WEB本の雑誌

6月7日(木)

 通勤読書は我が友・みっちゃんの大好きな山本一力の新刊『銀しゃり』(小学館)。『あかね空』では豆腐職人が主人公だったが、今回は江戸の鮨職人が主人公。まだ85頁なのだが、どっぷりその世界にハマリこんでしまう。うまいね、山本一力は。

 友達でもなく恋人でもない、不思議といえば不思議な人間関係を漂う営業という仕事をしていると、相手が自分をどう思っているか気になるのだが、果たして「僕のことどう思いますか?」なんて率直に伺う機会もあるわけがなく、とにかくエラーをしないように気をつけつつ、雲をつかむような気分で日々を過ごしているのである。

 本日名刺交換以来3度目の訪問の書店員さんとお会いし、営業の話を終えたところで「実は明日で別のお店に異動になるんですよ」と伝えられ、せっかくどうにか少しお話できるようになったのにと残念に思っていたのだが、しかし異動を教えていただけただけでも何だかうれしい。

 しかも「どっちみちうちは営業ひとりしかいないんで、新しいお店にも僕が伺いますので」と迷惑かと思いつつお話したら、「ぜひお待ちしております」と答えていただき、実はそれまでかなりブルーな気分で過ごしていたのだが、一気に気持ちが晴れていく。

 おそらく社交辞令であろうと思うけれど、何気ない一言が、こうやって人の気持ちを変えたりするのだ。自分自身の発言に一段を気をつけていかなくては思いつつ、新たな営業ルートを考えるのであった。