担当=杉江松恋

型破りな好漢刑事に拍手!〜クイーム・マクドネル『悪人すぎて憎めない』
2025年4月24日11:25

【今週はこれを読め! ミステリー編】

型破りな好漢刑事に拍手!〜クイーム・マクドネル『悪人すぎて憎めない』
 荒くれすぎて汚せない。  クイーム・マクドネルの小説を読むと、そのざらつく手触りと、深奥にある清らかさとの差に驚かされるのである。最も無骨...
月村了衛の軽妙でコミカルな連作短編集『おぼろ迷宮』
2025年4月17日12:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

月村了衛の軽妙でコミカルな連作短編集『おぼろ迷宮』
 あらあ、月村了衛なのに甘口じゃないの、これ。  月村了衛は常に斬新な切り口で社会を描く犯罪小説の書き手であり、現代においても活劇魂を燃やし...
人を殺さない元暗殺者の闘い〜ロブ・ハート『暗殺依存症』
2025年4月7日19:17

【今週はこれを読め! ミステリー編】

人を殺さない元暗殺者の闘い〜ロブ・ハート『暗殺依存症』
 暴力は身を焼き尽くす炎のようなものだ。  その危険な魅力を描いたことで注目される存在になったのが、第二長篇『黒き荒野の果て』(ハーパーBO...
二重構造の謎に挑む!〜南海遊『パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件』
2025年3月27日10:15

【今週はこれを読め! ミステリー編】

二重構造の謎に挑む!〜南海遊『パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件』
 なんとも魅力的な、この二重構造。  南海遊『パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件』(星海社FINCTIONS)を読んでいる間中、いったい...
暴力の本質を衝くS・A・コスビーのデビュー作『闇より暗き我が祈り』
2025年3月19日12:02

【今週はこれを読め! ミステリー編】

暴力の本質を衝くS・A・コスビーのデビュー作『闇より暗き我が祈り』
 そうか、これがS・A・コスビーのなまの怒りなのか。 『闇より暗き我が祈り』(加賀山卓朗訳。ハヤカワ・ミステリ文庫)は、犯罪小説の原点に返っ...
マルク・ラーベ『17の鍵』は必読の警察小説だ!
2025年3月7日20:40

【今週はこれを読め! ミステリー編】

マルク・ラーベ『17の鍵』は必読の警察小説だ!
 あああ、うっかりしていた。この本を紹介しておかなければいけなんだった。  ドイツ作家マルク・ラーベ『17の鍵』(酒寄進一訳。創元推理文庫)...
ケッチャムのバリエーション豊かな短編集『冬の子』
2025年3月1日11:50

【今週はこれを読め! ミステリー編】

ケッチャムのバリエーション豊かな短編集『冬の子』
 人間の、人間らしさを描くために、あえて非人間的な扱いをする。  そんなことができるものだろうか、と思う。現実に、他人に対してひどいことをす...
三転四転の犯罪小説〜ジョン・ブロウンロウ『エージェント17』
2025年2月19日11:30

【今週はこれを読め! ミステリー編】

三転四転の犯罪小説〜ジョン・ブロウンロウ『エージェント17』
 おお、これぞ犯罪小説。  ジョン・ブロウンロウ『エージェント17』(武藤陽生訳。ハヤカワ文庫NV)を、題名と裏表紙のあらすじだけ見て、国際...
懊悩と後悔を描くジョルジュ・シムノン『月射病』
2025年2月11日15:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

懊悩と後悔を描くジョルジュ・シムノン『月射病』
 悶えるシムノン。苦しむシムノン。  ジョルジュ・シムノンには大人の作家というイメージがあるのではないか。それはもちろん、あの魅力的なメグレ...
21世紀犯罪文学の収穫〜ジョー・ネスボ『失墜の王国』
2025年1月31日12:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

21世紀犯罪文学の収穫〜ジョー・ネスボ『失墜の王国』
 犯罪小説の精髄というものだと思う。  ジョー・ネスボひさびさの翻訳長篇『失墜の王国』(鈴木恵訳/早川書房)は、ノルウェー山間の村オスを舞台...