、同じく"家庭の温かさ"を知らない女性をカモにしている、というなんとも"救いのない構造"だというのです。
「ホスト側の話を聞くこともありますが、家庭の貧しさや暴力から逃げ出して、お金もなく、頼れる人間もいない状況で新宿歌舞伎町に流れ着いた男の子が"稼げるし寮もある"と誘われて、ホストクラブに働くケースも多いんです。もちろん、すべてのホストに当てはまる話ではありませんが、中には女性客を騙して、金を巻き上げることなど本当はやりたくないという者もいるんです。でも、店に借金もあるし、住むところも世話になっているし、身分証も押さえられているので、結局やるしかなくなってしまうんです。そういう意味では今後、ホストの支援というのも必要になってくると思いますよ」(坂本さん)
実際、坂本さんに相談をしてくる女性の中には、「彼がホストでお店をやめたいけど、借金もあって怖くてやめれないんです、どうしたらいいですか?」と感じで、カップルで今の状況から抜け出そうというケースもあるという。
「ホス狂い」から抜け出すのに必要なのは「対話の場をもつこと」
このような形で新宿歌舞伎町で多くの女性たちと「対話」を重ねている坂本さんに最後に、「ホス狂い」から抜け出すために必要なことはなんなのか聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「問題を抱える女性が、そのままの自分が否定されず、無条件で受け入れてくれたと感じられる"安全な場所"です。そこがあってはじめて、人目を気にすることなく"対話"すること可能になりますから」
例えば、レスキュー・ハブの立ち寄り所にはいろんな映画のDVDを並べてあるのですが、実はこれも女性たちに少しでも世界を広げてもらいたいという"狙い"があるという。
「ある女の子がこの部屋で休んでいる時に私に"これなんですか?"と聞いてきた。それは人身売買をテーマにした海外の映画だよと教えると"人身売買ってなに?"と興味を持った。それでいろいろ説明すると"紙とペンある?"と言って、私の言ったことを一生懸命にメモし始めた。学校もロクに行っていないので、ひらがなばかりでしたが、彼女の中に"知りたい"という気持ちが芽生えたようでした」(坂本さん)
そんな「対話」を続けていくうちに、次第に彼女は「福祉」という仕事に興味を持ったようで、自分でいずれは「社会福祉士」になってみたいという目標ができたというのです。
「歌舞伎町にいる女性たちの多くは、ここが世界のすべてで、ホストクラブでお気に入りの担当にどれだけ金を使うかというような価値観で生きている。だから、うちの立ち寄り場のようなところでいろんな人と対話をすることによって、実は世界は広いんだよ、歌舞伎町以外にもたくさん楽しいことがあるんだよ、ということに自分自身で気づいてもらいたいんです」(坂本さん)
対話によって世界を広げる。それはひょっとしたら、これまで取材をしてきて宗教の熱烈な信者、陰謀論支持者の皆さんにも当てはまることなのかもしれません。
いずれせよ、「ホス狂い」になってしまった女性たちに直接にアプローチをして、信頼関係を構築しながら一緒に問題解決をしている、坂本さんたちのような専門家と話をしてみて、私が断言できることがひとつだけあります。
それは、この問題は「洗脳」などという雑な話で説明できるような、単純な話ではないということです。