3月8日(木)
川崎を営業。
多くのお店で「AneCan」は完売しているではないか。雑誌不信のなか信じられない光景だが、「そもそも刷り部数が少なかったのでは」なんて不満を漏らしている書店さんも少なくなかった。
しかし、これは後日聞いた話なのだが、不思議と都内中心では残っていたりして「あれだけ重いと地元で買うよね」なんて感じだそうで、この辺の配本バランスは難しそうだ。
川崎の丸善さんを訪問しKさんと話していたら、何だか妙に棚にささっている本の背表紙が、揃っているではないか。こんな風にピッタリくる棚なんだろうか?と触ってみると、数センチ奥に引っ込む。うむ。これはもしや意図的にやっているのではないか。
そのことをKさんに伺うとちょうど近くにいらしたHさんが答えてくれた。「以前いたお店のときからやっているんですが、こうやって毎日触ることによって、本を覚えるんですよね」
そうなのだ、僕も昔、八重洲ブックセンターでアルバイトをしていたとき、先輩の社員さんに、本の背を揃えろと教わったのだ。朝、へっこんでいたり、出っ張ったりしている本を揃える。その本はお客さんが前日触った証拠で、買おうかどうしようか悩んだ本だと。
そしてそうやって毎日本を触っているうちに本当に本を覚え、お客さんに本を聞かれたときに「54番の棚の、上から3段目、右から3冊目の青い背表紙の本です」なんて答えられるようになったのだ。スリップもそうだけど、実は触るということがとっても大事なことのような気がするのだけど、どうだろう…。
どちらにしてもこういう職人的な部分がしっかり受け継がれていくのはうれしい。そしてそこにPOSデータなどが加われば鬼に金棒だろう。