WEB本の雑誌

4月10日(火)

 早朝、埼玉スタジアムへ。明日行われるACLの前日抽選に参加。まあまあの番号を引く。

 いつもならのんびり帰宅するのだが、本日は有料道路を通り、オーバースピードで車を飛ばす。まるで相馬のドリブルのよう。

 なぜそんなに急いでいるのかというと、本日、初めて娘が親の付き添いなしで、小学校に登校するからだ。幼稚園のときにあれだけ登園拒否した娘だけに、例え昨日の入学式では元気いっぱいだったとしても心配なのだ。

 ちょうど娘の通学班の集合時間に帰宅。あわてて通学班の集合場所に向かうと、すでに子供たちが7人ほど揃っていて、新入生は娘ともうひとりいるよう。何人かの子たちとは、いつも遊んでいるから、娘も笑っている。班長が一番最後にやってきて、人数を数えたら何の儀式もなく出発。

 ちょっと肩すかしを感じつつも家に戻り、玄関前から娘の後ろ姿を見つめる。僕の家は区画整理真っ最中の場所にあるため、廻りはまだ開発されておらず、遠くまで娘が見えるのだ。ランドセルが時たま上下に弾むのは、きっと前の子に遅れないように走っているからだろう。娘よ、ガンバレ。

 その黄色いランドセルが、点になり、角を曲がって見えなくなるまで、僕は玄関の扉を開けることができなかった。

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 通勤読書は『ビッグクラブ ー浦和レッズモデルができるまでー 』島崎英純著(講談社)。元サッカー専門誌のレッズ担当の記者が書いた作品なので、もう少し深いものが読めるかと期待して読み始めたのだが、これはそういうものではなく、新書的というかビジネス書的というか、基本的事実を時間軸で追ったものであった。浦和レッズにちょっと興味のある人や、もう一度2001年以降のレッズを振り返りたい人向きの1冊。あとオフト好きには良いかもしれない。

 サッカー本でいえば、『オシムの言葉』(集英社)でブレイクした木村元彦の『蹴る群れ』(講談社)は必読の書であるけれど、週末に読んだ『オレもサッカー「海外組」になるんだ!!!』吉崎エイジーニョ(パルコ出版)もオススメ。

 30歳を越えたサッカーライターが彼女に振られ、仕事もイマイチのなか、やりたいことをやるんだと決意し、なんと「海外組」になるためドイツへ渡ってしまう。

 雑誌『Number』の「それ行けトヨザキ!!」以来の爆笑連載をまとめたものだが、著者のサッカーレベルは高校サッカーの有名選手とかJリーグ挫折組なんてものでなく、僕や僕の友達と変わらない草サッカーレベル。だから当然ドイツといってもブンデスリーガに挑戦するわけではなく、アマチュア10部リーグでのプレイに四苦八苦。

 しかし、それでも吉崎エイジーニョを笑えないのは、これがサッカーバカの誰もが一度は夢見る物語だからだろう。そしてそれを下手なりに叶えた著者がカッコイイ。是非とも吉崎エイジーニョには、今後もこの突撃ルポを続け、ブラジルやイングランド、あるいはアフリカの国々のサッカーの裾野を実体験とともに綴って欲しい。

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 会社に着くと「横丁カフェ」でお世話になっている三省堂書店大宮店の下久保さんが来社。ぎっくり腰のため今月で退職されるとのこと。ああ、残念無念。なかなか書店を長く勤めるというのは大変だ。

 営業は、赤坂見附、銀座、六本木。

 赤坂見附のランダムウォークでは、『笹塚日記』の大ファンの書店員Mさんが『笹塚日記』を売るために「帰らない男たち」フェアを開催中。檀一雄やケルアック、あるいは西村賢太とともに並んでいるのに爆笑してしまう。Mさん、茶木さんと目黒さんは「帰らない」んじゃなくて、「帰れない」あるいは「帰る機会を失った」人たちだと思いますよ。

 あと気になったのは、どちらの書店さんでも『星新一 1001話をつくったひと』最相葉月(新潮社)が売れているということ。僕も先日購入したのだが、今から読むのが楽しみだ。

 最後の最後に東京ミッドタウンを覗いたのだが、このことは事務の浜田に内緒。なぜならいつも僕が新しいスポットに誰よりも早く行く!と怒っているからだ。でもな、僕は本屋さん以外、用がないんだけど。