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12月27日(火)

この1週間『本の雑誌』1月特大号と『おすすめ文庫王国2005年度版』の直納に追われる。

 僕が入社したのは9年前なんだけど、その頃ここまで我が社の好き勝手なベスト10が注目されることもなく、コーナー展開していただける書店さんも限られいたんだけど、今じゃお店によっては「このミス」や「週刊文春」よりも影響力がありますよなんて言われるほどで、いやはやどうしたことだ?

 いや売れることは営業としてとてもうれしいことなんだけど、ベスト10だけじゃないんだぜーなんて叫びたくなったりして。そうはいっても三度の飯より大好きな直納を、助っ人とともにわっせわっせと書店さんに運ぶと年の瀬を感じる。師匠は走らないけど、営業は走るのである。

 そして直納しつつ、年末のご挨拶。しかしこの挨拶にいつも後ろめたさを感じてしまう。何せ27,8日で終わるのは出版社だけで、書店さんはもうほとんど年中無休に近い状態だし、流通だってギリギリまで動いていたりするのだ。どうもスミマセン。

 今年最後のご挨拶は飯田橋の深夜+1浅沼さん。お店に入るなり「年末読むのに良いのが入っているよ」と本を紹介される。確かにちょうど年末年始に読む本を探していたところで、北上次郎は北方謙三さんの『水滸伝』(集英社)を薦めていたが、そりゃ読みたいのは山々だけど、計算が出来ず年俸制にした我が社にはボーナスがなく、全19巻買う金がない。

 そこへ浅沼さんが薦めてきたのが『大聖堂』ケン・フォレット著(SB文庫)。全3巻で各巻600頁ほどの大作だが「いやー前に出たとき読み逃していたんだけど、この機会に読んでみたら面白いのなんの。喜国さんの帯コメントどおりだよ」。そのコメントは『帯の推薦じゃもどかしい! 売り場に立って、片っ端から押しつけたい面白さ』とある。なるほどそれを浅沼さんが実践しているのか。まあ建築、イングランドと僕の好きなキーワードがふたつ入っているし、年末本として購入。

 会社に戻ると年賀状書き。なぜかこの時期になると社長の浜本は虚礼廃止を叫ぶが、そうは簡単に辞められず、それぞれ分担を決めお世話になった人にカキカキ。腕が痛くなったところで「ああ、まだサッカーシーズンが終わらなくて幸せだ。いち早く終わって来年になっているところもあるのに、ああ、疲れた疲れた」なんて叫ぶと、FC東京サポの藤原が「ムキー」と怒り出す。「どうせ決勝でセレッソ大阪に負けるんですよ」。ハイハイ、悔しかったら年の瀬まで勝ち進んでくださいな。

 というわけで、本の雑誌社の2005年は本日終了。皆様のおかげで、どうにか今年も無事年を越せました。こんなことを書くと何を大袈裟なと思われるかもしれないが、超零細出版社にとっては、本当に必死の一年なのである。来年もどうにか年が越せるよう、面白本を作って参りますのでよろしくお願いします。

 さぁ、元日決勝じゃ!!!!!! ってその前に大宮に勝たないとね。

12月16日(金)

 朝から小野伸二問題で様々なところからメールや電話が入る。って俺は小野の代理人じゃないし、情報通でもないのだ。そんなことより、俺だってまだ浦和レッズからのお誘いを待っているサッカー選手であり、移籍金だって小野みたいに3億円なんて必要なく30円でもOKだし、浦和レッズの選手にしてくれるならこちらから金を払ってもいいぞ。来年で35歳。もうそろそろ限界かもしれないが、戦術理解度は若い頃より充分だ。

 選手で必要ないなら営業マンとして雇って欲しいのだが、浦和レッズよ、どうだろうか。

 アホなことを考えていると妻からメール。本日は息子の誕生日だから予約したケーキをもらって帰ってくるように。ううっ。あの、生まれるまで散々いろんなことがあった息子も、もう1歳だ。しかも心配していた病気もまったく出ず、元気に育ってくれてうれしいかぎり。

 こうなったらコイツに夢を託すしかないか。息子よ、立派なサッカー選手になってくれ。父ちゃんは、Jリーガー矯正ギブスを作るぜ。

12月15日(木)

 こうやって毎日忘年会のことを書くと何だか全然働いていないように思えるかもしれないが、12月の営業マンなんてこんなもんか? 本日は出版業界サッカーバカ飲み会に参加する。

 今までなぜかこの飲み会にFC東京サポの人がおらず、そのことを幹事のNさんに聞いたところ「あんたが危ないからだ」と言われたのにはビックリ。大丈夫です、スタジアムでなければ普通の人間ですから。というわけで、FC東京サポの編集・藤原を連れていく。

 いやー趣味が一緒というだけで、こんなに人は盛り上がれるのか。あの試合で勝っていればとかこの選手頂戴、なんてJリーグの話題で大盛り上がり。あっという間の3時間で帰るのが名残惜しいほど。

 あれ? 藤原、元気ないじゃん。
「だってみんなFC東京のことボロボロに言うし、なぜか高知のことまで。くそー来年は優勝しておいらが幹事してやる~」

 阿佐ヶ谷のホームで叫ぶのであった。

12月14日(水)

 T書房さんの忘年会に参加。

 こちらの忘年会、司会Tさんが「T書房の忘年会に来てただで帰れると思ってませんよね」と話されるように余興がある。前回出席したときはお寿司の早食い対決だったのだが、しかしそれだと生ものの食べられない僕には、早食いでどころか食わず嫌い選手権なってしまうではないかと震えたのだが、そのときは運よく指されずにすんだ。

 さて今年はお呼ばれしたときから何か嫌な予感がしていたのだ。うう、頼みます、僕、そういうの苦手なんですと祈りつつビールを飲んでいたのだが、やはりというかなんというか、その嫌な予感的中で「本の雑誌社杉江さ~ん」と指されてしまった。

 今年の余興は『記憶でスケッチ大会』。深夜テレビなどでよくやっている、お題を出して、記憶だけで書くというやつだ。

 うう、ヤバイ。僕の苦手なことがてんこ盛りではないか。
 その1=舞台に立つこと。
 その2=マイクを向けられること。
 その3=絵を描くこと。

 しかし我々はサラリーマンであり、営業マンだ。先ほどそれぞれの自己紹介タイムでは、「フォー」と叫ぶおじさんもいたし、自社商品を大声で宣伝する営業マンもいたではないか。したいことだけしていたら給料なんて貰えない。嫌なことも辛いこともするから給料を貰えるのだ。

 僕の番が来るまでに出たお題は「ドラえもん」「自転車」「千葉県」でそれだったらどうにか書けそうだと安心していたところ、いきなり僕の番になって「ダースベイダー」とはこれいかに。しかも僕、基本的に映画を見ない人生を送っていて『スターウォーズ』(今これを書くのにタイトルを浜田に確認してしまったほど)も見たことがない。これじゃ記憶でスケッチどころか、そもそも記憶にないのである。

 うう参った。上に書いた苦手なこと3つにもうひとつ超苦手なことがあったのを思い出す。その4=アドリブが効かない、である。ダースベイダー、ダースベイダー、どうする?

 脂汗をタラリと垂らしたその瞬間、なぜか社章であるマスク少年を舞台で大きく描いていたのである。死にたい…。

 思い出すのもつらいのでこの日のことは記憶から抹殺したいのであるが、今、藤原がニコニコと「これ寝心地良いですよ」と撫で撫でしている安眠枕を見るたび、その日を思い出すだろう。なぜならその枕こそ記憶でスケッチ大会の優勝商品で、僕、なぜか決勝まで進出してしまい、優勝したのである。決勝戦のお題は何? 何を書いたか? もう勘弁してください。

12月13日(火)

 銀座のK書店さんでA出版社のNさんとバッタリ。

 Nさん元書店員さんでいろいろとお世話になっていたのだが、あるときから姿が見えなくなりどうしたんだろう?と思っていたら、現在の出版社に転職されていた。Nさんも僕と一緒でひとり営業らしく、しかも営業初体験だから当たって砕けろ(ホントに砕けるんだこれが…)でこの一年頑張ってきたそうで、いやはや大変ですよね、なんて立ち話。

 そのNさんのカバンがやけに脹らんでいるので何だろうと思ったら、なんと営業したい自社本を持ち運んでいるとか。しかも専門書の版元さんだから判型が大きくて厚く重い本ばかりなのだ。

「いやとある書店さんでそんなに売り込みたいなら実物を見せて欲しいって言われて。自分自身も書店員時代、営業マンから営業される度にそう思っていたんで…」

 あわてて自分のカバンの中味を確認すると『本の雑誌』1月号、『おすすめ文庫王国2005年度版』とあり「俺だってやればできる」と頷くが、実はそれはただ本を買うときのガイドのために持っていただけで、他にカバンに入っていたのは『蜩 慶次郎縁側日記』北原亞以子(新潮文庫)、『真剣』海道龍一朗(新潮文庫)。俺は単なる読者か?

 確かに前々からチラシ一枚でなく、表紙はもちろんそのものズバリを本を持って営業した方が、僕のヘタクソな営業トークよりよっぽど説得力があるんじゃないかと思っていて、でもでも面倒だし重いしなんて結局出来ずにいたのだ。それを実際にやられている営業マンに出会い思わず感動とともに心にメモ。

 そういえば出版営業で有名な斉藤一郎さんは、常に帯カバーも持ち歩き汚れている商品を見つけたらその場で膝と手を使って掛け替えると伺ったことがある。

 たぶんこういう基本を面倒がらずにしっかりすることが、とっても大切なことで言葉は悪いけれど「塵も積もれば」で、いつか大きな差を生むだろう。明日からはカバンを脹らまして営業に出よう! ってその後訪問した書店さんでは、本の雑誌のベスト10フェアの飾り付けしたいんだけど新刊に追われてその時間がぁ…と叫ばれてしまった。そうだそうだ、去年からベスト10発表の看板も作ろうと思っていたのに結局出来ず…。

 うう、来年こそは立派な営業マンになろう。

12月12日(月)

 浦和レッズVSFC東京の社内ダービーとなった天皇杯5回戦。当然我が浦和レッズの勝利で終わり、藤原を虐めようと出社するが、奴は遅れに遅れて取得した夏休み。(愛媛に観戦にいっていた)くう。こうなったら、同じくFC東京サポのT書店Kさんに電話しようかと思ったが、さすがに入れたばかりの『本の雑誌』1月号を返品されそうなので控える。

 そうこのT書店さん、元々『本の雑誌』が入っていないお店だったのだがKさんが異動になって試しに置いてみようか?なんて感じで棚に並べて頂きだしたのだ。お店はビジネス街の50坪。。迷惑かけないかな?なんて心配していたのだがそれが3冊から始まり5冊になり、次は7冊なんてという感じで定期が増えているのである。100冊ドーンも嬉しいけれど、こういう足腰のきっちりした数字はもっと嬉しい。

 Kさんが「うちは小さいけど総合書店なんだ」と話されるとおり(まるで「U-50」で紹介している今野書店さんと同じ言葉だ)15分も売場に立っていたらこれだけの坪数のお店に多種多様な本を求めるお客さんがやってくるのがよくわかる。先週訪問した際も『判例六法』6冊買っていく弁護士事務所もあれば、『MISSING』本多孝好(双葉文庫) を買っていくOLさんもいるし、『将棋世界』を問い合わせて嬉しそうにレジに持ってきたおじいさんいるし、フェアでやっている平凡社ライブラリーも売れているというし、これぞまさに「本屋さん」でしょうとうれしくなってしまった。

 残念なのは、こういうお店にまとまに新刊が入ってこないということで、うーん、どうしてなんだろうか。そこにお客さんがいるのに、不思議な業界である。

12月9日(金)

 忘年会第2弾!

 近くの書店さんと飲もう!って訳でもないんだけど、O出版社のNさんが幹事となって京王線のいくつかの書店さんが集まるMの会。

 結構昔から続いている会で、もう書店対営業とか書店対書店とかの関係はほとんどなく、人としてバカ話に興じる。例えば女風呂と男風呂を勝手に勘違いして思い切り男風呂に飛び込んでしまったとか。仕事のことを忘れて腹を抱えて大笑い。いやはやこういう忘年会は楽しい。ありがとうございました。

12月8日(木)

 昨夜は千葉の酒飲み書店員の忘年会へ。
 個人的にはこの日から忘年会シーズンに突入したようで、年末までほぼ毎日予定が埋まってしまった。まあ去年は息子が生まれたりして、すべての忘年会をキャンセルしていたから仕方ない。

 参加していた第4回酒飲み書店員共同企画ベストセラーを作れでは、ラス前の7位。5店舗で1ヶ月間置いて頂いて7部はマズイだろう…。

 ということで次回のお題にはかなり売れそうなものを選んだのだが、それもどうかと思いセレクトし直すことに。うーん、難しいっす。

 本日は、「都筑道夫少年小説コレクション」の6巻目『拳銃天使』の見本を持って、取次店さんを廻る。こちらの装丁が赤で、もしかしてデザイナーさんの間で「あそこのこうるせー営業は赤くしとけばOKなんだよ」なんて話されているのか?なんて。

 ちなみに「都筑道夫少年小説コレクション」はこれにて完結。2005年の新刊もこれで終わり。すべての取次店さんを廻ったところで、全身から力が抜けた。

 そうはいっても出しただけでは金にならず、実際にお客さんに買ってもらわなきゃ返品になるわけで、その辺は出版営業の難しさ、というかイマイチ達成感を感じられない大きな要因だ。

 取次店さんは思ったよりは空いていたけれど、それでもT社さんでは13日の搬入は330点(書籍)との掲示がされていたし、担当のUさんも「ジワジワ増えてきてますよ。来週は大変かも」と話される。この調子じゃ、来年も新刊は増え続けるだろうなぁ。ここまでくると編集者という仕事もクリエイティブな仕事というよりは、工業生産品のラインで働いているような感じかな。制度も人も会社も疲弊しきってる感じがするけど、誰が治せるのか…。

12月7日(水)


 本の雑誌1月号搬入。
『増刊おすすめ文庫王国2005年度版』部決。
『都筑道夫少年小説コレクション6 拳銃天使』事前注文〆

 まるで盆と正月とクリスマスとゴールデンウィークが一緒にやってきたような忙しさ。そういえば夜は千葉で忘年会もあったっけ。ということで、いやはや大変な一日。

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 えっさほっさと出来たばかりの『本の雑誌』2006年1月特大号を運んでいると、氷結・松村が珍しく笑いながら話しかけてきた。

「昨日飲み会があって、そこで会った出版社の人が、この前藤原くんが入った社員募集に応募しようとしてたんですって。でもなんかそのときちょうど杉江さんの大学生協でやった講演を聞いちゃって、こんな熱くないと入れないんだ、って辞めたらしいです、くふふ。」

 そうやってよく熱いとか言われるけれど、実は本人は、もっと真剣に仕事をしないとなんて悩んでいたりする。この日誌のタイトルは浜本が勝手に付けただけで、決して熱くないと思うし、本当に熱いのは浦和のゴール裏にいるときだ。

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 隅っことはいえ、業界の内側にいると、うひょーこんな新刊出たんだぁ!なんて一般読者のような興奮をすることも少なくなるのだが、先日久しぶりに飛び上がるほど嬉しい新刊を発見。

 サッカー本史上歴史的名著といわれる『誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡』(集英社文庫)や『悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記』(集英社文庫)を書いた木村元彦さんの新刊が出ているではないか! そうそうジャーナリストとして素晴らしい仕事をされた『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』(集英社新書)もあったな。

 しかもそのテーマがユーゴ3部作の最終篇と題し、今ジーコよりもベンゲルよりも日本代表監督に推薦したい名監督オシムを追ったノンフィクションだ。『オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える』(集英社インターナショナル)。

 いやはやさっそく仕事をサボって一気読み。オシムの言葉の裏にあるサッカーに対する哲学はもちろん、背負ってきたものの大きさと、それから家族に対する愛情、いやはやすごいサッカー本だ。もちろんサッカーにそれほど興味のない人でも、どれだけサッカーがこの世で大事な役割をしているか、あるいはオシムという人間から平和や自由を知るためにも、ぜひ読んでいただきたい1冊。

 私も走って走って走りまくることを誓い、ページを閉じた。

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 とある書店さんに早速『本の雑誌』1月特大号を直納。

「聞いてくださいよ」と話されたのは、某出版社の注文対応。なんと売れすぎて電話注文を裁ききれず、今じゃずーっと(きっと受話器をあげて)話し中にされているとか。

 いやーやってみたいなそんなこと。僕だったらハワイに逃亡したりして。

12月6日(火)

 寒い!
 夏の暑さもこたえるが、頬を突き刺す冬の凍てついた風もつらい。
 思わず日なたを選んで歩いてしまって車に引かれそうになってしまった。

 そんな寒さにブツブツ文句を垂れつつ、新宿を歩いていると紀伊國屋書店さんの店頭ブースでは書店員さんたちがグランドコートを羽織って販売に勤しんいるではないか。そうか、あの場所は冬でもやっていたのか…。

 その後訪れた八重洲ブックセンター汐留店さんでも、駅前の路上で店舗案内を配っているバイトさんがいた。このお店とても良いお店なのだが、汐留自体がまだ未完成の街で、なかなかわかりにくい場所にあるのだ。だからこうやって店舗案内をして少しでも知ってもらおうと努力しているそうなのだが、それにしたってこの寒さである。

 紀伊國屋さんも八重洲ブックセンターも自店の売上をあげるためにやっているのだが、よくよく考えてみたらその努力によって僕ら出版社が作った本が売れていくわけで、そのことに気づいたら何だか感動してしまった。そして、ぼやぼやした冬の雲に向かって感謝の念を呟く。

 ありがとうざいます。

12月5日(月)

 リーグが終わって完全燃焼。思わず会社を休みたくなったが、本日は『おすすめ文庫王国2005年度版』の見本出来日であり、取次店さんを廻らなければならない。

 その見本受け取りのため武蔵浦和駅改札で印刷会社の営業マンと待ち合わせ。そこで出来たばかりの『おすすめ文庫王国2005年度版』を受け取って、ウォーっと叫んでしまった。赤黒白、我らが浦和レッズのカラーではないか!

 つっ、ついに、このときが来たのか…。去年優勝したとき赤にしてくれ!って騒いでそれでもまったく無視されたけど、一年経って今年は2位だから増刊号が赤黒白なのか。うん? デザインなんてずっと前に決まっていたから関係ないのか? まあそんなことはどうでもいい。この3色が並んでいれば良いのだぁ!

 というわけで御茶ノ水、飯田橋、志村坂上と取次店さん廻り。いつもは行かないK社さんの顔を出すと、なぜかここにはレッズサポ仲間が大勢いて、サッカーの話で盛り上がる。

 その移動中『おすすめ文庫王国2005年度版』の中味も確認するが、ほんとに面白い! って自分で企画出していってりゃ世話ないけど、つつっと読んだだけで、読みたい文庫がいっぱい出てくるではないか。特にぼくは、東えりかさんと本の好みが似ているようで、挙げられた文庫をすべて読みたくなってしまった。しかも載っているのは文庫ばかりだから、薄給の僕でもそこそこ買える。うーん、良い仕事しましたね、本の雑誌。

 付箋片手にお楽しみください!

12月3日(土) 炎のサッカー日誌 2005.18

 妻という高く厚い壁を乗り越えたら(結局バレてしまったので土下座してこの14年間の思いを涙ながらに訴え、金はいらないといったら許可がおりました)今度は雪という壁が待っていた。

 東京はまだまだそんな気配もないのに、関越道は赤城あたりから白いものがちらつき、関越トンネルを抜けたら大雪だった。しかもチェーン確認後、本線に戻ったらいきなりベンツがガードレールにぶつかり大破しているではないか。運転手の通信関係営業マンのオダッチは思わず「帰ろうか?」と呟いたが、同乗している仲間たちはいっせいに寝たふりで、どうにか雪を乗り越える。

 まったく冷たさの質が違う新潟スタジアムに無事たどり着き、浦和ゴール裏に乗り込むと、そこにあったのはすさまじい殺気というか、オーラというか、波長というか、とにかく五官全部に訴えかけてくる「何か」であった。毛穴全快! 失禁脱糞ものの興奮で一気にボルテージが上がっていく。

 この「何か」。いつどの試合でもあるわけでなく、例えばJ2降格のときの試合とかJ1昇格の試合とか、ナビスコカップ決勝とか(FC東京戦のときはなかった)、去年のチャンピオンシップとか、あるいは福田の得点王ゴールのときとか、そういう特別な試合においてサポータそれぞれの想いがこもったときに発せられるものだ。そしてその想いはもちろんコールに乗りうつる。ただただ声を出しているだけのコールと、想いのこもったコールでは「言霊」の力がまったく違うのだ。その想い=言霊が選手の背中を押し、勝利に貢献するのである。

 浦和の試合は開始5分見れば勝つか負けるかわかる、と誰が言ったのか忘れたけれど、確かにそのとおりで、受けて入ったときはほぼ負ける。その逆に攻めで入ったときには圧倒的な強さをほこりならばいつもそうすればいいじゃないかと思うのだが、それは来年の課題だろう。

 そういう意味ではこの日は試合が始まってすぐ勝利を確信するほど素晴らしい「攻め」の姿勢で試合に入ることができ、その流れのままあっという間に堀之内の先制点、ポンテの追加点と奪った。

 そのまま2対0でハーフタイムに入ると、場内にはセレッソ大阪、ガンバ大阪ともに引き分けの報が届く。このままなら僕らが優勝だ! しかしスタジアム内はあまりその報に反応することなく、目の前に試合に集中しようと声を掛け合っていた。

 後半もペースが落ちず、マリッチ、ノブヒサのゴールで4対0の圧勝。その間、他会場の経過をまったく知らずに観戦していたのだが、正直どうでも良くなっていた。ここで、これだけのプレーを選手が見せている。それで充分ではないか。

 もちろん優勝はできるときにしておいた方がいいのはわかる。けど、どうせするなら圧倒的な強さを誇って優勝したい。そのための準備段階が今年であり、今年成長した選手が来年は大きく飛躍するだろう。そうなのだ、今、我ら浦和レッズの未来が明るく輝く出したのである。

 優勝を逃してもゴール裏にはまったく失望はなかった。

 コールリーダーのKさんが「まだまだうちは強くないんだよ。もっと強くならなきゃいけないんだよ」という趣旨のことを言ったが、まさにそのとおり。

 来年、2006年のJリーグは浦和レッズが圧倒的な強さで優勝することを宣言します!

12月2日(金)

 決戦前日。
 まだ妻に新潟遠征の了承を得ていない。それどころか報告もしていない。

 こういうことは早めに言おうと月曜日の夜、以前から食べたいと話していたロッテリアのエビバーガーをおみやげに買って帰ったが、妻はそれをペロリと平らげると、歯を磨いて寝てしまった。火曜日は、ケーキを買って帰ったが妙に怪しまれ逆に言い出しづらくなり、水曜日は給料日だったのだが、コタツの上で家計簿を見ながらため息をつかれた。昨日の木曜は夜遅く帰ったので、すでに子供と共に寝ていて、もうこうなりゃ書き置きしかないか…。

12月1日(木)

 今週いっぱいが『おすすめ文庫王国2005年度版』の事前注文の〆切で、相も変わらず計画性のないアホ営業マンは、首都圏の書店さんは焦りの表情を浮かべジグザグと駆け足訪問。どうして毎回こんなことになってしまうのか?

 それでも一時期の停滞を抜け出し、一昨年より部数がぐぐっと増加しだした、この『おすすめ文庫王国』の営業は楽しい。今年も前年を軽くクリアーし勝手に目標としていた数字に届きそう。結局この営業マンにとっての一番の活力は売れるってことで、売れればどんな苦労もぶっ飛ぶってもんだ。だから編集者よ、面白い本作ってくれぇ!

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