作家の読書道 第240回:大前粟生さん

2016年に短篇「彼女をバスタブにいれて燃やす」が「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」の公募プロジェクトで最優秀作に選出されてデビュー、短篇集では自由な発想力を炸裂させ、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』や『おもろい以外いらんねん』、『きみだからさびしい』などの中長篇では現代の若者の鋭敏な価値観を浮き上がらせる大前粟生さん。今大注目の若手を育ててきた本と文化とは? リモートでおうかがいしました。

その1「人と話すのが苦手だった」 (1/6)

  • 三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)
  • 『三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)』
    マーシャ・ブラウン,せた ていじ
    福音館書店
    1,320円(税込)
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  • あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)
  • 『あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)』
    やなせ たかし
    フレーベル館
    935円(税込)
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  • それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)
  • 『それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)』
    那須 正幹,前川 かずお
    ポプラ社
    660円(税込)
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  • かいけつゾロリのドラゴンたいじ	(1) (かいけつゾロリシリーズ 	ポプラ社の小さな童話)
  • 『かいけつゾロリのドラゴンたいじ (1) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の小さな童話)』
    原 ゆたか,原 ゆたか
    ポプラ社
    990円(税込)
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――いちばん古い読書の記憶を教えてください。

大前:年の離れた兄がいるんですが、親が兄のために買った本が家に結構あって、そこから気に入ったものを見つけて何回も読んでいました。日本の昔話や世界の民話を集めた分厚い本があって、それを一人でパラパラめくっていた記憶があります。話は簡略化されていたし、ふりがなもついていたし、挿絵もあったので、一人でも読めたようです。怖い話や悲しい話のほうが好きだった気がします。絵本でも、トロールが出てくる『三びきのやぎのがらがらどん』みたいに、何か巨大なものや怪異的なものが出てくるものを面白いと思っていました。他には、やなせたかしさんの、アンパンマンの最初の絵本『あんぱんまん』も記憶にあります。

――小学校に上がってからはいかがでしたか。

大前:兵庫県の田舎の小学校だったんですけれど、今思うと図書室の本が充実していたんです。新着本が毎月ありました。そこで『ズッコケ三人組』とか『かいけつゾロリ』のシリーズを借りて読んだりして。ただ、小学生の頃の読書は、内容をぜんぜん憶えていないんです。あまり内容は気にせず、なんとなくのムードで読んでいたんですね。ハラハラしている雰囲気だからから楽しい、といったふうに、頭で考えるというより身体で感じるように本を読んでいたように思います。
 あとは兄が『遊☆戯☆王』のカードゲームをやっていたので、そのカードを眺めてテキストを読んだりしていました。漫画もよく読んでいたんです。ちょうど『ONE PIECE』や『NARUTO』が始まった頃だったのかな。

――今振り返ってみて、どんな子どもだったと思いますか。

大前:活発ではなくて、無口でした。外でも家でもあまり会話をしていなかったかもしれません。人見知りということもありますが、会話が大事なものだとあまり思っていなかったんです。親に「学校どうだった?」と訊かれても、「楽しかった」とも「楽しくなかった」とも言いたくなかった。家族であっても人と話すことに緊張していたんだと思います。自分のことを話して、そのことでからかわれるかもしれない、というのがあったのかもしれません。田舎だったので幼稚園から小中高と、周囲に顔なじみが多くて、小さい頃からもう一人一人のキャラクターが定着していて。そこからはみでるのが怖かったのかな。人が怖いということの反動で本を読んでいたのかもしれません。

――どんな遊びをしていましたか。

大前:友達とも遊んでいましたが、家が学校から遠いところにあったので、帰って一人で黙々とゲームしていることが多かったですね。兄が持っていたスーパーファミコンとかプレステとか。年に1回くらい新しいゲーム機やソフトを買ってもらえたので、それをひたすらやっていました。

――学校の国語の授業は好きでしたか。

大前:いろんな小説が載っているので国語の教科書は好きでした。授業で1人1行ずつ読ませる時なんかはものすごく退屈で、一人で勝手に話の先を読み進めていました。文章を書いたりすること自体は好きだったんですけれど、作文は好きでなかったです。求められるものが決まっている感じがして、夏休みの読書感想文の宿題なんかはテンプレを予測して、こういうふうに書いておけばいいんだろうな、と思いながら書いていました。

――いろいろ空想するのは好きでしたか。

大前:それはすごく好きでした。たとえば『ONE PIECE』の悪魔の実なんかも、自分なら何を食べるかなといったことはよく考えていました。一人でいる時間がすごく長かったので、そういうことばかり考えていました。

――自分で物語を書いたり、漫画を描いたりはしませんでしたか。

大前:そういえば、漫画の『金色のガッシュ!!』が流行っていたんです。魔物の子が人間の子とパートナーになる話なんですが、読者が魔物のキャラクターを考えて応募するコーナーがあったんです。それで葉書にオリジナルの魔物を描いて投稿した記憶があります。

――その頃、将来何になりたいと思っていましたか。

大前:何にもなりたくなかったんです。卒業文集に書く将来の夢も「宝くじに当たりたい」みたいなことを書いていました(笑)。

――ふふふ。ところで、大前さんの短篇を読むと植物や動物がお好きなのかなという印象があるのですが、小さい頃から好きだったんですか。

大前:どちらかというと、大人になってから人間以外の、人間のそばにあるものが好きだなと自覚していったように思います。

――本以外に、アニメとか映画とかテレビ番組で印象に残っているものは。

大前:ああ、夜更かしする子どもで、わりと日付を越えるくらいまで親と一緒にテレビを見ていたのを憶えています。「ボキャブラ天国」とか(笑)。

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  • 『遊戯王 1 (集英社文庫(コミック版))』
    高橋 和希
    集英社
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  • ONE PIECE 1 (ジャンプコミックス)
  • 『ONE PIECE 1 (ジャンプコミックス)』
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  • 『金色のガッシュ!!(1) (講談社漫画文庫)』
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