担当=杉江松恋
- 2025年5月28日12:10
【今週はこれを読め! ミステリー編】
"ただ普通でありたかった"男の人生〜月村了衛『普通の底』- 2025年の現実を犯罪小説的視点で見ればこういう長編になる。 先般、『虚の伽藍』(新潮社)が高校生直木賞に選ばれたばかりの月村了衛が、書...
- 2025年5月24日11:52
【今週はこれを読め! ミステリー編】
鮮やかな連作短編集〜長岡弘樹『交番相談員 百目鬼巴』- あ、これそういう小説だったのか。 長岡弘樹『交番相談員 百目鬼巴』(文藝春秋)の収録作を順番に読んでいくと、軽い驚きを覚えるはずである。...
- 2025年5月14日12:30
【今週はこれを読め! ミステリー編】
二代目名探偵が頑張る!〜潮谷験『名探偵再び』- 潮谷験が名探偵について真面目に考えると、こうなる。 新作『名探偵再び』(講談社)を読んで、ああもうこの人はいつも、と感心した。 必然性...
- 2025年5月7日11:30
【今週はこれを読め! ミステリー編】
世界の理不尽さを描く〜チェスター・ハイムズ『逃げろ逃げろ逃げろ!』- 身も蓋もない現実を小説として描くならばそれは必ず喜劇になる。 そのことを教えてくれた作家が幾人もいる。一人がチェスター・ハイムズだった。...
- 2025年4月24日11:25
【今週はこれを読め! ミステリー編】
型破りな好漢刑事に拍手!〜クイーム・マクドネル『悪人すぎて憎めない』- 荒くれすぎて汚せない。 クイーム・マクドネルの小説を読むと、そのざらつく手触りと、深奥にある清らかさとの差に驚かされるのである。最も無骨...
- 2025年4月17日12:00
【今週はこれを読め! ミステリー編】
月村了衛の軽妙でコミカルな連作短編集『おぼろ迷宮』- あらあ、月村了衛なのに甘口じゃないの、これ。 月村了衛は常に斬新な切り口で社会を描く犯罪小説の書き手であり、現代においても活劇魂を燃やし...
- 2025年4月7日19:17
【今週はこれを読め! ミステリー編】
人を殺さない元暗殺者の闘い〜ロブ・ハート『暗殺依存症』- 暴力は身を焼き尽くす炎のようなものだ。 その危険な魅力を描いたことで注目される存在になったのが、第二長篇『黒き荒野の果て』(ハーパーBO...
- 2025年3月27日10:15
【今週はこれを読め! ミステリー編】
二重構造の謎に挑む!〜南海遊『パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件』- なんとも魅力的な、この二重構造。 南海遊『パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件』(星海社FINCTIONS)を読んでいる間中、いったい...
- 2025年3月19日12:02
【今週はこれを読め! ミステリー編】
暴力の本質を衝くS・A・コスビーのデビュー作『闇より暗き我が祈り』- そうか、これがS・A・コスビーのなまの怒りなのか。 『闇より暗き我が祈り』(加賀山卓朗訳。ハヤカワ・ミステリ文庫)は、犯罪小説の原点に返っ...
- 2025年3月7日20:40
【今週はこれを読め! ミステリー編】
マルク・ラーベ『17の鍵』は必読の警察小説だ!- あああ、うっかりしていた。この本を紹介しておかなければいけなんだった。 ドイツ作家マルク・ラーベ『17の鍵』(酒寄進一訳。創元推理文庫)...