6月27日(火)
うーむ。こんなことがあって良いのだろうか?
例えば「新刊を心待ちにしている作家をあげよ」と言われたら「金城一紀、高野秀行、粕谷知世、蜂谷涼、ジョージ・P・ペレケーノス、ニックホーンビィ……」と答えるのだが、なんとこのなかで金城一紀とニック・ホーンビィ以外の新刊が、ここ最近どどどっとタイミングを合わせたかのように出版されていて驚いているのである。みんな寡作な作家だけに信じられない。いや浦和レッズの優勝とヤクルトスワローズの優勝とサントリーラグビー部の優勝が重なったくらい幸せなんだけど。
というわけで、その待望の作家のひとりである高野秀行さんの新刊『アジア新聞屋台村』(集英社)を読む。
時代背景としては、ただいま「酒飲み書店員ベストセラーを作れ!」企画で満票に近い票を集め、各店で大々的に展開している『ワセダ三畳青春記』の後になるんだろうか? もちろん小説だからそのまま続編というわけではないだろうが、思いつきで各国の新聞を作っていく新聞社・エイジアンに編集顧問として入った主人公が、そのまさにアジア的混沌編集部のなかで、青春を送る物語。
しかしこのエイジアンの無茶苦茶ぶりが結構我が本の雑誌社に似ていて、そのなかにいる主人公の置かれている立場と僕の立場がとても似ていたりして、何だか途中から他人事とは思えなくなってしまった。ああ、ページをめくる手が止まらない。えーい、仕事なんてもうどうでもいいや。この本を読み続けよう。やっぱり高野秀行は面白い! ついでに黒田信一も面白いぞ! 『カフェ・ビエンチャン大作戦』も合わせてお読み下され!
午後から神奈川を営業。川崎のあおい書店さんを訪問するが、この書店は僕の好きな書店のひとつ。既刊書と新刊書のバランスがよく、棚や平台が耕されているのがよくわかる。吉祥寺の啓文堂さんに相通じるモノがあると思うんだけどどうでしょうか。
川崎はこれから丸善さんの出店があったりして、今でさえ激戦区なのに、大変なことになるだろう。お互いがお互いを刺激して良い反応が出ればいいが、世の中そんな甘くはないか…。