WEB本の雑誌

5月9日(水)

 釣りもしないのに、なぜか釣りの本が好きで、しかも山も登らないのに山の本が好き。その二つがくっついた源流釣りなんてまったくしたことがないのに、その手の本が大好き。そんななか雑誌『渓流』(つり人社)が発売されるたびに楽しみに読んでいたのが、黒田薫さんの文章だ。

 洒脱が利いていて、初期あやしい探検隊を彷彿とさせる抱腹絶倒の旅模様。その連載分と書き下ろしや別雑誌に書いていた原稿をまとめたのが『焚き火の焚き付け』黒田薫著(つり人社)。いやー面白い。

 会社に付くとすぐ事務の浜田に給湯室へ呼び出される。えっ? またそこで社長の悪口でも言い合うんですか? それならいくらでもありますよ、なんてのぞき込んだら、いきなり缶切りを突きつけてきた。

「わたしぃ。缶のフタって、開けられないの〜」

 深夜2時のオカマのように身をくねらせてそんなことを言いやがる。なにが開けられねーだ。酔っぱらうと歯で瓶ビールの王冠をこじ開けるくせに。しかもその王冠をプッと飛ばして鉄平のおでこにぶつけるくせに。

 しかしその缶のフタを開けないとコーヒーが飲めないので、大人しくガコガコやる。

 それが終わって机に戻ろうとすると、今度は「ヒャー」なんて声が聞こえてくる。そして「杉江さ〜ん」の呼び声。

 声の主は編集の松村で、コヤツは滋賀出身のいちおう関西人だからなのか、年がら年中こける練習をしているのだ。パソコンの電源に躓いた(フリをして)転び、ダスキンのマットに引っかかった(フリをして)転び、机の角にぶつかった(フリをして)転ぶ。社内に一日いると、3回は松村の叫び声と、まるで吉本のようなガラガラガッシャーン音響を聞くことになる。相手にしないと関西人はしつこいので、一応松村が転んだ(フリをした)コピー機の方にいくと、片手にそのコピー機のコンセントをプラプラさせてきた。

「どうした?」
「転んだら、コンセントが抜けて、それでその先っぽが歪んで入らなくなってしまいました」

 随分手の込んだボケをしやがる。仕方ないと二股の先っぽを踏んで矯正し、席に戻ろうとすると、今度は、社長の浜本が「すぎえぇー」と叫ぶ。

 せめてこの人くらいは仕事を話をしてくれよ、と願いつつ、本に囲まれた社長机のところにいくと、自転車のライトを手に持っているではないか。

「昨日ね、僕のマイチャリ、名付けてメタボリックシューマッハー号がジャスコから届けられたの」
(僕のマイチャリって、「頭の頭痛が酷くて」何度も何度も記者会見で言っていた栃東か?)

「でね、明日から自転車限定一斉取り締まりなんだけど、このカッチョイイライトに電池入れる方法がわからないんだよ」

 説明書はどうしたんですか? と聞くと、すでに捨てたという答え。どうして機械に弱い人ほど説明書の扱いがずさんなのだ。あんたに質問はその説明書に全部書いてあるのだ!!

 仕方なく、というか機械をいじるのが大好きなので、そのライトを奪い、ぐりぐりいじっていたら、スポッとフタが外れ、無事、電池装着。

 僕はいったいなんなのか? 何でもやりますマツモトキヨシにしても、この扱いは酷いのではないか。つうか用務員さんとして雇い直していただけないだろうか。とにかく会社にいるとこんなことに一日中振り回されてしまうので、そそくさと営業に出る。埼玉は暑かった。