11月22日(金)
とある書店員さんがいる。
僕が出会ったのは十年近く前で、その頃は単なる売場の担当という肩書きだった。初めから何となく気が合って、それ以来、ほとんど仕事を抜きにしてつき合いを続けているのだが、その間、その書店員さんは異動を繰り返し、本部仕入や、支店の店長を経験し、今ではエリア長という偉い肩書きが付いてしまった。
これは出世なのだから「付いてしまった」なんて書き方が間違っているのはわかっている。しかし、その書店員さんの本質が売場仕事にあることを知っていると、こういう管理職への出世はあまり喜ばしいことではないと思えてしまう。
書店員さんの出世の仕方というのは、上にあがるほど<本>から離れていくものだ。本を触らなくなり、売上や人のマネジメントに仕事の主体が動いていく。本人もそのことを寂しく思いつつ、いちサラリーマンとして仕方なくそちらをこなしていく。もちろん出世するような人は何かに長けているわけで、マネージメントをやらしてもしっかりこなしてしまう。そしてそれがまた<本>から距離を取らされる理由になるのだが…。
その長いつき合いの書店員さんと早めの忘年会をやった。今まで見たこともないくらい憔悴していて、それは仕事量の多さと思惑とは違う仕事をしているからなのだろう。しかし、それでもヤケを起こすことなく、こんな言葉を呟いたのが印象的だった。
「何でこんなにまで仕事をするのか…。部下のことを思うとね、やっぱり気持ちよく仕事させてあげたいんだよね」